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第34話 魔王女

 正体を聞いた瓜は、驚いて語彙力を失いながら目の前にいる二人を見比べていました。


 『あ・・・ え・・・ 兄弟!? それに・・・ 王女・・・ 弟って!!』


 「どうしちゃったのかしらウリーちゃん?」

 「いっぺんに情報が入ってきて混乱しているみたいだな。」


 落ち着いてきた瓜はフィフスにまた質問をしました。


 『あ、あの・・・ 王女の弟って事は・・・ もしかして・・・』



 「ん? 一応『王子』だが、どうかしたか?」



 「王子!!?」


 衝撃を受けている瓜にサードは首を傾げます。


 「あれウリーちゃん、もしかして知らなかったの? 知り合いなのに?」

 「あ~、そういや言ってなかったな。」

 『そ、そんなあっさり!!』


 重大事実を軽く言われたことに更に驚く瓜。そのとき彼女は一つ思い立ちました。


 『ハッ!! もしかして、行方不明になってて見つかった王子って・・・』

 「ああ、俺のことだ。どっかの誰かさんに突然異世界に連れてかれたんでな。」

 『ウッ!!』


 痛い所を突かれて黙り込む瓜。そこにサードはまた切り込みます。


 「い、異世界? 異世界って何?」


 容赦無く問い詰めてくるサードにフィフスは少々苛立ち、きつめにものを言いました。


 「ややこしくなるから今は黙っていてくれ。」

 「いいじゃん、ケチ臭い。」

 「ああもう!! とりあえずどっか行ってくれ姉貴。」


 ブチッ!!


 「ッン?」


 フィフスの一言にサードはなぜか怒りだし、彼の頭を鷲掴みにして壁にめり込むほど思いっ切りぶつけました。


 「グホッ!!」

 「フィ、フィフスさん!!?」


 瓜が今まで見てきた普段のかれと違い、今そのときフィフスは明らかに苦しがっている。余程ダメージがあるのか既に白目をむいていました。


 「ギ、ギブ・・・ ギブ・・・」

 『あ、あのフィフスさんが押されている・・・』


 怯えている瓜を横目に、サードは一旦瓜に笑顔を向けて元に戻り、怒り口調で話し出します。


 「『姉上』、もしくは『お姉様』でしょうが!! 一ヶ月も行方不明になって、少しは言葉遣いがましになってるかと思えば・・・ そのひん曲がった口調、このまま無理矢理変えたっていいのよ。」


