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第296話 ピエン

 経義が静ではなく自分に攻撃してきたことに呆気に取られていたキコ。相手の方はその隙を見逃すことはなく、静を放して突撃をかけます。


 完全に隙を突かれたキコは、座っていた男から離れるも間に合わず、反撃する事も出来ずに彼に取り押さえられてしまいました。


 起こった事態を理解しきれず、彼女は経義に怒鳴るように真っ先に気になったことを質問します。


 「どうして!? お前も催眠術にかかってたはず・・・」


 経義は話しの最中にキコが身動きを取れないようより力を入れて彼女を抑えながらその問いに返事をします。


 「そこにいる男から魔人の催眠術のカラクリは聞いていたんでな。ようは耳さえ防げばこっちのものだ。」


 「耳を塞ぐ? ッン!?」


 そのとき彼女は彼の耳をよく見て、そこに肌色に塗られて視認しにくくされているワイヤレスイヤホンを見つけました。どうやらそれを使って防いでいたようです。


 更に彼はそもそも自分がここにいる理由も話し出します。


 「ここ数週間、何人もの成人男性が貧血状態で倒れているのが見つかった。被害者は全員女とのデート中に襲われたということ。そして金銭関係に被害がなかったことから俺が調査に出ることになったということだ。」


 「始めから、私を狙ってたって事・・・」


 キコは経義の説明に少し悔しそうな顔をしましたが、それを戻してまた相手のことを鼻で笑いました。


 「フンッ! だから何よ!? あんた一人が効いていないくらいで状況が変わるとでも? 人質を取っているのは変わらない! むしろこんなことしたんだもの! もう人質の命はないようなものよ!! 残念だったはねえ!!」


 大きく高笑いをする彼女。しかし経義はそれを聞いても全く動じる様子はなく、笑い続ける彼女に冷たい声で笑いを止めました。


 「それって、あそこで伸びている奴らのことか?」


 「ハハハ!!・・・ は?」


 経義は右手の親指を自身の右方向に差し、キコがそれに合わせて首を向けます。そして彼女が見たのは、彼の言うとおり既に伸びをして縄で縛られている男達と、いつの間にか縄をほどいている人質の四人でした。


 「は?・・・ ハアァ!!?」


 「己の力を過信しすぎたな。」


 キコがあまりの驚きに瞬きもせずに凝視していると、その目線の先にいるフィフスとサードが手についたホコリを払っています。


 「あんなもん自力で解けなきゃ戦士失格だ。俺らの場合実家のこともあるしな。」


 「誘拐対策はバッチリよ。」


 「流石王家・・・」


 瓜がこぼした一言にキコは反応します。


 「お、王家?・・・」


 何処か嫌な予感を感じた彼女。その答えを示すように、フィフスとサードは自身の擬態を解き、鬼の姿を現します。それを見たことでキコは大量の汗を流して焦り出します。


 「お、赤鬼に黄鬼!?・・・ それに王家って・・・ まさか・・・ 魔王家の・・・」


 「そ~う! 魔王国第二王女、サードよ。この世界になじんじゃって、気品も誤魔化されたのかしらね。」


 「同じく第三王子、フィフスだ。『気品なんて元からねえだろ、姉貴は・・・』」


 二人はそこで姉弟らしく同じ仕草で指をパキポキと鳴らし、ゆっくりと歩き出します。


 「色々聞きたいことはあるが、ここまでやってくれたんだ。」


 「ちょおぉっと、反省するようにお仕置きしておかないとねぇ・・・」


 フィフスとサードが目を「ピカンッ!!」光らせながらキコに近づきます。彼女はもがきながらも拘束から抜け出せず、もう手遅れでした。


 「イッ・・・ イッ・・・


    イヤアァァーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 廃虚中にキコの断末魔が響き渡り、あまり戦闘とも言えないような戦闘が終了しました。



______________________



 数分後・・・





 「本当に申し訳ありません!・・・ 二度とこんなことはしませんのでもう勘弁してください!!・・・」


 戦闘員三人にたっぷり絞られたキコは、圧がかかった視線を受け続けながら完全に戦意を喪失してその場に正座をし、降参の言葉を吐きました。こうも態度が変わってしまったことに瓜も同情してしまいます。


 「こうも痛めつける必要は・・・ なかったのでは?・・・」


 「正直、今まで見て来た魔人の中で一番弱い気が・・・」


 静の言葉、そして追い込まれたこの状況にこみ上げてきたものが限界突破したのか、突然瞳をウルウルとさせ、そこから噴水のような大量の涙を噴き出させました。。


 「ピエエエエエエエエェェェェェェェェェェン!!!!!」


 「ええぇ・・・」


 彼女の子供のような大泣きに一行は若干引いていると、彼女はそのまま聞いてもいないことを大声でペラペラと話し出しました。


 「なんなのよぉ!! いつものように過ごしていただけなのに! 突然変な世界に来て! 右も左も分からないで野垂れ死にかけて、男をたぶらかしてどうにかその日分の血を摂取できていたのにぃ!! アァ!! なんで私が何でこんな目に遭わないといけないのよぉ!!!」


 「突然変な世界に来た?」


 叫んでいる中にあった一つのフレーズにフィフスが引っかかります。そこで彼はふと流れで彼女に聞きました。


 「戦闘力からして薄々感じていたが、お前、魔革隊の関係者じゃないのか?」


 「まかくたい? 何よそれ!?」


 「やはり知らないのか!?」


 「じゃあ、どうやってこの世界に?」


 「だから言ってるじゃない!  私は日本(ここ)に突然来ちゃったの!!」


 そこからキコは、自身が何故日本に来たのかを具体的に話し出しました。


現在、作者が新作の短編の投稿準備をしています。


 ちょっと変わった異世界冒険物語を構想していますのでお楽しみに!!



フィフス「俺ら、お払い箱になってしまうのか・・・」


瓜「まだまだ続きますよ。きっと・・・」




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