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第35話 帰還パーティー その後・・・

 その後、色々と内部には不穏な空気が流れたものの、フィフスの帰還パーティーは表向きには無事に終了した。来客達が各々自分の部屋に戻っていった。少し後にフィフスも自室に戻り、そこに先に着替えた瓜も招かれた。


 「にしてもまさか、こんな所で見つかるとはな~・・・ 」

 『私もまさか、フィフスさんが魔王の息子とは・・・』

 「フフン、やっぱり出ちゃってたか。俺の王子としてのあふれんばかりのオーラが。」

 『全く思いませんでした。』

 「お前、たまに天然で酷いこと言うな・・・」


 瓜に言われたことにフィフスが凹んでいると、部屋の前にたどり着いた。


 『ここが・・・』

 「まあ、王子の部屋って言っても普通の家の部屋と変わんねえけどな。」


 フィフスが何の気なしに部屋の扉を開けると、いきなり部屋から何かが飛び出してきた。フィフスはそれを両腕で受け止める。当然ながらそれはパーティーに出てなかったユニーだ。瓜は初めて見たのでそれが何なのか興味を持った。


 『ぬいぐるみ・・・ ですか?』

 「いや、こいつは・・・」


 するとユニーはその時初めて瓜の顔を見た。そして、さっきのフィフスのとき以上に勢い良く彼女に飛びついてきた。


 「ウワッ!!」


 突然のことにビックリしながらも、ぎこちない手つきで瓜は自分に抱きついてきたユニーを受け止めた。どういう訳かユニーは顔を彼女の体にスリスリこすりつけている。


 『どうしたんでしょう・・・』


 瓜が対応に困っていると、フィフスが彼の背中を持って引っ張り上げた。


 「()めろ。迷惑してるだろ。ほらよく見ろ。」


 背中をつままれながら尚も暴れているユニーだったが、フィフスに言われてもう一度瓜をよく見た。するとジタバタしていた足を止め、逆に申し訳なさそうな表情になった。


 「連れがすまない。さあ、入ってくれ。」

 『は、はい・・・』


 瓜はいそいそとフィフスに続いて部屋に入った。そこは言われたとおり、家具こそ高そうなものが多いものの、広さや置いているものは彼女のいた世界とさして変わらなかった。瓜がまじまじと部屋を見渡す。


 「な、特にこれといった物はないだろ?」

 『い、いえ・・・ 男の子らしい部屋だなあと・・・』

 「無理はしなくていい。いきなりこの世界に来て疲れただろう。俺の前でくらいリラックスしろよ。」

 『フィフスさん・・・』


 瓜は彼の言葉に甘えることにし、ベットに座り込んで肩の力を抜いた。そしてとりあえず気になったことを聞いた。


 『それで・・・ そのお馬さんは・・・』

 「ん? ああ、こいつか。」


 フィフスは未だに手に持っていた彼について話してなかったことに気づき、そいつを瓜の近くのテーブルに着地させて紹介した。


 「こいつは『ユニー』、俺の契約魔獣であるユニコーンだ。」


 名前を言われたユニーは礼儀良く瓜にお辞儀をし、キリッとした表情で相手を見た。彼女は目の前の珍妙な生き物の全身をなめ回すように見て一つ思った。


 『・・・ ペット?』

 「違う! こいつとの関係はあくまで対等だ。」

 『どういうことですか?』


 フィフスは順を追って説明することにした。


_______________________________________


 「まず、契約術ってのは基本二つの種類がある。


  ・相手を使役するために行う強制的な契約

  ・相手と同盟を結びつながりを深めるための契約

 

  ・・・この二つだ。」


 『はい。 それで・・・』


 「お前と俺の契約は、契約者によって強制的につながりが出来ている一つ目の契約だ。そのため基本的に契約者の方が立場が上になり、俺たち魔人はその命令に逆らえない。」


 『スミマセン。そんなことも知らずに・・・』


 「すぐにそう落ち込むな。ったく・・・


  それに対して後者の契約。俺とユニーの契約はこっちだ。互いがその関係を認め合った上で結んでいる。だから関係に上下がなく、指示を聞かせることは出来ないが、代わりに制限がなく活動することが出来る。」


 『それでは、フィフスさんとユニーさんには縛りがないと・・・』


 「まあそういうことだ。 だから位置関係で言うと俺達二人の上にお前がいる感じだ。」


 『お二人よりも上なんですか!? 私・・・』


_______________________________________


 フィフスの言うことを聞いて瓜が罪悪感を感じていると、ノックもせずに部屋の扉が開く音が聞こえてきた。振り返ると、怒り気味のサードが突撃してきた。


 「フィフス!!」

 「何だ何だ!?」


 部屋に入った彼女は瓜に一瞬だけ笑顔を振りまき、すぐに顔の向きを戻してフィフスのもとについて彼の首を掴み上げた。


 「グホッ!!・・・ ま、またか・・・」


 再びフィフスが白目になりかけながら苦しんでいると、サードは腕の力を強めながら話し出す。


 「ちょっとこれはどういうことかしら? 貰った礼金の額が全然足りないんだけど!!」

 「れ、礼金だあ?」

 「当然でしょ! アンタが探していた彼女を見つけてきたんだから!! 執事に問い詰めてもしけた金しか出なかったわよ!!!」

 「んなこと言われてもしょうがねえだろ。まさかそちらがかくまっているとは思わなかったんだからな。」


 ムゥッと不機嫌そうな顔をしながらサードはフィフスを降ろした。そして手を離すと、今度は瓜の手を引いた。


 「全く、事に責任も取れないような奴が可愛い子と一緒にいるなんて危なっかしいわ。


   決めた!! やっぱりこの子は家で匿う!!」


 フィフスにビシッと指を指して大声で宣言した。二人もそれに押されながら驚きの声を上げた。


 「「エエッ!!」」


 そのままサードは有無を言わさず瓜を部屋から連れ出していった。ダメージがあったフィフスは動けず、ユニーも突然のことに呆然としていた。


 「さあ、ウリーちゃん行きましょ! 婚約も決まったことだし、妹はかわいがらないとねえ。」

 「ああ、ああ・・・」


 ニコニコするサードにどうすることも出来ずに瓜は連れてかれていった。

<魔王国気まぐれ情報屋>


魔獣契約の利点


・視界の共有が可能


・必要時に召喚が出来る。しかし異世界間はダメ


・お互いの位置情報が把握できる


・テレパシー可能

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