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第243話 青年の腕

 捜していた青年が経義や信のものと似たようなスーツを着たこと。人間を襲っていたのが別の魔人だったこと。


 それらの色々とあって振り回されたフィフスと瓜がいる中、食事が出来ないと見た影鰐は顔をしかめてその場から逃げ出そうと塀の上に向けてジャンプしました。


 「ケッ・・・ コイツらはお預けだ!!」


 「俺はお預けする気はないけど。」


 すぐ後ろからさっきと同じ声が聞こえてきた事に影鰐は目を見開いて後ろに首を向けると、青年はそれより高く飛んでいるのが見えたのです。


 「そんな! 真直もない人間が・・・」


 「ここじゃ狭いし、場所を変えようか。」


 すると青年は足下に付いた小さなスラスターを起動し、その勢いを利用して影鰐の腹に蹴りを決め、そのとき見つけた広間に向けて蹴り飛ばしました。


 「アガァ!!・・・」


 下から見ていた二人はこの事態を頭にどうにか叩き込んで理解させ、冷静に状況を見ます。


 「アァ! クソッ!!・・・ 訳分からんことが多いがとにかく追うぞ!! 瓜、俺の肩に触れろ!!」」


 「あ、はい!!」


 瓜はフィフスに言われたとおり手を肩に触れると、彼は剣の持ち手を握って『コウシン』を使用し、その場から一瞬で移動しました。



______________________



 そこから人気のない河川敷に落とされた影鰐は、直に地面に落とされたことにダメージを感じながらも立ち上がり、はやいところこの場を去ろうとします。しかし青年の足は速く、既にその場に到着していました。


 「!!・・・」


 「逃がす気ないから。」


 青年は怯んでいる影鰐に何発か攻撃を当てますが、さっきの一撃よりはダメージが低いようで、あまりうろたえはしませんでした。


 『固いな・・・ 思いの他ダメージが低い。』


 少しの間攻撃は続きましたが、最後の一撃を決める直前に影鰐は下がり、距離を取られます。


 「仕留めきれなかったか・・・」


 青年はヘルメットの中で少ししわを寄せた顔になり、影鰐はここまでやられたことに流石に息切れをしていましたが、それを終わらせると青年に怒声をかけます。


 「どこまでも邪魔をするな!! 小僧!!」


 「あ、キレた。」


 「いいだろう。こうなれば殺してお前を喰らう!!」


 ドスのきいた声で怒鳴る影鰐は、台詞を言い終えた途端に今立っている場所から一瞬画像が粗くなったような光景に変わり、そしていつの間にかその姿が消えていました。


 青年は起こったことに驚いて警戒心を強め、踏ん張った態勢で周囲に目を懲らします。しかし次の瞬間に、その場に到着したフィフス達が見たのは・・・





 「!!?」




 青年の左腕がちぎられ宙を舞っている様子でした。二人が目を開いて絶句してまま動けずにいると、姿を消していた影鰐がさっきの逆の手順で青年やフィフス達から距離を取った場所に姿を現しました。


 攻撃が決まって有利になったからか、口調が少し上からになっています。


 「へヘッ・・・ ヘンテコな鎧を着けてても所詮は人間だな。俺がその気になればこんなもんだ。」


 青年はなくした腕のあったところを押さえ、フィフスはすぐに加勢しようとしますが、ここに来るまでにコウシンを使ってしまったために、今の素早さは影鰐の方が上です。


 追い付かない間に影鰐が次の攻撃を青年に仕掛けようと至近距離にまで近付いたそのとき・・・





 「・・・なんちゃって。」





 と、近くにいた影鰐にしか聞こえないような程小さな声で言い、押さえていた腕をどける。そこに視線が向いた影鰐は、顔が固まるほど驚いてしまいました。


 そこには、なくなっていたはずの左腕が手を離していった部分から生えてきていたのです。


 「ナッ!!・・・ 腕が!!・・・」


 「替えがあるんだよなこれが!!」


 青年が振り返ると、生えてきた腕の手はさっきのものと違い、先端が細くとがった頑丈なドリルになっています。それは独りでに高速回転しだし、近付いていた影鰐の腹辺りに直撃しました。


 「ガガガァ!!!」


 「固いんなら削ればいいだけだよね。」


 「ングゥ!!・・・ 舐めるなぁ!!」


 影鰐は口を大きく開き、そこから魔術を放ちました。


 「<水流術 水球弾>!!」


 口から水の塊で出来た弾を撃ち出し、青年は咄嗟にそれを避けるために体を右に倒し、力が弱ったのを見計らってまた距離を取りました。しかし青年に動揺する様子は一切なく、ただ一言


 「逃がす気ないって言っただろ?」


 と冷たく言い、右腕を一度胸の辺りに振れると、その右腕が肩のすぐ下から消滅していき、その直後に別の腕が装着されました。今度は肘付近に頑丈なワイヤーが巻かれ、手の部分にはフックが付いていました。


 「<ウインチハンド>」


 彼は右腕を伸ばし、ワイヤーに繋がったフックを伸ばします。危険を感じた影鰐は後ろに身を引きますが、ワイヤーの動きは予想以上に速く、すぐに彼の体に巻き付いて動きと止めてしまいました。


 「ンナッ!!?」


 驚く隙に影鰐は青年が右腕を上に上げるのに連れられて宙に引っ張り上げられてしまいます。


 「クゥ・・・」


 影鰐は負けじとまた水球弾を撃ち出そうと口を開きましたが、そのとき目に入った青年の左腕はいつの間にかさっきのドリルとは変わり、ライフルガンような形になっていました。


 「<バスターハンド>」


 青年は目線と左腕を上に上げ、スコープの照準を影鰐に合わせると、一言呟きます。


 「決まった!!」


 彼は次にライフルを弾を撃ち出しました。影鰐の方も水球弾を撃って対抗します。


 『これで相殺してもう一発・・・』


 しかしその影鰐の思惑はすぐに頓挫します。ライフル弾は水球弾を軽々と貫通し、驚く暇もなく影鰐の体に直撃しました。


 「!!?・・・」


 影鰐は受けた痛みに目が点になったのを最後に、その体を爆散させました。

<ショートストーリー>


フィフス「去年瓜の誕生日を祝ってから、あと一日で一周年なんだが・・・」


瓜「ど、どのくらい時系列は進みました?」


フィフス「・・・現在三月末、らしい・・・」


瓜「・・・」





 果たしてフィフス達は作中でいつになったら誕生日を迎えられるのか・・・




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