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第29話 妹が欲しい!!

 行き止まりに追い込まれながら、瓜は突如自分を助けた黄鬼を反応に困りながら見ていました。


 『だ、誰でしょう・・・ なぜ私を・・・』


 そしてそこにいるゴブントと子分は苛立っています。


 「てめえ、この最強の俺様を怒らせるとは、覚悟は出来てんだろうなあ・・・」

 「兄貴、こいつ先にやっちまいましょうぜ・・・」


 そう言って今度は彼女に遅いかかかった。しかし単純な攻撃とはいえ黄鬼は軽々とかわし、少し笑っていました。


 「へ~、その程度で最強なんだ~・・・」

 「クソが、女のくせに舐めやがって。」

 「女は女らしく家帰って家事をしてな。」


 その言葉に黄鬼はカチンときた。


 「言ったわね。アタシはその台詞が大っ嫌いなのよ!!」


 そう言うと、彼女は再び殴りかかってきた二人に、正面から拳を素手で受け止めます。


 「ナ、何っ!?」

 「この俺のパンチが通じないだと!?」

 「フ~ン、大口叩く割にこの程度?」


 手を離して彼らがよろめいた隙に、黄鬼は両手共々顔面パンチを繰り出した。よろけて回避が出来なかった為に二人はもろにそれを食らった。


 「グホッ!!・・・」


 それにより巨体だったゴブントは見事にノックアウトになり、子分は気を失ってはいませんでしたが、自慢の兄貴がやられたことで怯えています。


 「さ、次はアンタ?」

 「ヒ、ヒィーーーーー!!」


 子分は気絶した兄貴を引き連れて大急ぎで逃げ出しました。


 「す、すいませんでしたーーーーーーーーー!!」


 あっという間に二人は見えなくなってしまいました。


 「何よ、これだけしかないの? しれてるわねえ・・・」


 彼女はいつの間にか奪っていた財布の中の金を数えていました。


 瓜はただその姿を傍観していましたが、彼女がこちらを見たことでギクリとなりました。彼女の目も明らかに瓜を狙ったものだったのです。そのまま黄鬼は足音を立てて瓜に近づきます。


 『や、やっぱりマズいかもです・・・』


 黄鬼は瓜をまじまじと見てにたっと笑いました。



______________________



 そのころのフィフス。苦しそうな寝顔をしていたが、次の瞬間に目を覚ました。


 「瓜!!」


 するとその目の前には、人では無い何かの顔が至近距離まで近づけられていました。その顔の目が瞬きするたびにフィフスは困惑します。


 「・・・?」


 彼が両手を動かしてその対象を担ぎ上げた。その手の中には、丁度抱き心地の良さそうなサイズの小さな白いユニコーンが元気よく暴れています。


 「いきなりどアップの再開か、『ユニー』。」


 このユニコーンの名は「ユニー」、フィフスの契約魔獣。瓜との契約とは違い、互いの立場は平等な契約をしており、彼の友とも言える存在です。


 そしてフィフスが辺りを見回してみると、そこは久方ぶりの自室、つまりここは魔王城の中というわけです。そして部屋の中には、ユニーの他にもう一人誰かいました。


 「おや、お目覚めですか。お久しぶりぶりです、王子。」

 「ルーズ! お前もいたのか。」


 この男は「ルーズ」、こちらはフィフスの執事です。(※詳しくは第一話を読んでください。)


 「挨拶と謝罪ぐらい先にしてください。こちとら誰かさんが行方不明になったおかげで、もう少しで懲罰棒行きだったんですから。」

 「良く無事で済んだな。」

 「どこからか王子の行方不明を聞きつけたのか、勇者どもが次々貴方の首を取ったと言い出しましてね。それの処理に追われていました。」

 「それはそれで酷い話だな。」


 フィフスは苦笑いをします。


 「まあおかげで刑が先送りになって、王子がその前に帰ってきたんで、結果オーライですね。」

 「お前が執事で良かったよ。『でなきゃ恨みで殺されそうだ・・・』」


 フィフスは少し汗をかきましたが、そんなことより優先することがありました。ユニーを近く置き、立ち上がろうとします。しかし・・・


 「うっ!!、フーーー・・・」


 またすぐに倒れ込んでしまいます。


 「いきなり無理をしなでください。何があったか知りませんが、今の貴方は急激に魔力を消費しています。見つからなかったらどうなっていたことか。」

 「それでも行かなきゃなんねえ、今すぐ終わらせてえ用事があんだ!!」


 いつになく真剣な様子のフィフスに、ルーズは聞くことにしました。


 「何がありました? 話してください。」


 ルーズを信用しているフィフスは、彼とユニーに話すことにしました。


 「人捜しをして欲しい。急ぎで頼む・・・」

 「・・・ その方の特徴を。」



______________________



視点が戻って再び瓜。さっきの黄鬼の家に連れ込まれてなぜか丁重にもてなされていました。寒がっていたからか、風呂に入らされ服を貸し与えられています。そして今、当の本人と同じ席でお茶をすすっていました。


