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第55話 本気のユニー

 そこから先は、二体の魔獣が引けを取らずに攻め合っていました。技の数としては魔術を吸収していたライヤーの方が圧倒的に有利でしたが、ユニーはその俊敏さに強靱な足を使ってそれを抑えていたのです。


 「アーーー!!」


 ライヤーは、ユニーの動くところに構わず術を放ちます。火炎、衝撃波、水と攻撃自体は多種多様でしたが、ライヤー自身の知力が低かったがためにただ撃ってくるだけでした。


 それに対してユニーは、馬にとって狭いはずの木々が茂る森の中で全てよけています。その速度はさっきまで戦っていた五人のどれよりも速く、ライヤーはその動きに徐々について行けなくなっていきました。


 奥で見ている瓜。目の前の光景にただ黙って集中して見ています。


 『あ、あれがユニーさん!? 小さい普段の姿のときとは動きとは段違いです。それにあれは・・・』


 瓜はユニーの動き方を見ていて驚くというよりも、どこか見覚えがあることに気付きました。何故なら、その動き方はまさしくフィフスの瞬間移動と同じものがあったからです。


 『なぜ、フィフスさんと同じ動きを・・・』


 今は巨体の身体にもかかわらず、ユニーのその動きによってライヤーは完全に翻弄されていました。


 「うぅ~・・・ 」


 困惑してライヤーは一瞬動きを止めました。そこをユニーは見逃しません。彼はライヤーが首を向けている反対の方向にあの速度から考えられない程かるく足を止めた。


 そしてその後ろ足を巧みに扱い、硬い身体故に怪我こそ無いですが、彼はフィフス達のいる反対方向に蹴り飛ばされました。


 ライヤーはその巨体を思いっ切り地面にぶつけてけている。


 「ブルルルルルルル!!・・・」


 ユニーはライヤーの方を向いて威圧をかけながら首を横に振って鳴き出します。多少喋れるとはいえライヤーも魔獣だったので、この威嚇行為には応えました。


 「グオォーーーーーーーーー!!」


 その鳴き声に負けじとライヤーも雄叫びを上げます。しかしその目はどこかよそよそしくなっていました。気迫では押されているようです。



_______________________________________


ユニコーン


 彼らユニコーンの種族は、魔獣の中でも特に力が強く、勇敢で、指折りの気高い種族として伝書に記録されている。



 彼らは他の魔獣に虐げられることを何よりも嫌い、そうならないように生まれつきに他の存在を寄せ付けない相当の実力と、その速さを付けている。



 故にその殆どが個人単位で動き、まず人前に姿を現すことがなかったため、これまで人間と魔人の争いに干渉することはない。



 過去に人間がユニコーンを捕獲しようとしたが、全て失敗、もしくは飼い慣らすことが出来ずに自殺していくばかりだったという。





 しかしユニーは違った。とある事情から彼はフィフスとは幼少期からの付き合いがあり、約二年前に契約を了承した。



 以来、彼らは互いに下に見ることをせず尊重し合いながら戦っている。ある約束を果たすために・・・



_______________________________________


 そこから先の戦闘も、完全にユニーが優勢になっていました。相手の死角に入り、後ろ足で蹴りを入れる。そんな単純作業ですが、彼のスピードによってこれは十分な効力を持つまでになっていました。


 しかしそんなユニーで有ってしても、これまで存在に前例がない魔獣であるライヤーには攻めあぐね、攻撃は出来ても傷を負わせることは出来ませんでした。


 そのコトン彼があぐねていると、しばらくしてライヤーは突然また動きを止めました。


 「うぅ~・・・ めんどく・・・ さい・・・」


 すると彼は首を上に上げてこれまでに無く大きく口を開けました。そこにすぐに大きな光が発生します。


 「みんな・・・ 倒す!!」


 そして彼はその大きすぎる魔力を口から吐き出した。ユニーもこの魔力を前に何かを感じたらしく、さっきまでの高速移動を止め、その場から一気に下がり始めた。


 「にが・・・ さない・・・」


 ライヤーはカオスから言われたことを完全に忘れ、攻撃目標をユニーに変えてその大玉の塊を打ち出そうとしたときだった。








 「そこまで!!」






 ライヤーが突然聞こえた声に驚いていると、いつの間にか自分と術の塊の間にフィフスが現れていました。


 「!?」


 そのときにライヤーが一瞬動き止めたのを彼は見逃さず、目を見開いてニヤつきながら、使えないはずの魔術を繰り出したのだ。



 「<火炎術 破壊炎>」



 そのまま破壊炎はライヤーの大きく開いた口の中に入り込んでいく。


 「アガァーーーーーーーー!!!?」


 ライヤーは自分の口の中に突然技を放り込まれたことにダメージを受けながら動揺し、さっきの塊も制御できずに消えてしましました。


 ライヤーはそのまま後ろに下がり、フィフスは浮いていた場所の真下の位置に着地します。そこに残りのメンバーも集まりました。


 「どう? 聞いたの?」


  早速きたグレシアからの質問にフィフスはこう答えます。


 「効力はあったが、決まり切らなかったな。やっぱ塊でぶつけるしかなさそうだ。」

 「にしても凄いですね。この薬・・・」


 ルーズはさっきフィフスから渡された貝殻の中の薬を見ました。


 この薬は、マイナお手製の各属性に合わせた魔力増強薬。分かりやすくいうと魔人用の回復薬だったのです。それにサードは感心しているようでした。


 「フ~ン・・・ にしてもこの薬、ウリーちゃんったらどこでこんなものを・・・」

 「あの・・・ それは・・・」


 例のごとく困惑する瓜の代わりにフィフスがこう言い出した。


 「ああ、まあ今それは聞かないでくれ。こっちが先だ。」


 そう言って場を誤魔化したフィフス達は、口から煙を出しながら彼を睨んでいるライヤーを見ます。


 「うぅ~・・・」




 「さぁて、力も戻ったことだし・・・」


 フィフスは右手をグーにし、左手の中に叩き込んで威勢を上げます。


  ・・・改めて、ぶっ倒すとしますか!!」


 彼らは再び準備を整え、各々構えを取りました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・キャラクター紹介



{ユニー}



種族           ユニコーン

契約者          フィフス

年齢           不明

身長           伸縮自在

             ※ただし制限あり

性格           義理堅い 涙もろい

             気まぐれ

使用魔術         ???

好きな物・こと      昼寝 ブラッシング

嫌いな物・こと      昼寝の邪魔をされること

将来の夢         友達を守り切る

モチーフ         『シンデレラ』より ネズミ 馬

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