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第324話 夜の森へ突入!!

 時間は過ぎてその日の夜になり、戦闘員達は信に指示された場所に専用武器を持ち、右耳にインカムを付けて待期していました。その内の一人のグレシアの表情は、少しばかり曇っています。


 「・・・」


 そこに隣にいたルーズが話しかけます。


 「後悔していますか? 瓜さんに冷たく当たった事。」


 グレシアはルーズを睨み付けながら腹を立てたのが分かりやすい返事をします。


 「詮索しないで。」


 「それは失礼しました。」


 ルーズは自分の失言に謝罪をして会話を切り上げ前を向きます。グレシアもそれに合わせて口を閉じ、二人は息を潜めながら森の中に入りかけました。しかし次の瞬間・・・


 ザンッ!!・・・


 突然二人の後ろから斬撃音が鳴り響きました。これがどういうことか分かっていたルーズは先に後ろを振り返ると、自分が何体か倒した火華の分身体が身体を真っ二つにしてその場に倒れていました。


 「仕掛けておいて正解だったようですね。」


 遅れて振り返ったグレシアはこれに事を察します。


 「火華の活動範囲・・・ ドクターの連絡より大分広がっていたようね・・・ にしてもアンタ、向け目がないわね。」


 「正直念のためでした。不自然な程匂いがしないので。」


 「匂いがいない?」


 グレシアはここに来てルーズの言っていることに驚きます。普段から彼の鼻は魔人の仲間達の間でも群を向いて鋭い。その彼の鼻で前回は特定できていたはずの匂いすらも特定できないということは、既に相手が対策をしているということです。


 警戒が強まった二人のところに、インカムから信からの連絡が入ります。


 「皆、無事かな?」


 二人は信の質問の言い方に、なんとなく状況に気が付きました。


 「そっちも襲撃に遭ったのね。」


 「早速何体か現れてね。返り討ちにしたよ。」


 「こっちもだ。白兎の感知は機能していないのに出て来た。」


 続いて白兎と共にいる経義からの連絡も入り、バラバラに配置されている全員が静まり返ります。前回よりも増大している敵のテリトリーに探知の撹乱。グレシアの一言を合図に同じ事を頭に浮かべます。


 「これって・・・」


 『『『『『仕掛けられたのはこっちか・・・』』』』』


 情報を持って先手を打ったつもりが、揃いも揃って既に敵の罠に再びかかってしまったようです。しかし元から寝首をかこうとしていた上、更にこの事から既に逃げ道も塞がれているとなると、ここに来た一向にある選択肢は一つです。


 「やれやれ・・・ こうなると・・・」


 「俺達に出来ることといえばそれしかないか・・・」


 そのとき、散らばっているはずの全員の動きがたまたま同じように重なります。


 「小細工の効かない相手には・・・」


 「いっそ作戦なんて捨てて・・・」


 「真正面に・・・」


 「飛び込んで・・・」


 「「「「「倒す!!」」」」」


 グレシア達は足並みを揃えてどれだけ敵の数が増えているのか分からない森の中、テリトリーの中心部に向かって走り出していきました。


 森の中に進軍してそれぞれバラバラのタイミングに火華の分身体が木々の影から出現して彼等に襲いかかってきたが、それぞれが合流地点へ走りながら返り討ちにしていた。


 「思っていたよりも数は多いけど、その分意外と簡単に蹴散らせるわね。」


 「おそらく火華はこっちの数攻めに気が付いて質より数に切り替えたんでしょう。しかしこの強さ・・・ 一度僕と白兎を生け捕りに出来たのをいいことに少々調子に乗りすぎましたね。」


 グレシアとルーズは手に持ったスプレーガンを撃ち出した。スプレーから出てくる特殊液を振りかけられた分身体達は断末魔を上げながら身体をドロドロにとかして時期に消滅した。


 「即席で作ってこの威力!!?」


 「ここまで来るとスごいを通り越して怖いですよあの人・・・」


 試しに使った武器のあまりの威力の高さに二人は手に持ったスプレーガンを見ながらグレシアは口を大きく開けて驚き、ルーズは口角を上げて一周回って苦笑いをしてしました。


 「なんか、あのドクターが味方で良かったって初めて思ったわ・・・」


 「同感です・・・」


 信に関してこのような完走を浮かべている魔人二人に対し、以前から信の事を知っている経義と白兎は、戦闘スーツを纏った姿で特に驚く様子もなく現れる分身体達に次々とスプレーの特殊液を撃ち出して撃退していました。


 「一匹一匹が雑魚とはいえ、増えた数がこれだと相当根が伸びた範囲は広いようだな。」


 「こりゃはやく来たのは正解とも不正解とも言い切れないな・・・」


 「正解に決まっている! こんな傍迷惑な外来植物はすぐに始末するに限る。(アイツ)のためにもな。」


 威勢を上げる声を上げながら経義はノールックで後ろに現れた火華の分身体に射撃を決めて撃退し、するレーガンを持った腕を降ろして前方に進みます。


 「ハァ・・・ そうも熱く言われると若干引くけど・・・ そのくらいの気合いがあった方がいいかな・・・」


 白兎は経義の威勢の良さに肩の荷を降ろし、彼の後ろに続いて中心部へと向かっていきました。そして魔人二人に噂されている信も、以前も使い修理を終えたスーツを着込んでくしゃみをしています。


 「ヘックシ!!・・・ あぁ・・・ 誰かが僕のことを褒め称えてでもいるのかな?」


 といつも通り飄々としている信ですが、そんな彼の周りには軽く十数体の分身体の亡骸がそこら中に転がっていました。


 「全く、人気者は辛いものだね・・・」


 信は自画自賛をしながら焦ることなく合流地点の中心部へと向かっていきました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


『現在の状況』


・グレシア ルーズ 経義 白兎 信


 火華討伐のため繁殖地へ・・・



・平次 鈴音 美照


 危険性が低いため自宅にて待機



・瓜


 カオスに狙われているため龍子家に保護(本人は気付いていない)



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