 このままでは完全に落ちそうだったフィフスはすぐに訂正します。


 「わ、わかりました!! 姉上!!」

 「・・・ よろしい。」


 納得したサードはフィフスを降ろしました。


 「ゲホッ!! ゲホッ!!・・・ あ~・・・ 再会早々死ぬかと思った。」

 『あのフィフスさんが完全に尻に敷かれている・・・』


 完全にサードにペースを持って行かれていたこともあり、彼女を中心に話は回ります。


 「さてと、二人を会わせたことだし・・・ どんな仲なのか、みっちり話してもらうわよ~!!」


 顔を二人に近づけて圧をかけてくるサードにフィフスと瓜は若干引いていると、そこに助け船とばかりにルーズがやって来た。


 「王子!! 休憩時間は終了ですよ。」

 「うっわ!! ビックリした。どいつもこいつも後ろから声かけすぎ。」

 『あ、さっきの変な魔人さん・・・』

 『変なって・・・ こいつどんな会い方したんだ・・・』


 ふとその事をルーズに聞こうとしましたが、それをする間もなく二人揃って彼の腕に引っ張られた。このままだとサードに捕まっていたので、フィフスにとっては好都合でした。


 『フィフスさん、この人は?』

 「俺の執事のルーズだ。秘密裏にお前を探すように支持してたんだよ。」

 『それでさっきあんな・・・』

 「さっき?」

 『いえ、何でもありません・・・』


 再び会場に放り込まれた二人。先程のダンスのこともあって完全に注目の的です。


 『ど、どうしましょう・・・』

 『どうするったって、ここまで来たらやるしかないだろ。』


 しかしそこには、主役であるはずのフィフスにとって思いもよらないイベントが待っていました。司会者は大声で意気揚々と話し出します。


 「それではただ今より、魔王国第三王子、フィフス様の婚約の儀を執り行いたいと思います。王子は、舞台の上へ上がってください。」


 「「ハアッ!!!?」」


 二人は同時に叫びます。


 「おい、どういうことだルーズ!?」

 「司会者の言われた通りです。このパーティーは貴方の結婚相手を決めるためのものなので・・・」

 「にしたかって無理矢理が過ぎるだろうが!! 」

 「仕方ありません。これは法律で決められているいわば最終手段です。いかに貴方とて断ることは出来ません。」

 「俺に人権はねえのか!!」

 「ご安心を、相手は既に決まっていますので。」

 「余計安心できねえよ!! 誰だ、そいつは・・・」


 するとルーズは無表情のままでため息を吐きながら、瓜ごとフィフスを壇上に上がらせました。そして・・・


 「ホイッ。」


 カチャ!!


 すぐに二人の指に、同じ形をした特殊な指輪がはめられました。


 「「・・・ ん?」」


 「おめでとうございます王子、これにより、ウリー嬢との正式な婚約が完了しました。」


 「「ハッ!?・・・







  ハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」



 フィフスはすぐに指輪をはずそうとしたが、どういう訳かびくともしません。もしやと思いルーズに聞きます。


 「ルーズ・・・ これは・・・」


 「魔王国の伝統的なしきたりです。齢十六歳になった王家の者は親の用意した舞踏会の中で最初に踊った相手と結婚すると。」


 「んな伝統聞いたことねえよ・・・」

 「王子は法令を読みませんからねえ~、知らないのは自業自得です。」

 「いいのか、それでいいのか魔王家・・・」



 『つ、つまり・・・ 今から私たちは・・・』

 「なる分けねえだろ!!」

 『でねえとおやっさんに殺される。』


 そこにルーズが顔を近づけ、二人に小声で言いました。


 「あくまで表向きですよ。これで重役一家のいいなりにはなりません。サード様には焦りましたが、結果として万々歳です。」

 「瓜がいなかったらどうするつもりだったんだ?」

 「ま・・・ そのときはそのときってことで・・・」

 「ああ・・・ そうか。『これはノープランだったな・・・ ま、俺も急に帰ってきた形だし、仕方ねえか。』」


 取り決めが円満に決まったことで、そのお祝いに客人が増えた。司会者からの説明が入ります。


 「では、ここで本日の最終イベントに入ります。お二人の祝福を願って、ある方からお祝いの贈り物がございます。」


 「今度は何だ・・・」


 すると会場の中心、二人から真正面の場所に即席のステージが建てられ、その上に先程入ってきたゲストが上がった。その客人を見たフィフスは目を飛び出させ、瓜はあわわわと口を開けて慌てています。


 「フィフス王子、このたびはご婚約おめでとうございます。今回のお祝いの曲を送らせていただきます、セカンドです。」


 それは、瓜がパーティー直前に出会った女「セカンド」であった。


 「せ、セカンドさ・・・」

 「姉貴・・・」


 「ハイッ!!?」


 瓜はフィフスが呟いたことに衝撃を受けて彼の方に首を勢い良く回しました。


 『お、お姉さん!!? あの方もですか?』

 『うちは五人兄弟なんだよ。俺はその末っ子だ。』


 二人と視線が合ったセカンドは、美しい笑顔を向けていました。そして歓声が静まるのと同時に、その歌声を披露しました。


<魔王国気まぐれ情報屋>


・魔王家兄弟


長女 セカンド


次女 サード


三男 フィフス          残り二人・・・そのうち登場させるつもりです


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