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第47話 国門での連対戦

 威圧にやられて、動きが悪くなっているところにルーズも加勢し、フィフスは次々と兵士を倒していって完全に魔人サイドが優勢になっていました。


 「流石は王子、魔術なしでこれですか・・・」

 「だてに鍛えてる訳じゃないんだよ。それはお前も同じだろ。」


 後ろで控えて折るノギもどこか焦りだしました。


 「何をしている!? さっさとそいつを仕留めろ!!」

 「了解、ご主人。」


 二イッと歯を見せて魚人は応え、彼の前に出て一度首を捻り、元に戻すと同時に技を出しました。


 「<水流術 水砲>」


 すると魚人の口から一直線に光線上に大量の水を放ちました。それを見たフィフスは・・・


 「あ、マズいの来た・・・」

 「お任せを。」


 こちらはルーズが前に出て、相手の技を打ち消すために術を出しました。


 「<疾風術 風渦壁(ふうかへき)>」


 ルーズが両腕を曲げて胸の前でそれを重ね、それを渦を巻くように回しました。するとそこに渦のような気流が発生し、水砲の水を周囲に細かく四散させて無力化しました。


 「へえ・・・ やるじゃん。」

 「王子、本丸は任せましたよ。」


 ルーズはそう言うと一気に距離を詰め、魚人に正拳を当てました。相手は腕でガードしましたが、少し反動で下がってしまいました。ノギはそれを見た途端にへっぴり腰でそこから離れました。


 「ヒィーーーー!!」

 「おっと、もう逃げるのはなしだぜ勇者さん。」


 フィフスはノギの逃げ道に先回りし、彼に立ちはだかりました。


 「き、貴様・・・ い、いいだろう。この俺様が直接手を下してやるぞ、獄炎鬼。」


 ノギは必死で威勢を張っていましたが、足が震えていることをフィフスは見透かしていました。


 「どうした? かかって来いよ。」

 「う、うるさい!! とっととこの剣の錆になれ!!」


 ノギは破れかぶれにホープから複数の術をフィフスに向かって放ちました。


 『さて来たか・・・ 捌ききれるかどうか・・・』


 フィフスが判断を迷っている内に、攻撃はすぐそこにまで近付いてきていました。


 「あ! やべ・・・」



 ドカンッ!!!


 次の瞬間には衝撃を一気に受けて煙が充満しました。


 「ヘッ! へヘッ・・・ 俺様を舐めるからこんなことになるんだよ。後悔したか・・・」


 煙が晴れ、ノギはフィフスの死体を確認しようと目を懲らして見ました。すると・・・





 「全く、これでは弟が可愛そうですわ。」

 「あ~・・・ わざわざすまねえ、セカ姉。」


 セカンドがどこからか取り出した彼女の背丈と同じ大きさの大鎌を振るい、ノギの攻撃を捌いてみせた光景が広がっていました。


 「まだ本調子ではないんですから、無理しないでくださいね。フィフス。」

 「は、はい・・・」

 『やっぱ姉貴達には敵わねえわ・・・』


 相変わらずの笑顔ながらその中には何か圧力を感じました。フィフスはこの場をセカンドに任せることにしました。


 「!!? あ、あの攻撃を・・・」


 さっきの渾身の攻撃を防がれたことに、ノギは既に動揺していました。そこにセカンドは歩きながら近付きます。


 「では、可愛い弟に怪我をさせようとしたこのド外道は・・・」


 セカンドの口調がどこか変わっていきます。


 「お姉ちゃんが・・・ ぶっ殺して上げます!!」


 セカンドは笑顔で閉じていた目を開き、フィフスと同じ鬼の圧をノギに向かって浴びせました。


 『こ、こいつ・・・ 獄炎鬼と同じ気を・・・』


 ノギは前にフィフスと戦ったときにこの気迫を浴びていて、知っていたのです。だからこそ足がすくむ思いでした。


 「へ、兵士ども!! とっととこの女を殺せ!!」


 まだ起きていた兵士達は、皆一直線にセカンドの方へと向かって行った。


 「あらあら・・・ こんなにいっぱい。」


 兵士は威圧に押されず、というより気付かずにセカンドに迫っていきます。対してセカンドは・・・


 「これでは・・・ 少しぞんざいになってしまいますね。」


 彼女はまたニコッと笑います。


 「女!! 食らえーーーーーーーーーーーーー!!」


 そして次の瞬間・・・






 ザンッ!!!






