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第302話 フィフスの彼女!?

 身を潜めていた一行を捜していたかのように見つけ出し、突然一目散にフィフスに抱きついてきた女性。身に憶えの無いことな上、彼女から名前を呼ばれて彼は困惑してしまいます。


 「エッ・・・ 誰?」


 そんな彼、そしてさっき彼自身が言っていた予想が現実になったことに女性陣はリアクションに困って固まってしまう中、抱きついてきた女性は顔を上げ、上目遣いのウルウルとした瞳で語りかけてきました。


 「そんな! 和子よ! 忘れたの!?」


 「いや忘れたって言うか・・・」


 対応に困っているフィフスより先に、正気に戻ったグレシアが前に出て、彼女の右肩を掴み、意識を向けさせてから聞きます。


 「何よ?」


 「貴方こそ、そいつの何なの?」


 質問を受けた和子は一瞬キョトンとし、それを戻すと更に強くフィフスに抱きつきながらこう言い張りました。


 「何って・・・ 私は、五郎君の彼女よ!!」


 「「「彼女!!?」」」


 三人の驚きの声が重なりました。そしてフィフス自身もこれには流石に彼女を体から離して反対します。


 「いやいやいや! 誰かと勘違いしてんのか!? 俺に彼女はいないぞ!!」


 しかし和子の意見は変わらず、それどころかフィフスの方がおかしいのかとばかりに問いかけてきます。


 「エッ!? そんなことないわ!! だって貴方から告白してきてくれたのに・・・」


 フィフスはそんなことはないと確信していましたが、和子の態度から彼女が言っていることにも嘘はなさそうです。どういうことか訳が分からなくなっていると、そこに更に彼の名前を呼ぶ声が別で出て来ました。


 「小馬く~ん!!」


 「ヒデブッ!!・・・」


 全く意識の外だった真後ろから飛び込まれたフィフスは打ち所が悪く軽くダメージを受けると、ぶつかってきた女性は和子と同じように彼に抱きついて頬擦りをしてきました。


 「ようやく見つけた! 私、あれからずっと心配してたんだよ!!」


 和子は更に別の女性の出現に女性陣が全員固まってしまい、いち早く動けた和子が眉のしわを寄せて詰め寄ってきます。


 「ちょっと貴方誰よ!? ()()五郎君に気安く抱きつかないで!!」


 それを受けて現在抱きついている女性は和子と鏡で映したかのように全く同じ表情になり、同じような反論をします。


 「アンタこそ誰よ!! 小馬君は()()()()彼氏なの!!」


 「返しなさいよ!!」


 「そもそもアンタのじゃないって言ってるでしょ!!」


 「イタタタタタタ!!! 止めろとりあえず二人とも止めろ!!!」


 二人の女性に正反対の方向から力一杯引っ張られ、腕がちぎれそうな痛みを受けるフィフス。切実な思いで声を出していても、相手側には一切伝わらずこのままでは本当に真っ二つになってしまいそうです。


 そんな彼に、更に更にマズいことが起こりました。現在見ている視線の反対から、またしても彼の名前を叫ぶ女性の声が聞こえてきたのです。


 「ごろ~う!! やっと見つけたわぁ~!!!」


 その女性は最早示し合わせたかのように引っ張られて張り詰めていた彼の背中に激突し、そのまま端二人が手を放してしまったことで吹っ飛ばされ、近くの壁に激突してしまいました。


 「アガァ!!!・・・」


 壁に頭をぶつけて痛めてしまい、右手で押さえるフィフスに、突撃した少女は瞳をキラキラとさせながら今度は正面から抱きついてきました。


 「何処に行ってたのよ! 連絡も無視して・・・」


 彼女の言い分も、フィフスからしたら知らぬ存ぜぬです。かといって少女の言い方も嘘とは思えません。しかし彼には、こう言うことしか出来ませんでした。


 「いや、だからアンタのことも知らないって・・・」


 しかし彼女はフィフスの言葉を受け入れる事はなく、記憶喪失と思われて両肩を持たれ、思いっ切り頭を振らされてしまいます。


 「そんなことないわ!! あの時の情熱的な告白はどうしちゃったのよ!!?」


 「告白って何だよ!? 俺は彼女無しの健全な男子高校生だ!!」


 この一連の流れに何も出来ていなかった美照達三人。せいぜい出来たのはその場で観客になることくらいでした。


 「さっきから何でしょう、あれ・・・」


 「さあ、言い分からして全員フィフスの彼女らしいけど・・・」


 「全員話しが食い違ってるわ。どういうこと?」


 疑問を浮かべる美照。そこに和子が詰め寄ってきた。


 「何よ貴方たちまで!! まさか貴方たちも五郎君の彼女って言うんじゃないでしょうね!!?」


 「わ・・・ 私は、友達で・・・」


 「アタシは腐れ縁よ。そういう仲じゃないわ。」


 「私は・・・ 後輩です・・・」


 渋々言った美照。その言い方に疑う三人でしたが、一度意識を余所に向けていた彼女達は後ろのフィフスに当然の質問をします。


 「「「ねえ! これってどういうこと!!?」」」


 しかし三人が後ろを振り向いたときには、既にフィフスの姿は底にはありません。どうやらもめている内に逃げられたようです。


 「「「ナアァ!!・・・」」」


 三人がまた動きを揃えてため息をつき、勝手に分かりやすく落ち込みます。ですがそこからすぐに奮起し、またフィフスの所に行こうと走り出そうとします。


 しかし、その瞬間、三人揃って瓜とグレシアの手に掴まれて阻止されました。


 「ウオッ!!」


 「フグッ!!」


 「ホワッ!?」


 突然の足止めに怒った彼女達は一斉に振り返り二人に怒鳴り出します。


 「何よ! 邪魔しないで!!」


 「そうよ! やっぱりアンタ達も彼を狙ってるの!!?」


 グイグイと攻める彼女達に押されかけたのを見てグレシアが諫めると、彼女に助けられた瓜が声を上げます。


 「あのっ!!・・・」


 「「「「ッン!?」」」」


 瓜の大声に全員がビックリしていると、彼女は全員の目を見て真っ直ぐ言います。


 「あの、貴方たちに聞きたいことがあるのですが・・・」


 「「「「聞きたいこと?」」」」


 話を聞いた四人が全く同じタイミングに首を傾げてしまいました。

 以前短編を書いた『異世界転生者の俺より先に魔王を倒した奴についていったら別の異世界に来てしまった!!』の連載版を執筆中です。


 それに関してのアンケートをTwitterで行なっていますので、意見をもらえると嬉しいです!!




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