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第272話 義手義足

 上空に何かがあると分かると、フィフスはすぐにそこに向かって飛び道具を放つ準備をします。


 『明確な位置が不明なら、破壊炎で広範囲に・・・』


 しかし、そのすぐに瓜が見ている景色から、その黒い雨はなくなっていました。


 『あれ? 黒い雨が消えた。』


 実際それを同時に、怪我をする人野蔵かは止まりました。それに気付いた彼女はすぐにフィフスに声をかけます。


 「もういいです! ゴー君!」


 「あ?」


 「もう、収まりました。」


 「・・・そうか。」


 フィフスは瓜の言葉を聞いて発射しかけた破壊炎を納めて両腕を下ろします。


 「俺がかわして向こうも読まれたことを察したってトコか。とすると、やはり上空に誰かいたな。」


 フィフスは一旦戦いが終わったことで次に気になった瓜を見ます。彼女自身は少し胸をなで下ろしているようですが、彼にはそうはいきません。


 『なんで瓜には敵の攻撃が見えた? それもハッキリ黒い雨と・・・』


 フィフスはすぐにその事について本人に問い詰めようとします。しかし、足を踏み出して彼女の所に向かいかけたそのとき、間を割って苦痛の声が響いてきました。


 「痛い!!・・・」


 「ウグアッ!!・・・」


 それを聞いて瓜はすぐに自分に何か出来ないかと怪我人とその手当てをしてる人達のところへ走って行ってしまいました。


 フィフスも今は彼女と話をするよりも怪我人の救助が優先と思い直し、ルーズに指示を飛ばします。


 「ルーズ! 包帯とかは?」


 「もちろんながら持ってます。」


 ルーズはズボンのポケットからとても入りきれないはずの量の医療器具を取り出します。隣に近付いた鈴音は驚いていますが、フィフスはそれに触れることなく進めます。


 「怪我人の手当をしてくれ。俺も手伝いに・・・ ッン!!」


 「ッン!!・・・」


 フィフスが言葉を言いかけたそのとき、二人はいきなり目を丸く開いて黙り込んでしまいました。鈴音はそれ反応を見て動揺します。


 「ど、どうした二人とも!?」


 二人には、今になって少し離れた所から強力な魔力を感じ取ったのです。それもこの魔力は二人は憶えがありました。


 『これは!!・・・』


 「フログの・・・ しかし、何故こうも唐突に・・・』


 二人はすぐに魔力を感じた後者の方向に走り出しました。フィフスはコウシンが使えないため、速度はルーズの方が抜き出ています。


 『いきなり、というかさっきなでなかったものを唐突に感じた。何故だ? これだけの魔力をどうやって隠した!?』


 『校舎の方って事は、因幡が戦ってる可能性が高い。無事でいればいいんだが・・・』





 しかし、二人が校舎に入って見たのは、あまり受け入れたくはない光景がありました。


 「・・・」


 「・・・」


 その場で確認できたのは、フログの移動の痕跡に出来る陥没後。そして、両腕両足が欠損して壁にもたれている、ボロボロのスーツを着た白兎の姿でした。


 ルーズは絶句するほど青ざめて驚き、フィフスは白兎に声をかけます。


 「オイ! 因幡!! 何があった!?」


 すると、白兎は彼の声で目を覚ましたかのように微かに答えました。


 「心配するな・・・ ちょっと計算が狂っただけ・・・」


 声が聞けたことで生存は確認でき、二人は胸をなで下ろします。そしてもう一度何があったか聞こうとするフィフスに、先に白兎が話し出してくれました。


 「フログが来た・・・ モグラは連れてかれた・・・」


 『やっぱりか・・・』


 しかしそのとき、フィフスには疑問が浮かんできました。


 「待て・・・ あの甲冑男、なんでわざわざ千年モグラを助けに来た?」


 「そんなことより、先に手当でしょう!!」


 ルーズは持ってきていた医療器具を手に持ってすぐに白兎に駆け寄りますが、いるの間にか冷静に戻っていたフィフスはそんな彼に冷めた声でため息を吐くように言います。


 「それについては大丈夫だ。」


 「はい?」


 ルーズは訳が分かっていなそうにしていると、白兎も特にそこを問題にする気はなさそうでした。それもそのはず、少しじっとしている合間に、白兎の両手両端がどこかから転送されていくかのように生えてきたのです。


 初めてこの光景を見たルーズは目が飛び出すほどに驚いて声を出しました。


 「ナァ!! 手足が生えてきた!!?・・・」


 「やっぱりな・・・」


 再生し終わった白兎は一度腕を上げて伸びをし、ゆっくり立ち上がります。


 「いや~参った参った。やっぱ俺真っ向から戦うの向いてねえや。」


 「こ、これは一体どういうことです王子。」


 フィフスに質問するルーズでしたが、その答えは白兎本人が答えました。


 「俺には元々手足はない。普段使っているこれも義手義足だ。」


 「「ッン!・・・」」


 二人は軽々しく言われながらもその内容の重さに流石に動揺します。


 「普段から?」


 「ああ、子供の頃に体をいじくられてね。言ったろ、俺は人工魔人だって。あ! 岡見は別か。」


 話を聞いた二人は驚くというより、これまでの白兎の身体能力。そして何よりフログと戦って無事でいることから納得していました。


 「だから俺は状況に応じて武装を手足ごとまるっと代えて戦える。最も、今回のでかなりやられたから、今回はもう戦闘は自粛したいけどね。」


 スーツを外し、調子が戻ってカッカッカと笑う白兎。そこにフィフスは間髪も入れず坦々と話しかけます。


 「それなら、お前には別件で頼みたいことがあるんだが?」


 それを聞いた途端白兎は笑うのを止め、途端に嫌そうな顔をフィフスに向けます。しかし彼もそれに一切動じることはなく、白兎に新たな頼みをしました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・人工魔人


 エデンコーポレーションの一部が秘密裏に生み出した魔人に対抗するために人間を改造した存在。基本的に身寄りのない孤児を引き取り、ある程度の年齢まで洗脳教育を受けさせてから改造手術を受けさせる。薬品混入や、サイボーグなど、改造方法は様々。


 彼等は主にエデンコーポレーションの魔人退治、及び表沙汰にしにくい汚れ仕事をこなしている。


 白兎は諸事情で信に救われ、以降彼を信頼して動いている。





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