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第40話 伝説の勇者?

 男の言ったことに二人は最早あんぐりをしている。すぐに顎を戻すと、グレシアはフィフスに聞いた。


 「アンタ、まさか日本に来たのって・・・」

 「んな訳あるか!! 分かりやすい嘘だろ。」


 そう言うフィフスにノギはクククと笑う。


 「本当に思い出したくないようだなあ。ならもう一度教えてやるか!!」


 ノギは腰に差した剣を引き抜き、二人に正面から突撃してきた。


 「正面から!?」

 「腕に相当自信があるようだな。」


 単純な攻撃だったので、二人はすぐによけた。するとノギは振り返り、さっきの斬撃を再び繰り出した。しかしこれも二人の前ではこれも効果が無く、簡単にかわされてしまった。


 「ケッ! これもダメか。なら・・・」


 ノギは次に剣を距離の離れたフィフスの前に突き出した。するとそこから暴風が発生したのだ。


 「マジか。」


 フィフスはこの前やった気流操作を使って直撃を免れ、食らった後も受け身をとることでほとんどダメージを受けなかった。


 「魔石入りの剣か。少々厄介だな・・・」


 そうは言うが、フィフスは内心余計疑問が浮かんだ。


 『だが、あのレベルで国門に穴を開けることは無理がある。一体どんな仕掛けを・・・』


 それで気が散っていたために、フィフスはノギが近くに来たことに気付かず剣を振られた。なんとか自分の剣でそれを受け止めたが、そこで問題がそこで発生した。


 「ナッ!?」


 そのとき、受け止めていた剣の刃が光り出し、それと同時にフィフスの剣の炎が消えたのだ。


 「ククク・・・ ありがとよ。」


 危険と感じたフィフスはすぐにそこから下がった。


 「感付いたか。だがもう遅い。」


 するとノギの剣が再び光り出した。そして次の瞬間、その刃にフィフスのと同じ炎が纏われた。


 「ヘッへ・・・ いただき。」

 「嘘! フィフスの火炎刀が・・・」


 驚きはしたが、すぐにフィフスも火炎刀を繰り出そうと剣に魔力を込めた。しかし・・・


 「・・・ !?」

 「どうしたのよ!」

 「出ない。」

 「は?」

 「炎が出ない。」


 フィフスはこのことで相手の剣が何なのか察した。しかしそんなことも考える間もなく、敵の攻撃は続く。


 「食らえ!!」


 ノギは先程の旋風に火炎を纏わせて発射した。フィフスはなんとかかわしたが、後ろの木々は大きく損傷していた。


 「今のはやばかったか・・・」


 意気揚々としているノギに、隙を突いてグレシアが事前に作った氷の銃を撃った。しかし次の瞬間・・・


 「ん? アア!!」


 ノギが持っている剣に引っ張られるかのように動き出し、剣の刃がグレシアの氷を全て当てて取り込んだ。


 「ほお、流石は・・・」

 「どういうこと? 完全に死角から攻撃したのに・・・」


 グレシアはまた攻撃しようと氷結術を発生させた。しかし彼女の手には氷どころか水すら出てこなかった。


 「あれ!? どうして!!?」


 何度か挑戦したが、結果は同じだった。そこに分断していたフィフスが合流した。


 「なんとなくあの剣の能力が予想できた。だが、んな事が本当に出来るのかと思っている。」

 「?」

 「あれの能力は、『奪取』だ。剣に受けた術の魔力を吸収し、技ごと奪ってしまう。」


 それを聞いてグレシアも疑問を抱きました。


 「ちょっと待ってよ! 剣に術を吸収させるには、同じ属性の魔石がいるはずよ。でも・・・」

 「ああ、アイツはそんな作業やってない。だからって細かくちりばめているにしても、威力が高すぎる。おそらく国門に穴を開けれたのも、あの剣の力だろう。」

 「どうなってるのよ!?」

 「こっちだって知りてえよ。」


 焦る二人を見て、ノギは調子に乗って話し出します。


 「へへ、こんなことも出来るぜ!!」


 ノギは剣を上に掲げました。するとその刃の周りにさっき吸収されたフィフスの炎やグレシアの氷はもちろんのこと、その他に奪ったと思われる魔人の術がそれぞれ発生しました。


