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第51話 焦る勇者

 視点が戻ってフィフスサイド


 現在、セカンドによって自慢の聖剣を折られてしまった事により、その持ち主であるノギは完全にあっけにとられた顔になっており、少しの間状況を把握することも出来ませんでした。


 「う、嘘だろ!? 聖剣が? 俺の、伝説の聖剣が!!?」


 最早挙動不審になっています。そこにセカンドは更に追い込みをかけます。


 「あらあら、意外ともろい剣でしたわね・・・」


 ノギは必死でそれを否定します。


 「そ、そんなはずはない!! これは、最強の勇者が持つ伝説の剣のはずだ。それがこんなに簡単に折れるはずがないんだ!!」


 途端に焦りながらノギは刃の折れたホープをただ単純にブンブンと何度も振り回します。すると、そこからさっきまでよりも大がかりに大量の術が発生し、油断してよそ見をしていたセカンドを襲い出しました。


 「ハッ!!・・・」


 攻撃が分かっても、彼女はもう回避するには間に合わない距離にいます。マズいと思ったそのとき・・・


 すると、気が付いたセカンドはいつの間にか攻撃の範囲外に移動していました。しかし、このことが何を差すのかを彼女は気付きました、まさかと思った彼女はすぐに後ろを見ます。


 するとそこには、昨日の今日でただでさえ底をついて減っている魔力使ったことで、息をゼーハーと苦しそうについて、剣を杖代わりにして立っているフィフスを見つけました。


 「フィフス! あなたまさか・・・」


 そう、このときフィフスは彼女を助けるために、その後の自分のことを分かっていながら咄嗟に瞬間移動を使っていたのです。


 「へヘッ、実の家族に何かあるのは、もう簡便だからな・・・」

 「ごめんなさい、私がしっかりしていればこんなことには・・・」

 「ならこっからは油断せずに頼むわ。これ以上は動けそうにない・・・」

 「フィフス・・・」


 するとフィフスは今までの疲れがたたり、体勢を崩してしまいました。


 セカンドはまた立ち上がり、さっきまでとは違う目付きでノギを見ます。そのとき、ノギはどこか喜んでいました。


 「ハ、ハハハ・・・ ハハハハハ!! 良いな、これ。折れて心配になったが、どうやらおかげで威力が上がったようだぜ~・・・」


 どこか常軌を逸している様子になったノギは、そのままハチャメチャにホープを振り回して術を繰り出し続けます。


 それは再びセカンドに真正面から向かっていきましたが、さっきと違い、今度は彼女に準備が出来ていました。


 「もうそれは通じませんよ。」


 彼女は右手に持っていた大鎌を縦に持ち、地面にトントンと二回叩きました。


 「<疾風術 竜巻柱(たつまきちゅう)>」


 すると彼女の少し前方に回転するように風が吹き抜け、それから一瞬で竜巻が発生し、ノギの攻撃を巻き込んで全て打ち消してしまいました。その事にノギは更に焦り出しました。


 「ハ、ハァーーー!!?」


 ノギはやけくそになって尚も次々と術を繰り出しますが、構えたセカンドの前には全て無力化されました。


 「クソッ! クソォ!!・・・ って、あれ?」


 するといつの間にか、ノギは術の使いすぎで魔力切れを起こし、剣から術が放てなくなってしまいました。


 「何でだ? 何でだよ!? クソがっ!!!」


 自身の武器が完全に使えなくなったことに彼が強く動揺すると、セカンドはキリッとした目をしたセカンドに鎌を突きつけられてこう言われます。


 「降参しなさい、勇者さん。ここで終わらせるなら、命は取りません。」


 そのとき、セカンドの大鎌は日の光を反射してノギの目に光り輝いて見えました。


 更にそこにそれぞれ彼の部下を倒してきたルーズとサード、そしてグレシアが合流しました。


 「あ・・・ ああ・・・ あああ!!!」


 それを見てノギは流石に状況を察し、頭から汗を垂らして絶望します。


 「そ、そんな・・・ あの魔人達は!? 大量にいた兵士達は!!?」


 その焦る言葉にグレシアは冷めた声で応えました。


 「どうやら、全員逃げるか、始末されたようね。」


 彼女の横にまで歩いてきたルーズも、それに続きます。


 「ならば、残りはあなた一人です。勇者ノギさん。」


 しかし尚もノギは負けを認めようとしません。


 「う、嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!! 俺様が負けるはずがない!! こ、これは・・・ 何かの準備なんだ。きっと味方がすぐに・・・」


 あらぬ事を言ってノギは魔人達を脅します。しかし・・・


 ジャキン!!


 その話は、セカンドが大鎌を振って音を響かせた事によって、強制的に静まりました。




 そこで彼も降参しようと両手を挙げようとしましたが・・・









 パシッ!・・・


 「ダメですよ。こんな所で止めては。」


 いつの間にか、彼は上げかけていた腕をカオスに捕まれて動け無くされていました。


 「!? お前は・・・」

 「やっほ~、魔王子君。また会ったね。」


 カオスはフィフスの顔を見ると親しげに手を振って挨拶しました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


制作裏話


セカンドは鬼と言うより真っ先に別のモチーフを持って創作したキャラです。当初は歌でサポートするだけのつもりでしたが、兄弟内で彼女だけのけ者にするのは可愛そうと思い今のキャラにしました。


彼女の裏モチーフはとあるヒーロー番組の敵幹部です

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