 ノギの視界に見えたのは、彼女の大鎌によっておしとやかに一直線にバッサリ切られた私兵団の姿でした。


 「・・・は?」


 彼は目の前の状況に放心状態になっている中、セカンドは兵士の血しぶきを一部顔に受け、それでもにっこり笑っていました。


 「あらあら、やっぱりこの数だと見映えが悪くなりますわね。」


 彼女の後ろで一部始終を見ていたフィフスは、こう思いました。


 『おっかね~・・・ ホント敵じゃなくて良かった。』



_________________________________________


 魔王国 第一王女 セカンド


 彼女は表向きには国の歌姫として国民に笑顔を振りまく美しい王女。


 しかしそんな彼女とて、この世界の巨悪である『魔王』の娘。その強さを遺伝としてしっかりと受け継いでいるのです。


 美しい歌声や笑顔、それに反した鎌による大きな一撃から、彼女を知る人々はこう呼ぶ・・・






 『喜びの恐鬼』


_________________________________________


 セカンドは鎌を持っていない左腕を前に出し、手をパーに開いてこう言いました。




 「荒れますわよ~・・・ 止めてみなさい!!」




 「ば、化け物だ・・・」

 「か、勝てるわけねえ・・・」

 「 う、ウワァーーーーー!!」


 途端に怯えだした兵士達は、ノギの言うことを聞かず我先にと国門から逃げ出した。


 「オイ! お前ら!! ・・・クソッ! こうなったら俺が・・・」


 「ようやくあなたがお相手ですか?」


 セカンドは鎌に付いた血を払い、それを両手で持って構えて目を開いて彼に言いました。


 「さあ、どこからでもかかってきなさい。」

 「クソが! 舐めやがったことを後悔させてやる。 <疾風術 風衝波>」


 ノギはホープを緑に輝かせて上から振り下ろしました。するとそこから強い衝撃はが飛び出してきました。


 「・・・!?」


 セカンドは少し吹っ飛ばされましたが、すぐに鎌を地面に刺して踏ん張りました。


 「俺が一気に出すことしか脳にない馬鹿とでも思ったか! <火炎術 放射炎>」


 ノギは今度は放射炎を繰り出します。


 「セカ姉!!」

 「ご安心を。」


 セカンドはフィフスににっこりと笑い、鎌の刃を斜め下にします。そして・・・


 「そ~れ!!」


 そこから一気振り上げました。するとそこから巨大な斬撃が発生し、それがノギの炎をいとも簡単に切り裂いてしまいました。


 そのせいで威力が下がり、流石にノギを仕留めるまではいきませんでしたが、さっきセカンドが食らったよりも強力な衝撃波を食らわせました。


 「グホーーーーーーーーーーーーーー!!!?」


 ノギはなんとか剣の術で勢いを止め、いくつか木にぶつかりながらも立ち上がりました。


 「ハ~・・・ ハ~・・・ 何だ今のは? なぜ吸収できなかった・・・ 」


 ノギはホープの刃を見つめます。


 「どういうことだ・・・ この剣はどんな術でも吸収するんじゃなかったのか!!」


 その疑問にセカンドはさらっと答えました。


 「ならば吸収は出来ませんね。なんせさっきの攻撃はただの斬撃ですから。」


 「・・・は!?」


 これが意味すること、即ちノギの術は彼女の単純なパワーに負けたと言う事でありました。


 奪った付け焼き刃とはいえ、伝説の聖剣である『ホープ』がそんなものに負けたことにノギは納得がいきませんでした。


 「ふ・・・



            ・・・ふざけるなーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 ノギは怒りのままセカンドに氷結術での氷を投げつけ、更にそこから火炎刀を使って突撃しました。


 セカンドは氷を軽々とかわし、ノギの突撃ですら余裕の動きを見せます。更にそこで隙を見せた彼の動きを見逃しませんでした。


 「これを折れば良いのですね。」

 「!! しまっ!!・・・」


 ノギは彼女の狙いが分かりましたが、そのときには既に手遅れでした。


 セカンドはその大鎌を手足のように操り、目標に位置を合わせると・・・


 「これで終わりです。」










 彼女は鎌を振り下ろし、ノギが突き出していた聖剣ホープを一撃で折ってしまいました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・キャラクター紹介



{セカンド}



種族           鬼

役職           第一王女 歌姫

年齢           22歳

誕生日          2月4日

身長           167cm

性格           おしとやか

家族構成         父(魔王) 母 兄1人 妹1人

             弟2人

使用魔術         心歌術 疾風術

好きな物・こと      歌の練習

嫌いな物・こと      敵さんには容赦しません

好きなタイプ       家族思いな優しい男性

将来の夢         魔人達が差別されない平和な世界

特性           おはだけが多い

モチーフ         『オズの魔法使い』よりドロシー


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