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第283話 護衛完了

 二つの戦闘していた所から離れた場所。どこかのマンションの一室。拘束され、動きの取れない密潮と、それを見張るフログ。そして椅子に座っていくつかの契約の魔道書をテーブルの上に広げてくつろいでいるカオスがいます。


 そこで黒い魔道書のページをペラペラとめくっていると、違和感のある音が耳に入りました。そこに顔を向けると、並べていた魔道書のうちの一つが黒ずみだし、灰となって崩れました。カオスはすぐにそれが誰のものかを言います。


 「あらら、以津真天の奴負けちゃったのか。これだともう一方もアウトかな?」


 特に危機感を感じる様子もなくカオスは立ち上がり魔道書の列に向かって右手をかざします。すると右手と魔道書群の間の空間に魔法陣が発生し、テーブルの上の本を回収しました。


 「せっかく二段構えにしたのに、バレちゃったら意味無いよなぁ~・・・」


 彼は愚痴をこぼしながら一つだけテーブルに残していた魔道書を拾い上げ、拘束されて身動きの取れない密潮に近付けます。


 「ということなんで~・・・ もう一度魔人と契約してもらえませんかぁ?」


 しかしカオス達が自分の思うように願いを叶える気がないことを知っていた密潮は、話は出来ないもののそれを拒みます。


 ですがカオスはそんな彼の意思を聞く気は毛頭ありません。


 「酷いなぁ。僕は君の願いを叶えようとしているだけなのに・・・ まぁ確かに、やり方はこっちの勝手だけど。


 でも結界的には君の願いは叶うんだよ? それの何が不満なんだい。」


 カオスは魔道書のページを広げ、強制的に彼に触れさせようとします。


 「さあ、自分の心に正直になって・・・」


 密潮はその声にどうにも力が入らなくなり、徐々に差し伸べられる魔道書にそのまま触れてしまいそうになります。


 しかしその直前・・・






 バタンッ!!! シュン!!・・・



 突然部屋の扉が開き、そこから投げ込まれた何かに魔道書は貫かれ、奥の壁に刺さってしまいます。


 「ッン!?」


 カオスは驚き、密潮は我に返り、壁にもたれていたフログがそこから離れて右腕から剣を出します。三人が同じタイミングで入り口の方を見ると、スーツを着た経義、サードを中心としたエデンコーポレーションの一個団体がいつの間にか周辺を囲っていました。


 「ヤッホ~! ギリギリ間に合ったようね。」


 どうやらさっき投げつけられたのは、サードの二刀流の剣の片割れが刃を飛ばしてきたものだったようです。


 「アチャパ・・・ ここがバレちゃうとは・・・」


 どうして場所が割れたのか分からないカオスに、経義が剣をフログに突き付けながらこう代弁するように話します。


 「手足をもがれた分の仕返しはキッチリやる。俺の同業者からの言葉だ。」


 カオスがそれを聞いてなんとなく察してフログの体を改めて見ると、甲冑の隙間にいくつか細かい機械のパーツがあるのが見えました。


 「フログ~・・・ 君の体発信器だらけになってるよ。」


 「手足の仕返し・・・ あの男か。」


 フログの頭に白兎の姿が思い出されます。今の彼はまさに戦いに負けて勝負に負けたような思いでした。


 こうなってしまってはとフログは前に出ながらカオスに聞きます。


 「失態の分の責任は取る。俺が潰してこよう。」


 ですが彼がカオスの前に出ようとしたとき、カオスは左腕を彼の前に出してそれを止めました。


 「待った。この状況で抵抗する人一人を抱えて動くのはリスクだ。セレン様に洗脳してもらう手もあるけど、それではしょぼいのしか出来ないしね。」


 「つまり、この場は仕切り直しということか。」


 「そゆこと。」


 フログは剣をしまい、カオスもサードの剣が刺さった魔道書を拾いに行きます。しかしサードはその前に動き、引き出したワイヤーを戻して刺さっている魔道書を回収しました。


 「そうはさせないわ。これはいただくわよ。」


 調子よく盗んだものを振りかざす彼女にカオスは顔を向け、フログの隣にまで戻って言葉を返します。


 「手癖の悪いお姫様だなぁ・・・ まあいいや。それは上げるよ。せいぜい役に立てるこったね。」


 その言葉を最後に、カオスもフログもその場から忽然と姿を消しました。一瞬でいなくなって二人に小隊は慌てますが、中心のサードと経義はむしろ肩の荷を下ろしたような思いでした。


 「逃げたか・・・」


 「この場は仕方ないわよ。人一人救えただけ良しとしましょ。」



______________________



 場所が戻り、戦闘場所から来た道を戻っているフィフスと鈴音。彼に一通の電話がかかり、それを手に取っていました。


 「そうか、また逃げてったか・・・ いやいい、もう発信器も破壊されてるだろうし、行けたとしても罠を張っている可能性が高い。つ~ことで、ここまででいいんで、お疲れ様でした。」


 フィフスが電話を終えると、すぐに鈴音が聞いて来ます。


 「誰と話してたんだ?」


 「姉貴。契約者を確保したらしい。その場にいた連中には逃げられたようだが、今回はこれで御の字だろ。」


 「そうか・・・ 花さんの彼氏さん、無事なんだな・・・」


 鈴音がホッとした表情を浮かべたとき、反対方向から特徴的な足音が聞こえて来ました。ユニーのものです。


 「向こうも終わったようだな。」


 二人が前を見ると、瓜、そして元の姿のユニーの背中に横たわった常態のまま乗せられたルーズがいました。契約魔人の衝撃的な姿に鈴音が飛びつきます。


 「ルーズ!? 一体どうしたんだぞ!!?」


 焦る彼女にフィフスがジト目になってこうなった理由を一言で言い当てます。


 「奥の手を使ったのか。」


 「奥の手?」


 質問する鈴音に、疲れ切ったルーズに代わってフィフスが解説しました。


 「<疾風術 風刃刺突弾>、威力はデカいが消費も多く、使うとこうなる。一日経てば動ける程度に回復するから安心しろ。」


 『それって、剣を使ったゴー君と同じ・・・』


 「いやぁ、お互いお疲れだな。」


 「厄介な方を押しつけておいてよく言いますよ・・・」


 力のない声で文句をこぼすルーズ。仲間噛んでの一悶着はまだありそうですが、とりあえず今回の魔人の襲撃は、見事に阻止されました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


 基地に戻った後のフログ



 白兎に仕掛けられた発信器が装甲の細かい隙間に入り込んで取り出すのに結構苦労したとか・・・



フログ「こんな所にまで・・・」



カオス「軽く二十個は出て来たんだけど・・・」



セレン「油断しすぎじゃないのアンタ?」



カオス「貴方に      はないですよ。

        言われたく

フログ「そちらに     はない。」




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