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第269話 暗い校舎の戦い


 カツッ・・・ カツッ・・・


 誰もいない上にそこそこ横にスペースのある空間。そこをあるお手いたフィフスは、自然と足音を響かせています。電話を切って以降無言の間までいた彼ですが、そこから数歩歩いた途端突然足を止めて腰に据えた剣の持ち手を握りました。


 「やっぱりな・・・」


 彼は小さく独り言をこぼしてから、誰かに会話を投げかけるような声を出し始めました。


 「暗闇に隠れるのはお得いのつもりか? バレバレだから出てこいよ。」


 その声を受けて、影になって隠れていた刺客、千年モグラが姿を現しました。


 「獄炎鬼・・・ 何故ここが分かった?」


 「さっき立てたある予想が当たっただけだ。撮影場所が学校だからって、校舎内に隠れるとはな・・・」


 フィフスは剣を鞘から引き抜き、千年モグラは両手を爪を研ぎ澄ませ、お互いに戦闘隊形を取ります。


 『やはりやる気か・・・ ここは学校校舎、床はコンクリで出来てて生物の爪程度で破壊は出来ても時間がかかる。とするとコイツの性格からして次の手は・・・』


 千年モグラは走り出して爪で攻撃すると見せかけ、バックステップをしながら砂雹を口から吐き出してきました。


 『やっぱりか!!』


 千年モグラは目くらましをしてまたしてもこの場から逃げ出そうとしています。しかし次の瞬間・・・


 ゴンッ!!!


 「ゴフゥ!!?」


 千年モグラは砂雹ではなく唾を吐き出して吹き飛ばされていました。何度か床に体をぶつけ、スピードを落としてどうにか止まりましたが、腹に入った痛みはかなりのもので、付いてで押さえてしまいます。


 「コイツは・・・」


 訳が分からない千年モグラが吐き気を及ぼしながら下に下がった顔を上げると、窓から差し込む光を反射しているフィフスの剣に目が行きます。


 「そうか、今のが噂の高速移動。」


 技の詳細が割れていることにフィフスは少し表情が動きます。


 『化ケガニから広まったのか。渋木のせいであの時仕留めきれなかったからな・・・』


 千年モグラはよろめきながらも立ち上がり、自身がそれに関して気になったことを質問してきました。


 「しかし気になるな。そんな手があるなら何故俺を殺さない?」


 「出来るだけ生け捕りにして情報を取るためだ。『それに化ケガニほどじゃないが、コイツの体も中々に硬い。手数攻めなら出来るが、あれを限界まで使うとへばるからな。』」


 会話をしてる間に千年モグラは態勢を戻し、あからさまに企みがあるように口元を引きつらせます。


 「後悔するぞ、その判断。」


 すると千年モグラはまたも口を膨らませる。フィフスはまた砂雹が来るなら先手を打とうとしますが、彼が思っているよりも早くに相手の攻撃は来ました。それも・・・


 『<土震術 砂岩あられ>』


 繰り出された砂粒は砂雹より大きく、そして鋭かったのです。目くらまし程度だと予想していたフィフスはすぐに下がろうとしますが、あられの速度が速く、全てを回避しきれません。


 勝ったまではいかずともダメージを与えて隙を生じさせて逃げる魂胆の彼はすぐにフィフスに背を向けて走り出しました。


 しかしそんな彼にフィフスは動揺することもなく相手に挑発するように言ってのけます。


 「残念だが、もう逃がす気はないぞ。」


 千年モグラは負け惜しみかとフィフスの台詞を聞き流して逃げようとしますが、その言葉の意味を正面から突然聞こえてきた声によって理解させられました。





 「<バキュームハンド>」


 すると声が聞こえた直後、千年モグラは突然自分が吸い込まれるような突風を感じ取り出しました。


 「何だこれは!?」


 千年モグラ寺院は俺に耐えられましたが、あられの方はフィフスにとは反対方向に引き込まれ、一部が千年モグラの背中に激突します。


 「アガァ!!?」


 ほとんどのあられはそのまま一方向に向かい、その先にあった長方形の小さい穴に吸い込まれていきました。


 何が起こったのか理解できない千年モグラが目を懲らすと、穴の正体である掃除機をもした左腕を前に出したスーツを装着済みの白兎が影から出て来ました。


 「貴様は・・・ フログの言っていた鎧の男だな。魔術も使えない奴がどうやって・・・」


 「フフン、この世界の科学を舐めない方がいいって事だ。」


 白兎は次に右腕を上げて走り出します。その腕はバスターよりは小さめの銃に変わっており、彼はそこから細かく銃弾を撃って牽制しながら相手との距離を詰めます。


 「クッソ!・・・」


 流石にこうなると対処せざる終えなくなった千年モグラは爪で攻撃をしようとしますが、今度は後ろからフィフスに跳び蹴りを受け、構えが崩れたところに白兎からも蹴りを入れられてしまいます。


 「フグッ!!」


 「この狭い廊下だ。例え教室に入ったとてこの状況は覆せないぞ。」


 ならばと彼は床を破壊して逃げようとします。しかし力一杯を出す前に次の攻撃を受け、現状を変えることは出来ません。そこにフィフスは追い打ちと言わんばかりに話してきます。


 「その感じからしてコンクリの床も破壊できるのか? だがここを破壊したところで無駄だぞ。」


 「何!?」


 思い一撃を受けて後ずさった千年モグラはつい聞き返してしまいます。


 「ここは校舎の四階だ。さっきの高速移動で連れてきた。例え床を破壊できたとしても、地面に潜るには時間がかかり・・・」


 「その隙に俺達は上から攻撃し放題だ。壁から逃げてもそれは変わらない。」


 「ッン!!・・・」


 千年モグラはそのとき目を丸くして言葉を失いました。自分の存在を目立たせないと隠れた事が完全に仇となっていたのです。


 「凄いな小馬、連絡されたとおりになった。」


 「だろ? 後はコイツを気絶させるだけ。」


 逃げることを主軸に動いていた千年モグラはどうにも動きがもたついてしまいますが、ただやられるわけもなく、白兎が右腕をドリルハンドに代えて攻撃を仕掛けたときに砂雹を吐き出し、至近距離でそれをやられたことで怯んだ彼の両腕を掴むことに成功します。


 「ッン!!・・・」


 何度の攻撃を受けたことで汗を流して息を切らしていましたが、白兎を拘束したことで脅しをかけてきます。


 「動くな! さもなくばコイツの腕を引きちぎる!!」


 「あ、どうぞ。」


 「エェ!?」


 心配もせず軽々しく言ってのける フィフスに千年モグラの方が驚くと、白兎も焦ることは一切なく、それどころか至近距離まで来ていた相手に右膝蹴りをしてきました。


 しかしどうにもその威力は白兎らしくない弱く、効果はあまりなさそうに見えます。


 「フッ、その程度の威力で倒せると?」


 「<スタンガンレッグ>」


 「え?」


 すると当てられた膝当たりから突如千年モグラの体に電流が流れ出し、それに耐えかねた彼は白兎の腕から手を離して倒れてしまいました。


 「だから言ったろ、この世界の科学を舐めない方がいいって。」


 白兎が声をかけたとき、もう既に千年モグラは口から泡を吹いて気絶していました。

・NGシーン


白兎「<スタンガンレッグ>」


千年モグラ「ギャアァーーーーーーーーー!!!」


フィフス「あれ? お前体濡れてね?」


白兎「え?・・・



    ・・・ギイヤァーーーーーーーーー!!!」




 スタンガンレッグ、漏電に注意




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