第54話 増援到着
サードとセカンドは目の前にいる知らない生物に唖然としていました。
「あ、あれは・・・」
「何ですか?」
するとそこにルーズが近付いて話しました。
「あれが本来の姿のユニーです。お二人は見たことがないんでしたね。」
「あれが!?」
サードは昨日フィフスに言われたことを思い出しました。
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「ユニーは、下手な軍隊長より、よっぽど強いぞ。」
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『あれって、そういうことだったのね・・・』
サードが納得していました。
一方のフィフスと瓜、どうやって来たのか聞いています。
「瓜! お前今まで!! 人に心配させやがって!!」
瓜は古塔でのマイナの言葉を思い出します。
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「お前が今私に思ったように、今のお前の境遇を心配している奴がいることを、忘れるな。」
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『・・・ 本当に、すいませんでした・・・』
「・・・ 今は後だ。どうして・・・ どうやってここに?」
『その・・・ 乗せて貰っちゃいました。』
瓜はここまでの経緯を説明しました。
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修道女は、こんなことを言い出した。
「それについては大丈夫だ。下手な乗り物よりよっぽど速い方法がな。」
そして瓜はは彼女からその方法とやらを聞きました。
「ユニーさんに乗る・・・ ですか?」
「そうだ。それならばろくな手段よりよっぽど早く目的地に着くことが出来る。」
「はあ・・・」
『とてもそうには見えませんが・・・』
彼女の考えに対し、ユニーはここに来て初めて自慢げな顔になります。そこにマイナは説明を補足しました。
「そいつはユニコーンの種族。そいつらは自身の体積を自由に変えることが出来る事が出来るからな。」
『そ、そんなことが!!』
支度を整えると、瓜は言われたとおりに窓の前に立ちました。紐もなしでこんな所から飛び降りることに抵抗はありましたが、マイナに心配をさせないために笑顔を振りまいて肩にユニーを乗せた状態で窓から飛び降りて、古塔から出て行きました。
そうしたのは良いものの、彼女は最早どうにでもなれという感覚で目をつぶりました。すると、肩に乗っかっていたユニーがそこから離れました。そして・・・
ボンッ!!
という音が聞こえると共に、瓜は何かふわふわなものに当たった感覚を感じました。目を開けて見ると、瓜は驚きました。
「・・・ エェーーーーーーーー!!」
そのとき、瓜が乗っかっていたのは獣の背中でした。これはまさかとその背中にまたがり、彼女は前を見ます。そこには大きくなって威圧がありながらもどこか見たことのある一本角が見えました。
そして彼は瓜を見ようと顔を後ろに向けました。
「や、やっぱり、ユニーさんですか?」
コクコク・・・
ユニーはいつものように頷き、そこから一目散に国門に向かって行きました。
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『・・・ ということです。』
「やっぱりか。」
『やっぱり?』
「ああ、いや、気にするな。」
一方、大きくなったユニーの元に、なぜかグレシアが走って近付きます。そして彼の脚にその勢いのままに抱きつきました。
「志歌さん!?」
「オイ! 何してんだお前!?」
「ああ~・・・ 大きいユニー久々に感じたわ。相変わらずモフモフしていて気持ちいいわ~・・・」
「緊張感のないやつ・・・」
「アハハ・・・」
瓜も微苦笑しました。するとフィフスは、彼女の腰に付けられている小さな物体に目が行きました。
「そいつは?」
『え? そいつ・・・』
どうやら瓜自身を気付かない間に付けられていたらしいようです。フィフスはそれを渡して貰い、よく見ました。
『おおっと、これは・・・』
フィフスはそれを見た途端、脚にいたグレシアに声をかけます。
「オイ、グレシア。」
「何よ! 今、回復作業中よ!!」
「だったらこれを飲め。」
グレシアは貝殻を見て少し疑っています。そこにフィフス達二人が降りてきました。
「早くしろ馬鹿。ユニー、スマンがしばらく時間を稼いでくれ。そしたら・・・」
大きくなっても相変わらず素直にユニーはフィフスの言うことを聞き、そして頷いた。そこから彼は自分より巨大なライヤーに単身で向かって行きました。
「うぅ~・・・ ゴクエンキ・・・ じゃない・・・」
『ゴクエンキ?』
瓜が初めて聞くその言葉にどこか疑問を抱き、フィフスに聞こうとしました。しかし彼は今グレシアの説得中だったので、身を引きました。
そんな三人、そして疲れている三人をよそに、二体の魔獣がお互いに面と向かって威嚇を始めました。
「ウゥーーーー・・・」
「ウゥーーーー・・・」
その空気は、まさに野獣の戦いの狼煙を上げようとしていました。
<魔王国気まぐれ情報屋>
・グレシアの秘密 ※大抵皆知ってる
モフモフした物体には何も考えずに抱きついてスリスリしてしまう。この被害にユニーがよく遭う。