表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
236/344

第233話 雲隠れ


 「現在春休みを満喫しているグレシア、ルーズ、鈴音、姉貴、お元気ですか? 俺がクルーズ旅行に出てしばらく経過した・・・ そして今・・・」



 シャキン!!! ・ ・ ・



 現在、とある一人の女からの無言の殺気を受けていました。


 『俺はまた、死地に立たされています・・・』



______________________





 「雲隠れ!? 俺達がか!!?」




 それは、和亀の病院に入院してから数日経過し、瓜も立って歩ける程にまで回復しま頃。ようやく退院出来ると思っていたその日、お見舞いにやって来た信から、そんなことを言われたのです。


 「なんで俺達がそんなことをする羽目に?」


 二人とも理由が分からない疑問を浮かべた顔をすると、信と和亀が分かりやすく説明してくれました。


 「今回の件、秘密裏とはいえエデンの別一派が絡んでいるのは確実だ。商店街で待ち構えていたのも考えると、君達の生活範囲が知られている可能性も高い。家には戻れないだろう。」

 「だから?」

 「幸いカオスの張っていた幕のおかげで向こうさんにも連絡は行っていない。このままほとぼりが冷めるまで君達は死んだことにしておいたほうがいいと思ってね。」


 信の言い分に納得させられつつも、フィフスは気になったことを言います。


 「んなこと言ったって、肝心の隠れる場所はどうすんだ? まさかここか?」 

 「ここは病院だよ。他の患者がいつ来るかも分からないし、一人でやっているからセキュリティもそこまで高いわけじゃないんだ。瓜さんと離れるのは心惜しいが、彼女のためにもこうするのが一番だろう。」


 和亀にごもっともな説明で断られると、フィフスは目を細めながら再び聞きます。


 「んじゃ・・・ どこに?」


 そこに信はフフンと一度溜めてから答えました。


 「実はもう当てはあるんだ。僕の自宅だよ。」

 「は?」

 「安心してよ、隠れ家としてはいいところだから。」


 二人はそれこそ訳が分かりません。病院より家の方がセキュリティが万全とはとても思えなかったのです。しかしいつにもなく自信のある素振りを見せる信に、二人は考えさせられます。


 『どうするよ?』

 『私は別に構いませんよ。』

 『そうか? なら・・・』


 テレパシーでも会話の後、フィフスは返事をしました。


 「分かった、それに乗る。実際このまま帰っても危険なのは説得力があるしな。」

 「よろしい。なら・・・ 亀ちゃん、電話いい?」

 「いいけど、病室じゃなんだからこっちでやってくれないかい。」


 信は和亀に連れられ、一度部屋から離れました。


 「「・ ・ ・」」


 そしてしばらくして戻ってくると、吉報を伝えてくれます。


 「来てもいいってさ。」

 「誰に電話してたんだ?」

 「誰って・・・







  ・・・嫁だけど?」


 「「!!?」」


 信がサラッと言ってのけた一言にフィフスと瓜は揃って衝撃を受けました。


 「エッ!?・・・ ドクター、既婚者だったの?」

 「あれ? 言ってなかったっけ?」

 「船の上で命張ってなきゃ、ここ最近一の驚きだったぞ・・・」

 『確かに・・・』





 ということで、二人は退院してからすぐに信が運転する車に乗って彼の家に向かっていました。その間にも、テレパシーで二人が正直に思ったことを話し合っています。


 『まさかドクターに奥さんがいたとはな・・・』

 『本当に予想外です・・・』

 『一体どんな物好きがこんな人と結婚できたんだ?』


 信はバックミラーで後ろを逐一確認しています。後ろに追っ手がいないか確認しているのでしょう。と思ったら・・・


 「テレパシーでひそひそ話もいいけど、表情くらいは誤魔化せるようになっておくんだね。」


 二人はしれっとバレていたことに体を震わせると、信は怖い笑顔になりながら再び話しかけてきます。


 「そろそろつくよ。ま、そう緊張しなくていいらかね。」

 「ウッス・・・」


 少しして信は一件の家の近くで一度車を止めてからバックさせ、駐車場に車を入れてから、フィフスと瓜を外に出しました。


 「さてと、ドクターの家ってどんなとこだか・・・」


 フィフスが一番近くにある家を見ると、そこはあれだけお金を持っている信のものとは思えない程貧相、というより丸っきり普通の一軒家でした。


 「てっきり牛若みたいに贅沢な屋敷にでも住んでいるものかと思っていたが・・・」

 「ハハッ! こういう普通な生活ほどの贅沢な事はないさ。ささ、二人ともお忍びで来ているんだし、入った入った。」


 笑顔のままの信はフィフスの前に出て鞄の中に手を入れて家の鍵を取りだし、扉を開け、玄関に彼らを招き入れました。


 「失礼しまぁす・・・」

 「お、お邪魔します・・・」


 二人が初めての家入り、自然と見える範囲で信の家の中を見回していると、奥の部屋から足音が聞こえ、廊下に一人の女性が出迎えに来てくれました。


 その人はとても整った容姿をしており、信と歳が近そうな易しい雰囲気の人です。


 「おかえり・・・ 信。」

 「ただいま、アヒル。この子達が、さっき言ってた五郎君と瓜君だ。」

 「どもっす・・・」

 「お、お世話に、なります・・・」


 フィフスは下げた頭から目線だけ上げ、女性の姿をもう一度確認しました。


 『アヒル・・・ この人がドクターの奥さんか・・・』


 迎えに来た女性、『龍子(たつご) アヒル』は三人に優しい笑顔を向け、信の鞄を受け取ると、家の奥に歩いて行きました。


 この人物が、フィフスにまたも苦労を強いることになるのですが・・・




 それはここからまた少し後のお話しです。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・キャラクター紹介



{龍子 信}



種族           人間

年齢           28歳

誕生日          9月2日

身長           177cm

性格           陽気(悪い意味で)

家族構成         嫁

使用魔術         人工魔石による銃撃

好きな物・こと      嫁との生活

嫌いな物・こと      嫁を傷つける奴

好きなタイプ       嫁

将来の夢         今の生活を長続きさせたい

近頃はまりつつある物   フィフス達から聞く異世界の話

モチーフ         『泉小太郎伝説』より小太郎





 よろしければ、『ブックマーク』、『評価』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