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第241話 横取り男

 そこからフィフスと瓜はさっき手に入らなかったコロッケの代わりとなるものを探し出しました。到着したのは近所のファストフード店です。


 「ここか、瓜?」


 「はい、ここの限定ソフトクリーム・・・ 確か今日まだだったはずです・・・」


 さっきのこともあって瓜は今度こそ手に入れようとメラメラと燃えていました。それに後ろのフィフスは冷や汗を流しました。


 店に入るとレジの前にはもう何人か並んでいましたが、既にそのメニューを食べたからなのか幸い瓜の欲しがっているソフトクリームを注文する人はいませんでした。


 『そし、これなら・・・』


 しかしそこで瓜の順番が来る直前、隣の受け取り口にて受け入れたくても耳に入ってしまう声がありました。


 「限定ソフトクリームのお客様~・・・」


 「は~い。」


 二人は目を血走らせて後ろに並んでいる一が驚く速さで首を振ると、そこではさっきコロッケを買っていった青年が目的のソフトクリームを受け取って店から出て行く頃でした。


 「アイツ、さっきの・・・」


 よそ見をしている間に自分谷の順番が回った二人が前に行き、早速ソフトクリームを注文しようとします。


 「あ~・・・ この限定・・・ ン!?」


 しかしその途中、フィフスは指で指したところに『sold-out』と書かれているのが見えました。この事実に汗を垂らして彼は震える声で聞きます。


 「あの・・・ この限定ソフトクリームは・・・」


 「すみません。先程受け渡した分で最後になりまして・・・」


 「「・・・」」


 二人はこの場でもあの青年に目的のものを取られてしまいました。





 「まだだぁ!! まだチャンスはあるうぅぅぅぅ!!!」


 二人はここまで来たら何かしら成果が欲しいと思い、急いで店を出た足でこれまた近所のパン屋に一直線に走っていました。


 「あそこの限定あんパン!! 流石に三度も同じことになんてならねえだろぉ!!!」


 「いや、別に私あんパンが欲しいわけじゃ・・・」


 「うるせぇ!! ここまで来てただで引き下がれる訳ねえだろぉ!!! つーか俺だって小腹減ってたんだ。糖分取って落ち着かせろぉ!!!」


 更に速度を上げて走って行くと、二人がパン屋の入り口に着く前に店の自動扉が開きました。中からは、またも同じ青年が袋いっぱいにあんパンを詰め、その内の一つを口に咥えて去って行きました。


 フィフスは目元を曇らせ、さっきまでの勢いをなくして猫背になりながら店に入ると、陳列棚にはあんパンの一つもありませんでした。


 「「・・・」」





 「何なんだよアイツ!!」


 結局二人はどこで何も買うことが出来ずじまいで帰り道を歩く羽目に遭っていました。


 「ま、まぁ・・・ 今回は運がなかっただけですよ。」


 「いやにしたかってここまで連チャンは無理があるだろ! 明らかに全部わざとやってんだろアイツ!!」


 「そ、そんな・・・ 今日初めて見かけた人ですよ。それこそ変です。」


 「ウグ・・・」


 フィフスは煮えたぎる気持ちを静め、自分を落ち着かせるためにため息をつきました。


 「ハァ~・・・ 仕方ない。帰って飯にするか。」


 「ですね。」


 と、若干疲れた足を動かして町田家に帰ろうとすると、フィフスは突然表情を変えて進めかけた足を止めました。


 「ッン!!・・・」


 「ゴー君?」


 「嫌なタイミングに出てくれるもんだな・・・」


 「ッン! まさか、魔人が?」


 フィフスは頭をかきながら後ろを振り向き、瓜に聞きます。


 「悪い瓜、帰るのは少し遅れる。念のため、お前も来て貰っていいか?」


 「は、はい! 大丈夫です。」


 フィフスは船の上での二の舞にならないように一応のため瓜を近くに置いたまま現場に向かって行きました。



______________________



 二人が現場に着くと、人気(ひとけ)の無い所でカップルらしき二人組が不自然に気を失って倒れていました。瓜は駆け寄って


 「だ、大丈夫ですか!?」


 「気を失ってるだけみたいだが・・・」


 フィフスは周辺に目を配らせますが、魔人の姿はどこにもありませんでした。


 「チッ・・・ 目的は分からんが、もう終わったのか?」


 フィフスは次に瓜と同じ倒れている人を見ました。体を揺さぶっても特に変化はありませんでしたが、さっきと同じように見回すことである違和感を見つけました。


 『あれ? 真っ昼間に日差しの差すところに倒れているのに、影が伸びていない・・・』


 「ゴー君?」


 「・・・まだ近くにいるかもしれねえ、せめて手がかりだけでも・・・」


 フィフスは再びその場から見える隙間にも目を懲らしました。するとある一点に彼の目線が止まりました。


 『ん? あれは・・・』


 そのとき彼が見つけたのは、いくつかある内の一つの細い脇道の先でこちらを見ている一人の青年がいました。それも、さっきまで何度も二人の邪魔をしてきたあの青年その人でした。


 『まさか、アイツが?』


 すぐに彼はそこから移動して姿を消しましたが、フィフスはそれを見逃すわけがありません。


 「あの、何か?」


 「瓜、来い!!」


 「エ? エェ!?」


 瓜はフィフスの突然の行動に戸惑いながら彼の言葉に乗せられて揃って走り出し、青年がいた場所に到着しましたが、そこにはもう彼の姿はありませんでした。


 「遅かったか・・・」


 「あの、どうしたんですか?」


 「さっきの横取り男がまたいました。」


 「ッン!?・・・」


 「こうも行く先が被るとは思えない。今回のことはアイツが唯一の手がかりだな。」


 二人は青年が消えた先の道を鋭い眼差しで眺めていました。


青年「作品に関する質問も募集中だ。感想欄やメッセージが気軽に送ってきてくれよな!!」


フィフス「で、結局お前は何なんだよ?」





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