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第286話 権力勝負

 その後、フィフス達四人はまたしても慌ただしく帰り支度をさせられ、この後に花や根須に一切会えないまま、ほとんど追い出されるような形で撮影現場を出ていくことになりました。


 一向、特に鈴音は納得がいきませんでしたが、その日はそれで解散になってしまいました。


 しかしそんなことで出て来た鬱憤が晴れるわけがなく、次の登校日の昼休み、集まった途端にやけ食いをしながら愚痴を叫んでいました。


 「納得いかないぞ!! こんなの!! あんだけ働かされ解いて!!」


 「実際働いたのは俺とルーズなんだが・・・」


 「アハハ・・・」


 フィフスと瓜は一筋汗を流して微妙な反応を示す中、その場で初めて騒ぎを聞いたグレシアと平次が第三者としての意見を言います。


 「でも確かに酷いものよね。CMの撮影に行ったはずがとんだとばっちり・・・」


 「挙げ句邪険に扱われて追い出されるなんてな~・・・」


 二人の言葉に更に怒りが湧いてきた鈴音は、ルーズがいつもより多めに用意してくれた昼食を一気に飲み込んでしまいました。


 「ああぁ~! まだ足りないぞ!! ルーズ、もっとないのか!?」


 「これ以上食べると太ってしまいますよお嬢様。」


 「え? それくらい普通では?」


 「「「「エ!?」」」」


 二人の会話にキョトンとした顔で瓜が行って来た台詞にフィフス以外の面々が一斉に彼女を見ました。彼女の代わりにフィフスが呆れながら補足しました。


 「コイツはこう見えて大食漢なんだよ。いちいち気にするな。そんなことよりだ・・・」


 フィフスは素速く話の路線を先日の事件のことに戻しました。


 「今回の件について、もう一つマズいことになったぞ。」


 「マズいこと?」


 鈴音がしれっと用意された追加のサンドイッチを頬張りながら聞き返すと、フィフスが言ったのはその食欲を忘れさせる内容でした。


 「根須マネージャーがクビになった。」


 「根須さんが!!?」


 「そんななんで!!?」


 鈴音はサンドイッチを口元から下ろし、瓜も身を乗り出して聞き返します。


 「何でも今回の件、彼女のスケジュール管理がずさんだったからと理由付けされたらしい。それでマネージャーを下ろされ、そのまま切られたようだ。」


 「そんなことになってるのか!? いくら魔人を信じたくないからって、これは・・・」


 「そうじゃねえよ。コイツは方便だ。」


 フィフスの切り返しに、次の彼の言うことが気になってこの場の全員が静まりました。


 「今回の件、騙されたとはいえ魔人の手引きをしていたのは事実だ。だが事務所側にとってそこは重要じゃない。肝心なのは、花をどうするかだ。


  おそらく事務所側は、根須マネージャーを切ることで花をより監視しやすく、稼がせやすくしたんだろう。より利益を生むためにな・・・」


 フィフスの表情が少し苛立ったものになり、ルーズ、そしてグレシアもそれになにをを感じ取ります。しかし鈴音はそんなことより話の最後の点に注目しました。


 「より稼ぎやすくするって・・・ その事務所、花さんのことを何だと思ってんだ!?」


 「おそらく『都合ののいい道具』ってとこか。あくまで俺個人の予想だが・・・」


 彼の話を聞き、『都合のいい道具』という単語に周りの息が詰まってしまいます。やり場のない感情に耐えかねた瓜と鈴音はつい文句を出してしまいます。


 「おかしいぞそんなの!! 花さんは使いきりの道具じゃない!!!」


 「それに、根須さんだって、やり方はマズくても、花さんのために動いたのに・・・ それすら聞き入れないなんて・・・」


 「なんとか、ならないんでしょうか?」


 例のごとくお人好しの瓜が聞いて来ます。しかしフィフスは冷たく突っぱねました。


 「今回はもう俺らにはどうしようもねえよ。護衛の名目も立たねえしな。」


 「そうですか・・・」


 暗い顔になる瓜と鈴音。そこにフィフスは補足を付け足しました。


 「何落ち込んでんだ。()()()()、どうしようも無いって言ったろ?」


 「ッン?!・・・ それって・・・」


 フィフスの言い分に瓜と鈴音が顔を上げると、彼が自慢げに鼻を高くして答えました。


 「安心しろ、抜かりなく手は打った。俺らはただ待っていればいい。」


 「正確に言うとこれから打って貰うんですけどね。」


 「余計なことを言うな。お前・・・」


 ルーズに横から余計なことを言われてフィフスは若干つまらない顔をしますが、二人は興味津々でより深く聞きます。


 「それで! 誰に動いて貰うんだ!?」


 フィフスは今度は圧に押されて仕方なく話しました。


 「向こうが権力を使うんなら、こっちもバックの権力を使おうって魂胆だよ。ま、もう一つ策は考えているがな・・・」



______________________



 そのフィフスとルーズが言う裏で手を打ってくれる張本人。現在どこかの建物の廊下を歩きながらぶつくさと独り言を呟いています。


 「やれやれ・・・ 白兎君も言ってたけど、今回は本当に人使いが荒いんだな・・・ 五郎君は・・・」


 と文句を呟く信は、自身のマグナフォンを耳に当て、唐突に誰かと会話をします。


 「そっちはどう? ここで僕の方だけうまくいってもそっちがダメなら結局意味無いんだけど・・・」


 聞こえて来たのは経義の声です。


 「それは俺の問題じゃない。だが安心しろ。アイツは一度受けた仕事はキッチリ最後までやる奴だ。」


 「ハイハイ、分かってますよ~・・・」


 信は電話を切り、マグナフォンをズボンのポケットにしまってその表情を真剣にし、ある部屋の扉の前に立ちます。


 「さてと・・・ 皆も頑張ってるみたいだし、僕も一肌脱がないとね。」


 そう言って信は部屋の扉を開けて中に入っていきました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・人肌脱ぐと・・・



フィフス シックスパック


ルーズ  シックスパック


信    シックスパック


平次   ポヨンポヨンの贅肉



平次「ガチモンの戦士達と比べるなぁ!!!(泣)」




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