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第246話 花の女子高生!!


 チュンチュン・・・


  チュンチュン・・・



 部屋の窓から煌びやかな日の光が差し込み、小鳥の鳴き声が心地よい春の朝。枕元に置かれた目覚まし時計の音が鳴り響き、その部屋のベッドで寝ていた一人の少女が体を起こして伸びをします。


 「ンッ! ンン~!!・・・」


 そして彼女がベッドから立ち上がると、机の上の卓上カレンダーの日付を見てガッツポーズを決めます。


 「よしっ!!」


 彼女は意気揚々と朝の支度をし始めます。洗顔、歯磨き、朝食を手早く終えると、自室に戻ってクローゼットを開いた。彼女はその中の、新品の制服を取り出します。


 「フフッ・・・」


 少しサイズが大きいその制服を着こなし、次にドレッサーで鏡を見ながら薄いメイクをし、髪を後ろろでまとめました。


 全体的に仕上げまで終わらせると、これまた新しい鞄を持って部屋から駆け出し、その足のままに玄関で靴を履きます。


 扉を開ける直前、彼女は後ろに首だけ向けて挨拶をします。


 「それじゃ、行ってきま~す!!」


 彼女は家にいる人からの返事を待たずして家を飛び出し、扉の鍵を閉めてウキウキに走って行きました。家の残った二人のうち一人は唖然とした顔をします。


 「やけにテンションが高かったな・・・」


 「今日から初登校なんだし、浮かれるのも無理ないんじゃない。」


 「そういうものか? 大丈夫だろうかな~・・・ 美照は・・・」



 家から飛び出したその彼女の名前は『石導(せきどう) 美照(みてる)』、さっき家にいた男の人、『石導 平次』の一つ下の妹です。


この度、彼女は兄や慕っているグレシアと同じ『御伽(おとぎ)高等学校』に通うことになり、今日はその入学式です。彼女は高校も同じになった友達との待合場所に向かっていました。


 彼女は待ちに待ったこの日に期待に胸を膨らませ、鼻歌を歌いながら春風に吹かれ桜の花びらが舞う道を歩いていました。


 『ようやく私も花の女子高生!! これからいっぱい青春を謳歌してるわ~!!』


 天に向けて両手を伸ばし、次にガッツポーズを決めて気合いを入れる美照。そしてまたも走り出した。




 ・・・のですが、少しして彼女は棒立ちになってしまいました。何故なら、彼女の目の前に広がっていた景色は、待合場所ではなくどこかのビル街の中にいたのです。


 「ここ・・・ どこ?」


 平次が彼女に対して心配していたこと。それがこの異常なまでの『方向音痴』のことだったのです。


 「おかしいな? 地図アプリでちゃんと見てたのに・・・


  ・・・って、あれぇ!!?」


 美照がスマートフォンを開いて確認すると、自分が指定していた場所は目的地とは全然違う場所になっていました。


 「どどど、どういうこと!? ちゃんと確認したのに・・・ どうしよう!! このままじゃ高校生活初日から遅刻になっちゃう~!!!」


 パニックになった頭を抱えていた美照は、どうにか解決しないとと急いで地図を再検索します。


 「こうなったらもう一度調べて・・・ 流石に距離はそこまで離れていないはずだし・・・」


 しかし彼女の見立ては甘かった。地図アプリで出た目的の居場所は、自宅からここまでの距離の丁度真反対にあったのです。


 「ンナァーーーーーーーーー!!!」


 こうなってはもう時間に間に合いそうにないと彼女が四つん這いに崩れてしまう。


 「どうしよう・・・ このままじゃとても間に合わないよ・・・」


 しかし彼女は諦めずに立ち上がり、再度自分に言い聞かせて心を震え立たせます。


 「よしっ! それならすぐに戻らないと!! 幸い時間には余裕があるし、全速力で走ればまだきっと・・・」


 美照は自分が進んでいった道を思い出しながら全速力で逆走し始めました。その途中で通り過ぎていった細い路地裏から、彼女を見る視線があったことにも気が付かないほどに・・・



 そこから美照はどうにかして戻ろうと急ぎましたが、ここでも彼女は方向音痴に(さいな)まれ、いつの間にかどこか全く分からないような細い裏路地に来てしまいました。


 「なんで!!?」


 美照は自分の方向音痴具合に苛立ちましたが、それではどうにもならないからと気を落ち着かせてもう一度元の位置に戻ろうとします。


 しかしそんな彼女に、より悪い事態が発生しました。後ろを向いて走ろうとしたところに、ッツ前声をかけられたのです。


 「ねえ、君こんな所で何してるんだい?」


 「ヘッ?」


 美照が振り返ると、そこにはいつの間にか背の高さと金髪が特徴的な容姿の整った、でも雰囲気からしてチャラついた危なそうな男が立っていました。


 「な、何!?」


 「そっちこそ、平日の朝からこんな所でどうしたのさ? もしかして道に迷った?」


 図星なことに美照は表情を曇らせましたが、グイグイと押してくる男の態度にとにかくはやくこの場から逃げ出そうとしました。


 「ごめんなさい! 急いでるので!!」


 声を出して逃げ出す美照。男はそんな彼女の腕を掴み、それを止めました。


 「ちょっ!!・・・」


 「学校なんてそんなのつまらないじゃん。ここであったのも何かの縁だし、お兄さんと一緒に遊びに行かな~い?」


 「け、結構なので!!」


 彼女が掴まれた腕を振りほどこうとしますが、相手の力はまるで人間とは思えないほど強く、離すどころかビクともしませんでした。


 「逃げないでよ。さぁ、俺と一緒に・・・」


 「や・・・ 止めて!!・・・」


 抵抗もむなしく、そのまま男に引っ張られて美照が裏路地の更に奥に連れて行かれかけたそのとき・・・


 『い、嫌・・・』





 ドンッ!!!・・・





 ・・・と、大きな音が二人の近くに響き渡りました。なんの音だと驚いて男は手を離しますが、その音のショックで美照の方も倒れてしまい、気が遠くなっていきました。


 薄れゆく意識の中、ぼんやりと見える何かに意識が向きます。


 『誰? 助けて・・・ くれた?』


 しかしここで彼女は状況も理解しきれずに地面に倒れ、完全に気を失ってしまいました。




フィフス「『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』の読み切り版、『コミュ障JKのお友達、実      は○○○の○○でした!!?』が投稿された!!


     初めての奴でも読みやすい内容になってるから、是非見てくれ!!


     俺と瓜の活躍、期待してろよ!!」




コミュ障JKのお友達、実は○○○の○○でした!!?


  https://ncode.syosetu.com/n7871hs/





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