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第266話 脅迫文



 今後一切の親指花の芸能活動を停止させよ。


 要求に乗らなければ、我々による制裁が加わり出す。


 警察などの存在は一切の意味をなさない。


 一週間の間に乗らなければ、こちらも武力を行使する。



______________________



 これが、一週間前に花のいる事務所に送られてきた脅迫文の内容だそうです。フィフスはこれを見て一言目に分に対する文句を呟きました。


 「いかにもって感じのテンプレな文章だな、面白くない。警察に通報は・・・ この感じだとしてないな。」


 フィフスは今回な撮影の合間も一般の警備員しかいなかったことから察していました。何故かと彼が聞こうとしますが、その理由は先に根須から話されます。


 「たった今売り出し中の女優に、何かしらのトラブルがあれば傷が付くからと、上が・・・」


 「ケッ、女優の安全より金が大事ってか?」


 フィフスが嫌みを言うと、根須は頭を下げながらも自身の気持ちを話します。


 「私だって反対しました。この脅迫文が来てから、撮影用の衣装が引き裂かれたり、汚されたりして・・・ 単なるいたずらかと思っていたら、とうとうあんな怪物まで・・・」


 「怪物ねぇ・・・」


 フィフスは千年モグラのやらかしたことがあるとはいえ、魔人を怪物呼ばわりされることに少し抵抗があるようでした。しかしすぐに逸らした目線を戻し、根須に強調するように伝えます。


 「とにかくだ! あのモグラの狙いは花と見て間違いない。事務所がどうとか知らないが、しばらくの間身を隠させるんだな!!」


 圧のかかった言葉に根須は押されて声を小さくしながらも、その言い分は変わりません。


 「出来ませんよ・・・ ここ数日の仕事はもうキャンセルが効きません。断れば、最悪花自身のクビも・・・」


 そして彼女は真剣な顔立ちにして逆にフィフスに詰め寄ってきました。


 「私は彼女を高校生の時から見て来ました! 大女優は彼女の夢なんです!! こんなところで止めさせられない!!!」


 フィフスは目付きを細くしながらも前のめりになってい体勢を戻され、思った以上の根須の熱量に押さえ込まれました。


 「・・・わかった。ただし花を一人にさせないことで。」


 「もとよりそのつもりです。」


 「・・・瓜、ちょっと来い。」


 「え? ゴー君!?・・・」


 フィフスは少しむず痒い顔をしながらも、話に区切りを付けて瓜と共に楽屋の外に出て行きました。廊下を少し歩き、空間のあることろで彼は立ち止まり、何も分からず付いてこさされた瓜も足を止めます。


 どう切り出そうか悩んだ彼女は、なんとでも返せそうな話し方をします。


 「ゴー君、あの・・・」


 その聞き方に反応する様子もなく、フィフスはさっき自分達が出て来た扉を見てため息を吐くように言葉をこぼしました。


 「ありゃマズいな・・・」


 「ハイ?」


 フィフスが何を言っているのか分からないといった顔の瓜。彼は彼女の困惑する顔を見ずに話を進めます。


 「あの感じ、余程花に期待を寄せてるんだろう。」


 「そうなんでしょうか・・・ 確かに、花さんは今、芸能界で大注目で、人気も凄くある人物ですけど・・・」


 「どのくらい?」


 「どのくらいと言われると・・・」


 具体的な返答に困った瓜は自身のスマートフォンで調べ、ネット上での彼女へのコメントの一部を見せました。フィフスが目を細めて見ると、どれも彼女に対する賛美の言葉ばかりです。



 「花ちゃんの笑顔に今日も癒やされました!!」


 「今回のドラマも最高です!!」


 「花の存在が生きる支えです!!」



 フィフスは一通りそれを見ると、愚痴を言いながら瓜にスマートフォンを返しました。


 「生きる支えって・・・ 随分と大是さなことを言うやつもいたもんだな。」


 それを受け取ってポケットに戻す瓜を後ろにフィフスは楽屋を離れながらまたもカオスの言葉を思い出し、考えさせられました。


 『俺なら分かるって、そういうことなのか?・・・ だとするとこれは、相当酷だぞ・・・』



______________________



 その頃、ここで出来ることが何もなくなってしまい、そのまま撮影現場から出て来たルーズと鈴音。二人それぞれがどんよりと重たい無念を抱えながらも、お互いのためを思ってそれを言葉にせずにそこを後にしようとしました。


 「帰りましょうか。」


 「そうだな・・・」


 ルーズに作り笑いをして見せに来ると、ふと彼の後ろにいた一人の人間が視界に入りました。それだけなら何でもありませんが、その人は、どうにも違和感のある行動をしていたのです。


 「あれは・・・ 一体・・・」


 「鈴音様?」


 その目線の先にいる男性は、現場のスタッフと何やら話をし、そして落胆してそこを去って行きました。


 「・・・」


 「お嬢様!」


 少し大きめに話してきたルーズの声に鈴音は我に返り、目を大きくして反応しました。


 「ごめん、ボーッとしてたぞ・・・」


 ルーズに気を使いながらも彼女がもう一度奥を見てみると、そこにいた青年の姿はありませんでした。そこですぐに視線を戻してルーズとの会話をしようとした鈴音ですが、それは意外は形で切られました。


 「ッン!?・・・」


 今度はルーズのスマートフォンに着信のバイブが響いてきたのです。彼がそれを手に取って画面を見ると、そこにはフィフスからの着信がありました。


 「王子から?」


 気になった彼はすぐに電話に出ました。


 「もしもし? 今度は何ですか?」


 「嫌みっぽく言うなよ・・・ お前に頼みたいことが出来たんだよ。」


 「頼み? 追加の仕事ですか?」


 「おう、物わかりがよくて助かる。てことでお前・・・





  ・・・執事止めろ。」




 「ハイッ!!?」


 ルーズに取ってあまりに突拍子のない衝撃的台詞でした。

<魔王国気まぐれ情報屋>


 ネットについてはいまだよく分かっていないフィフス。この前も見事にネット詐欺に引っかかりかけます。


フィフス「へえ、ここクリックすりゃ簡単にものが安く買えるのか。」


瓜「騙されないでください!!」




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