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第292話 メイド喫茶潜入

 瓜が策略的に折らされたせいで、いかにもなオタクのコスプレをしてメイド喫茶に潜入したフィフス。一応外面はそれっぽいキャラを作っていますが、メガネの奥の目は、かなり怒っています。


 『なんで俺がこんな・・・』


 と誰もいなければ今すぐ愚痴を吐いていそうな彼。そこに耳元から静の声が聞こえてきました。連絡器具として右耳にワイヤレスイヤホンを付けているようです。


 「こちら静、聞こえますか!?」


 フィフスはイヤホンを右手で抑え、少し怒りマジrの返事をします。


 「大丈夫だ・・・ さっさと用件だけ伝えろ。」


 「若様はもういらしてますか?」


 フィフスは店内を見渡しますが、現時点で経義の姿はありません。


 「いや、確認できない。お前時間調べてなかったのか?」


 「いつも行く時間がバラバラだったので・・・ 確率の高いところにしか・・・」


 「せめてもっと調べとけよ・・・ 下手したら行き損だぞ・・・」


 メイド喫茶の近くにあるコンビニエンスストアのイートインスペース。瓜と静はその窓際の席から双眼鏡を使って向こうの様子を覗いていました。


 自分の友達がいやいや働いている姿に瓜は申し訳なさを感じます。


 「ううぅ・・・ すみません、ゴー君・・・」


 「とにかく、若様が来るまでの間その場で待機してください! こっちから見つければ報告するので。」


 「それって牛若が来なかったずっとこの変な空間に置かれっぱなしって事か?」


 フィフスがこの時点で何処か身の危険を感じていると、メイドの一人が注文を取りに来ました。


 「お帰りなさいませご主人様! ご注文は何になさいますか?」


 「お、おう・・・」


 本物のメイドに慣れ親しんでいるフィフスは、逆にあざとく可愛らしい接客に対し反応に戸惑ってしまいます。とりあえず落ち着いて喉を潤したい彼は単純に注文します。


 「ああ・・・ じゃあカフェラテ、ホットでお願い。」


 ヘンテコな物が多い中で単純なメニューを言ったつもりのフィフス。しかしここはメイド喫茶。そんな簡単に注文を返されます。


 「はぁい! 『萌え萌えアート注入カフェラテ』ですね? かしこまりましたご主人様!!」


 『どうにしろ変な物しか売ってないのか・・・ この店・・・』


 メイドが去って行くと、フィフスは作っていた笑顔を崩してげんなりします。どうにもこの店の雰囲気は彼の肌に合わないようです。


 『ったく・・・ 牛若の奴はいつになったら来るんだ?・・・』


 入って既に帰りたい気分になっているフィフス。その頃外から見張っている瓜が、ようやく目的の人物を見つけました。


 「静さん! あれを!!」


 血走った目で別の場所を覗いて捜していた静は、彼女に肩を叩かれてタイミングを間違えれば風圧で肩に乗せていた手がちぎれそうな勢いで首を振り、なんとか回避した瓜もビックリして若干引いてしまいます。


 「若様・・・ 若様・・・ アッ!!」


 必死に経義を捜す静は最早血走った目玉を双眼鏡の先から飛び出させて彼を見つけ出し、瞬時にその挙動を細かく観察します。


 「私服・・・ それに堂々としている。特に緊張することもないようです・・・」


 隣の瓜は静の背中から熱気のようなものが見え、冷や汗を流しながら絶句してしまいます。


 そして自分のメイドから見張られていることなど予想だにしていない経義は、そのままフィフスのが潜入しているメイド喫茶に何の躊躇いもなく入っていきました。


 「入った!!」


 「ゴー君、牛若さんが中に・・・」


 店の中にいるフィフスも入り口付近を見て小声で通信機に返事をします。


 「ああ見えてる。えらく慣れていそうだぞ。」


 また客が入ったことでメイド達は笑顔で経義に挨拶をします。


 「お帰りなさいませ! ご主人様!!」


 「ああ、彼女は来ているか?」


 『彼女?』


 フィフスは経義の台詞に引っかかっていると、彼がいることを知らない経義はメイドの一人に案内されるままに席に座ります。すると少しして一人のメイドが彼に近付いていきます。


 二人が何か会話をしているようでしたが、周りが騒がしくて聞き取ることが出来ません。そこで彼は静から渡され、ポケットの中に入れていた小型盗聴器を手に持って見ます。


 『なんでこんな面倒くさいことを・・・』


 と思っていても、はやく進展が欲しい向こうのメイドはフィフスに文句を言ってきます。


 「何をしているんですか五郎さん!! はやく若様の席に機器を仕掛けてください!!」


 『あ~・・・』


 フィフスは面倒くさく思いながらも小型盗聴器を親指で弾いて器用に経義のポシェットに取り付けました。張り付くと同時に起動した機器でフィフス達三人の付けているイヤホンから会話の内容が聞こえて来ます。


 「また来てくれたんですね、経義さん。」


 「ああ、君に会うためだからな。」





 『『『ンッ!!?・・・』』』


 三人揃って経義が言った台詞に一度固まってしまいます。


 『アイツ・・・ 今なんて言った?・・・』


 『あの経義が・・・ 君に会いたいなんて・・・』


 『・・・』


 瓜は静かになった静の様子に逆に恐怖を感じてしまいます。


 フィフスの方も経義の意外な態度に聞きに行こうとしますが、そんな彼を止めるようにメイドの一人が彼に声をかけてきます。


 「ご主人様!」


 「!? もうカフェラテが来たのか? 悪いが席に置いといて・・・」


 フィフスがメイドの顔も見ずに席を立とうとすると、何故かメイドは彼の左肩を上から押さえつけて阻止します。


 「なんだよ! こんなときに!!・・・」


 フィフスが邪魔されたことに苛立ちを覚えながら後ろを振り返ります。しかしそこにいた人物の顔を見て彼の表情は一瞬で恐怖のものに変わりました。


 「ナッ!!・・・ なんで・・・」


 「お帰りくださいませ、ご主人様・・・」


 フィフスが見たのは、メイド服姿で彼に怒りのオーラを放ちつつ圧をかけてくるサードの姿でした。


キンズ「皆さん、不遇不遇と落ち込むのもいいですが、ここにセカンド姫以上に出番のない存在がいるとこと忘れないでください。」



ルーズ「姉さん・・・」



グレシア「なんか、ごめんなさい・・・」




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