 「あ~・・・ やべ~な・・・」

 「お~ら!!!」


 ノギが剣を振り、発生させた全ての術を二人にぶつけてきた。


 『チッ、今グレシアは飛び道具がない。仕方ねえな!!』


 フィフスは隣にいたグレシアよりも何歩か前に出た。そして・・・


 「グレシア、溶けるなよ。」

 「アンタ、まさか・・・」


 「<火炎術 破壊炎>」


 フィフスは向かってくる術にフルパワーで放った。そうしてなんとか攻撃を打ち消した。


 「何でアンタは炎を撃てるわけ!?」

 「おそらく術の吸収はその技ごとじゃないと出来ないんだろう。俺は『火炎刀』、お前は『氷成形』を取られた。だから氷が出せないんだろう。」

 「アタシだけ不憫すぎない!!」


 すると次の瞬間、さすがに疲れたフィフスは少し体勢が崩れた。また魔力切れを起こしたようだ。


 「ちょっと、アンタ大丈夫!?」

 「先に礼を言えよ・・・『クソッ・・・ 化けゴウモリのときのダメージがまだ残ってたか・・・』 」


 フィフスのそんな様子にノギは笑いながら高らかに話した。


 「ハッハッハッ!! 無様な姿だな、獄炎鬼。せめて冥土の土産に教えてやろう。この剣のことをな!!」

 「・・・ やっぱ、何かあんだな・・・」

 「フィフス! ダメージが・・・」


 心配するグレシア、そして息を荒くしているフィフスに、ニヤつきながらノギは言い出した。


 「これは、お前達邪悪な魔人を全て残らず倒すために作られた正義の剣、



                        『聖剣 ホープ』だ!!」


 その名を聞いて二人は大きく衝撃を受けた。その聖剣の名は、魔人である二人も知っている。それどころかこの世界においては、知らないという方がおかしい代物なのだ。


 「嘘でしょ・・・」

 「だが、それが本当ならさっきのチートについても納得できる。」


 「そう・・・ 古くから語られていた、姿も能力も、ましてや存在するのかどうかも分からなかった伝説上の剣。それこそがここにある 『ホープ』 だ!!」


 「もしそうだとしたら・・・ やっべぇ・・・」


 ノギはもう一度剣に多くの術を発生させた。そしてハンディ突きの二人に容赦無くそれを振り飛ばした。


 グレシアはフィフスを運ぼうとしたが、体重が重いために無理だった。


 「クソッ・・・」


 そうして攻撃が二人に直撃するといった直前だった。その攻撃の真上から、巨大な衝撃波が降り注いでノギの攻撃を全て打ち消しました。


 「な、何・・・ 今のは一体何だ!?」


 さっきのことで大きな穴が出来た場所に、上空から一人の男が着地した。充満する煙でよく見えません。


 「城に戻ってくるように手紙には書いていたつもりでしたが。これはどういうことでしょうか?」


 男がそう言ってフィフスの方を向いた。しかしその頃さっきの衝撃で二人まとめて吹っ飛ばされて国門に激突していました。


 「あれ、王子?」

 「いきなり吹っ飛ばすな馬鹿。」

 「あ、いた。 ・・・てあれ? なぜグレシアが・・・」

 「説明は後よ! とにかく今は向こう見て!! ルーズ!!」


 煙が晴れてノギが最初に見たのは、いつもと違い右腕の形が獣のような姿でいるルーズでした。


「後できっちり休んで貰いますよ、王子。」


 取りあえず主の無事(?)を確認したルーズはその腕のままノギの方に体を向けます。


 「さて・・・ どういうことかは知りませんが、王子を傷つけたというのなら・・・



 ・・・軽く引き裂いて上げましょう。」


 ルーズは右腕を曲げて目元に近づけて手を広げ。そしてその鋭い爪をきらびかせた。


 


 

<魔王国気まぐれ情報屋>


・聖剣 ホープ


ノギが使用する、この異世界に古くから伝わる伝説の聖剣。あらゆる魔術をその刃に受けることで、その技を相手から奪い取ることが出来る。


伝説上でしか語られていなかった剣で、その能力も今回のことまで不明だった。ただ一つ分かっているのは、それは他の剣とは違う大きな力を持つ・・・



 ・・・らしい。

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