 『ど、どうすれば良いでしょうか。この状況・・・』


 瓜は黄鬼のしたいことが分かりません。何分か待っていると、彼女は口を開いきます。


 「ねえ、貴方名前は!? 」


 だが例のごとくのコミュ障のせいで、瓜はボソッとしか答えられませんでした。


 「ま・・・ 瓜・・・ です・・・」

 「エッ? 何て・・・ ウリー?」


 一瞬訂正しようと思いましたが、ここは自分の知らない国であることを思い出し、敢えてそのままにしようと思い、首を縦に振ります。


 「フ~ン、あまり効かない名前ねえ。どうしてこんな所にいるの?」


 その質問にウリは答えられません。コミュ障のこともそうでしたが、突如異世界から来ましたなんて言われても普通信じる訳がありません。そして何より気になっていることがあったのです。


 『この方、どうして私を助けたんでしょう・・・』

 「とか、考えているんでしょ。」


 唐突に言われた言葉に瓜は自分の考えが読まれていることにゾクッとします。そして黄鬼は机にカップを置き、質問にこう答えました。









 「可愛かったからよ。」







 「ハイッ?」

 「前から欲しかったのよねえ、こんな妹。」

 『い、妹・・・』

 「ウリーちゃん見た感じ行くところないんでしょ。ここで住んで良いからアタシの妹になってよ!!」

 「エ・・・ ア・・・ でも・・・ 私、人間・・・」




 次の瞬間、黄鬼は突然キラキラした目をして瓜にガツガツとしてきました。予想外の彼女の動きに瓜は冷や汗をかいて止まってしまいますが、彼女の押しは続きます。


 「大丈夫よ!! こんなに可愛いんだったら人間でも何でも。変装道具も揃えるし、欲しいものも何でも買って上げるから!! ね、お願い!!」


 あまりの押しの強さに瓜が押さえ込まれていると、そこにもう一人、肩にカラスに似た鳥を乗せた赤い頭巾をかぶった女がやって来ました。そして黄鬼に部屋の隅から話しかけてきます。


 「お取り込み中失礼します。ひ・・・」

 「サド!! アタシはサドよ!!」


 何か誤魔化したように黄鬼ことサドは叫びました。それにやって来た彼女は呆れながらも続けました。


 「ゴッホン!! お取り込み中失礼しますサドさん。急ぎの知らせですよ。」

 「あ、そう。 悪いわねウリーちゃん、続きはまた明日に・・・」

 「あの方は?・・・」

 「ああ、気にしないで。ルームメイトの『キンズ』よ。部屋は用意したから、今夜はそこでゆっくり眠りなさい。」

 「ハ、ハァ・・・」 


 結局瓜はサドに流されるままにそこで一晩寝泊まりすることになりました。部屋に行ってみると、かなり力が入っていることが分かります。


 『す、凄い・・・』


 時間も遅かったので、瓜はその部屋で眠りました。



______________________



 そして席を離れたサドとキンズ。家の奥、サドの自室前にてさっきの続きを話していました。


 「で、急ぎの知らせってのは何?」


 キンズは鳥の足についていた手紙を取り、サドに渡します。


 「こちらを。」


 彼女はそれを広げて読んでみます。


 「何々・・・ !!?」


 それを読んだサドは、衝撃を受けて目を丸くしました。


 「書いてあるとおりそういうことです。明日の夜は開けておいてください。」

 「・・・ わかったわ。そうする。便せん出して。」

 「ハイ。ただ今・・・」


 サドは自室の中に入り、一枚の手紙を素早く書き上げると、それを取りの足につけて窓から飛ばしました。そしてサドは自分のベッドに入り、その日はそのまま眠みにつきました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・フィフスが目覚めた理由


 倒れて帰ってきたことに心配したユニーが滝のような涙を流しながらフィフスの胸の上で何度も飛び跳ねた衝撃を受けたため。


ルーズ「少しは落ち着いてください、ユニー・・・」





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