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第334話 夢で楽しむ

 火華の一方的な攻撃により、火の海となりかけている森の中。


 ですがそんな現実とは打って変わり、火華に取り込まれ眠らされているフィフスは、幼い頃にいた森の中で、幼い頃に仲良くしていた大切な友人、『シーデラ』との楽しい一時を夢に見ていました。


 本人はこれが夢と気が付かないままに・・・


 なんとなく落ち着いた気持ちになりながらフィフスが切り株の上に座っていると、空いていた隣のスペースにシーデラが座り込んできました。


 「フィフス! どうしたのよ、もっと元気出して楽しみましょう!!」


 「ハハッ、お前は相変わらず活発な奴だ。そんなに動いて疲れないのか?」


 「このくらい平気よ! それに楽しいときははしゃいでおかないともったいないじゃない。フィフスこそ、なんだか変よ? 何処か楽しくなさそうな感じ・・・」


 「そうか? そうかもな・・・ なんだか、凄く懐かしい感じがするよ。ここには何度も来ているはずなのにな。」


 フィフスが自身が座っている箇所から全体を見回します。するとシーデラはこれににっこり笑いかけながら補填を入れてきます。


 「私と貴方の思い出の場所。魔人である貴方と、人間である私。友達になるなんてとても簡単なはずのことですら、こうやって隠れないと出来ないだなんて・・・」


 「仕方ないさ。お互いがお互いにまだ戦いのことを意識している。俺達子供には、生まれたときからそんなもの、関係無いって言うのにな・・・」


 「大人は酷いわよね~・・・ 自分達の価値観を子供に押しつけてくる。例え誰かにとって魔人が悪に見えたとしても、本当に魔人が悪人ばかりかどうかなんて分からない。貴方みたいにいい人だっているわ」


 「俺は魔人でも人間でも無いけどな。ま、いい人って思って貰えているなら、いい気分だよ」


 何気ない会話に思わず小さな笑みを浮かべるフィフス。


 『本当にいい気分だ。ずっとこれが続けば・・・ ん?』


 フィフスはたった今自分で思い浮かんだ思考に違和感を感じました。


 『()()()()()()()()()』、まるで今はもうないかのような言い分。


 『何を考えているんだ俺は? 今この状況が普通だろ?』


 「フィフス?」


 シーデラに呼びかけられた事でフィフスは我に返ります。


 「悪い、ちょっと考え事してた。」


 「考え事?」


 「気にすんな。しょうもないことだ」


 シーデラに気を使ってすぐに誤魔化しの言葉を入れてしまうフィフス。


 なぜ親しい間柄の彼女に対していきなり気を使ってしまったのか彼にも分かりませんでしたが、まだまだ楽しく彼女に付き合うことにしました。



______________________



 そしてフィフスが気が付かないままに眠らされている現実。彼を括り付ける大木の下では、爆発によって吹き飛ばされたグレシア達が倒れ込んでいます。


 火が苦手なグレシアは大きく身を引き、残りは受け身を取りできるだけ身を地面スレスレに全身をかかませることでどうにか受け流すことに成功していました。


 しかしあの速度の爆発を流石に完全に回避することは難しかったようで、魔人組は負傷、人間組は装甲がいくつか破損してしまっています。


 「あ~あ、また義手がお釈迦だよ。これ一つ作るのでも大変なんだけどなあ」


 「確かに中々に危なかったね。僕もサブシステムがいくつかやられちゃった」


 この場で一番に頭が切れる信。彼から見てこの状況は明らかに自分達が不利であることを考えていました。


 「エデンの奴は装備不良。志歌君達魔人は・・・」


 信が視線を向けると、グレシアは左腕に大きく火傷を負い、ルーズも彼女ほどではないながらも明日腕に負傷箇所があります。


 更に言えばグレシアノ氷は熱に溶かされてしまい、ルーズが下手に風を発生させれば大木に付いている花粉を爆発させる可能性があります。


 ここに来て魔人二人は動くにも動けない状態にさせられてしまいました。


 火華は自分の優位を自覚しているのか、声は出さないながらも人質にしている人達を見せびらかすように幹を動かしてグレシア達に見せびらかした。


 「余裕綽々って感じですね・・・」


 「腹立たしい奴ね・・・ こっちが下手に攻撃出来ないことをいいことに・・・」


 次の手を考えてもあの巨体を相手に人質のことも考えながら対処するにはどうすればいいのかを思い付くにはどうしても時間がかかってしまいます。


 火華もそれを待っているはずがありません。今度子彼女達をまとめて始末してしまおうと大木の幹を揺らし始めました。


 「また揺れ始めた。」


 「もう一度同じ攻撃を仕掛けてくる気なんだろうね・・・ さっきので仕留めきれなかったから、そのときよりより強力活広範囲にして・・・」


 そんなことをされてしまえば今度こそ全員揃ってやられてしまいます。


 そんなことはさせないと信はすぐに銃を構えましたが、火華は彼に人質を近付けて撃たせないようにします。


 かといって範囲外までとりあえず逃げ出そうとする白兎に対しては足下を木の根で絡め取り拘束してしまう。外して新たな偽足を付けるまでにはもう爆発が発生してしまいます。


 絶体絶命。この場にやって来た戦闘員達が何k方法はないかと考えていても、批判は冷酷に彼等にトドメを刺そうとしてきます。


 そうして大爆発が起こるかと見えたそのときでした。突然グレシアの隣後ろから何かが飛び出してきました。


 「何っ!?」


 突如現われた物体は爆発に直撃しましたが、破壊されることはなくそのまま火華に突撃をかけ、人質を拘束していた一部を切り裂き取り除いてしまいました。


 「あれは!!」


 物体の正体を見て最初に驚いたのは信でした。物体の正体は巨大なピンク色のブーメラン。何処か鳥の羽のようにも見えるそれは瞬く間に来た道に戻っていくと、その場に現われた謎のバトルス-ツを着込んだ人物が、両手でどうにか受け止めました。

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