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第214話 縁は壊れ・・・

 手紙に書かれたいた文章を一通り読み終えたフィフスは、静まり返りました。隣にいる信は、そんな彼になんて声をかけるべきか悩みます。


 「・ ・ ・」


 信はフィフスが心配になり、気付かれないようにゆっくりと彼の顔を見てみました。するとその顔は、目線を下げて何かを抑えているようでした。


 「五郎君・・・」


 手紙を持つ手を震わせ、明らかに落ち着いてはいない様子です。しかし次の瞬間、彼は・・・













 「アァッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハアァ!!!!!」







 突然フィフスは頭を上に上げて大笑いし始めました。信は彼が壊れでもしたのかと戸惑いましたが、フィフスは一度息をついて心拍を落ち着かせてから話し出しました。


 「フゥ・・・ バッカみたいだったな!! 一瞬でもアイツが俺を裏切ったなんて考えたことが・・・」

 「?」

 「今考えたら当然だよな~・・・ 瓜の性格上、そんなことするはずがない。」

 「五郎君・・・」

 「ドクター。」


 信は突然フィフスに呼びかけられて少し肩を震わせます。


 「ッン! 何だい?」

 「頼みがある。ちょっといいか?」


 信はそのときフィフスの目の色がようやく見えました。渋木に対する怒りではなく、別の何かに対して燃えているようです。


 『敵を倒す怒りじゃなく、瓜君を助けたいって燃えているのか。なんだか少し身に覚えがある気がするな・・・』


 信は微苦笑をして、一瞬過去の自分のことを思い出しました。彼がまだ大人になりきれていなかったとき、ある人を助けるために火を燃やしたことがあったようです。


 「あれ、取ってきてくれ。」

 「ん?」


 信はフィフスが目線と首の動きで示している方向をよく見てみる。その先の床に、彼は小さいが何かが落ちているのを発見しました。


 言われた頼みと彼自身も気になってそこまで歩いてみると、そこにはさっき信が銃弾で弾き飛ばしたもの、フィフスの体内に入ったナノマシンの起動スイッチが落ちていました。


 「こんな所に・・・ ほっとらかして逃げていったのか・・・」


 信は独り言を呟きながらそれを拾い、言われた通りにフィフスの近くに持ってきます。


 「やっぱりあったか。」

 「もしかしてだけど、君が僕にして欲しい事っていうのは・・・」


 信がフィフスの言おうとしていることを察すると、フィフスの方も話が早いと坦々と会話を進めました。


 「まあ、そういうことだ。例え他に助っ人が来てても、これはアンタにしか頼めないからな。」

 「お~っと・・・ 随分と信用して貰ってるみたいだね、僕は。」


 信は意地悪くニヤけると、フィフスはそれを見て少しムカつきました。


 「ニシシシシ・・・」

 『ほんっと他に当てがあるなら絶対頼みたくないんだがなぁ・・・ まあ、ラボでの攻防戦の時からこの人がスペック高いのは知ってるから、多分大丈夫なんだろうが・・・』


 フィフスは自分の中で不安に駆られましたが、とりあえず頼み事を任せることにしました。



______________________



 視点が戻って監禁部屋の二人。さっきの改装を思い出した渋木は、怒りにまかせて壊したブレスレットを踏みつけにしていました。


 「フンッ!! フンッ!!」

 「止めて! 何を・・・」


 瓜は彼を止めようとしますが、彼は聞く耳を持ってくれません。


 「これをあの化け物から貰ったことは知っている。全部これのせいだ!! 離れてもなおこんなしょうもないものがあるせいで、君は未だにあの化け物を意識している!!」


 渋木がそう一方的な難癖を付けながら、何度も何度も踏みつけ、粉々になっていくブレスレット。


 瓜はさっき彼に触れて火傷させてしまったことで戸惑っていましたが、目の前で起こっている余りの非情な光景についに我慢が出来なくなり、尚もブレスレットを踏みつけていた彼のその足を掴み止めました。


 「止めてください!!」


 その必死に抵抗に渋木の方はますます機嫌が悪くなり、つい反射で足を掴んできた彼女をはたき飛ばしてしまいました。


 「ガッ!!・・・」


 ベッドに飛ばされ、はたかれた頬が軽く赤くなる瓜。渋木はそんな彼女脳型を見てようやく我に返り、駆け寄りました。


 「すまない!! 痛かっただろう・・・」

 「い、いえ・・・ 別に・・・」


 瓜は素っ気なく返事をしますが、相手は気が気ではありません。腫れたところが気になって手を伸ばしてきました。そして触れると彼女は「イテッ!・・・」っと反応して顔を下げました。


 「やっぱり! 少し傷ついて・・・ ッン!?」


 そのとき、渋木は言葉の途中で動きを止めました。


 「・・・」

 「・・・渋木君?」


 瓜も突然石のように動かなくなった渋木に警戒しています。彼は、彼女が今していることに気付いたのです。


 「二イィ・ ・ ・」


 その次に渋木は不敵に笑った彼は、次の瞬間に浮ついている瓜の両腕を強く掴み、驚く彼女をそのままベッドに押し倒してしまいました。


 「し! 渋木君!!?」

 「触れれる! 触れれるぞ!!」


 渋木は、ブレスレットの破壊によってフィフスが彼女にかけた魔術が解けたことに気が付いたのです。


 「渋木君・・・」

 「ハハハ!! よかった・・・ 予想通り解けたんだな。あの化け物が君にかかっていた呪いが。」

 「の、呪い?・・・」

 「瓜・・・ これでようやく、俺と君は運命に従って結ばれることが出来るよ・・・」


 渋木は恐怖する彼女の顔を見てこれまでにない恐ろしい笑みを浮かべていました。

<ショートストーリー>


・出番を与えて



フィフス「て、何だこのサブタイトル!? このシリアスなタイミングでまた姉貴がごねてるのか!?」


 彼の頭上にヒラヒラと落ちる手紙


フィフス「どれどれ・・・」






 大○ドラマで義経大活躍ですね!!


                 静



 ビリビリビリビリ・・・


 フィフスは細かく手紙を破いた。




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