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第26話 後悔

 フィフスの一部始終を全て見ていたカオス。先程のフィフスの行動を見て抑えられなくなり、両手で口を覆ってしゃがみ込んで大笑いした。


 「ハハハハハ!! とうとうやっちゃったか。いいねいいね~・・・ こういうの!!」


 一通り笑うと、園に焼けた顔のままでカオスは閉じた目を開いて再びアパートを覗きだした。さっきよりも数倍楽しそうな様子だ。


_________________________________________


 「アア、アアアーーーーーーーーーーーーー!!」


 フィフスによって本体を切られた化けゴウモリは、目の前で起こったことに驚き、断末魔をあげながら体が崩れていった。そして少しするとそれが粉々になって消えていった。

 そのとき、フィフスの剣から輝きが消えた。それと同時にフィフスの目の色も元に戻り、意識がはっきりしてきた。ゆえに彼が正気に戻って初めに感じたのは、自分が守ると決意を固めた相手である『町田 瓜』を自らの剣で切り裂いてしまったという事実だった。


 「!!・・・」


 途端に彼の手は震えだし、持っていた剣を落としてその場に崩れ落ちた。その目はとても怯えている。


 「これは・・・ 俺が・・・ やったのか・・・」


 その瞬間、彼の頭の中にとある一つの光景が映し出された。それは、周辺一帯に炎が燃え続け、大量の血みどろの死体が無造作に転がっている地獄絵図。その中心にフィフスが立ち、その両腕の上に一人の女性が抱きかかえられている姿だった。彼女を見たフィフスは、その広大な広場に響き渡る大きさの声で泣き叫んでいた。


 「また・・・ 俺は・・・ 守れなかったのかよ・・・」


 唇をかみ切る勢いでしぼみ、再び襲った絶望の中、信じたくないという思いで再び瓜を見た。そして、一つのことに気が付いた。


 「これは・・・ どういうことだ・・・」


 彼が瓜を見ると、その体は剣の刃が一直線に通ったというのに、真っ二つになるどころか血の一滴も流していなかったのだ。どういうことかとフィフスは急いで自分の落とした剣を拾い上げ、その刃をまじまじと見た。するとそこにも、瓜の血らしきものは一切ついてはいなかった。


 『なぜ切れていない!? 俺が外したのか? いや、それなら化けゴウモリは消滅するわけないし、あの時確かに切った感覚はあった。しかしこれは・・・』


 混乱してフィフスは瓜の顔をじいっと見た。すると・・・















 「・・・ うぅ・・・ 」




 彼女は目をぎゅっとつぶり、寝起きのような形で目を開けた。


 「うぅ・・・ あれ? フィフスさん、どうしたんですか?」


 催眠が解けてすぐでまだボオッとしている状態ではあったものの、そこでハッキリと『町田 瓜』は目を覚ましたのだ。


 「・・・・ 瓜?」

 「ハ、ハイ? どうかしましたか?」

 「お前、なんともないのか?」


 肩を掴まれながらそう言われて瓜は自身の体を首を横に振り、フィフスが手をどけると同時に腕を上げるなどして見回した。そして・・・


 「ええまあ、制服を脱いでいること以外特には・・・



          ・・・って、わぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 瓜は驚いた。自分が異常なしと言った次の瞬間、彼女は突如フィフスに抱きつかれていたのだ。そのことに彼女は困惑を隠せない。


 「フィ、フィフィフィ・・・ フィフスさん!?」

 「良かった・・・」


 その声は、いつにも増して弱々しく、触れている腕には隠しきれない震えがわかり、彼からの本気の心配を感じた。


 「心配してくれたんですか?」

 「・・・ 当たり前だろ!! ったく・・・ 無事で良かった。」


 その後しばらくの間フィフスは動こうとせず、瓜も彼の頭をなでながら黙ってハグを受けていた。

_________________________________________


 その頃のバス内。ヘトヘトになっている平次が運転室で伸びきっていた。すると・・・


 「う~ん・・・

 「あれ、ここどこ?」

 「何か頭痛いなあ・・・」


 声に驚いて平次が振り返ると、次々とバスの中の女子達が目を覚ました。当然グレシアも例外では無い。


 「うぅ・・・ あの馬鹿王子、遅いわよ。ってあれ?」


 グレシアは席から立ち上がり、運転席の平次を発見した。


 「うひぃーーーーー・・・・」

 「平次、アンタだけ? フィフスは?」


 彼女はその場にいもしないフィフスがどこにいるのか辺りを見回した。


 「やったんだな・・・ アイツ。」


 平次は力のない手でサムズアップをした。


_________________________________________


 そしてそれすらも見たカオス。一人フィフスに向かって拍手をしていた。


 パチパチパチパチ・・・


 「いやぁ、思っていたよりいいショーが見れたなあ。さて、計画も失敗したし早速契約者の記憶を・・・ ッン!?」


_________________________________________

<魔王国気まぐれ情報屋>

・その後の平次


 バスで目を覚ました女子達に一人しか男子がいないことに事件の犯人扱いされ、現在進行形で必死で弁解中。


(グレシアは無視)



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