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第208話 ドラゴン仮面

 視点が戻り、捕まった倉と瓜を助け出すために走り続けていたフィフスと信。二人とも体力には自信があったのか、走り続けながら会話をしています。


 「ドクター、倉の所まではあとどのくらいだ!?」


 信はスマートフォンの画面を確認して返事します。


 「大分近付いてるよ。でも魔人はもう一体いたんだろ? そろそろ来てもおかしくない気がするけど・・・」

 「うん、それはそれとしてなんだが・・・」


 フィフスは今もう一つ気になっていることがありました。


 「ん? どうかしたかい?」

 「なんでまたその仮面付けてんだ!?・・・」


 フィフスの隣で走っている信は、何故か再び会場にいたときの仮面を付けていたのです。


 「緊張感が欠けるから止めてくれねえか・・・」

 「仕方ないだろ。瓜君を攫ったのは猿柿重役の息子って言うし、世間体を考えてくれ・・・ 下手に顔出ししたら僕がマズくなる・・・」

 「チキンドクター・・・」


 信がそう走りながら話をしていると、二人は曲がり角から現れた男の影が見え、すぐに足を止めました。しかし相手はそこから飛び道具を放ち、二人は後ろに下がって回避しました。


 「アブネッ!!・・・」

 「これまた唐突な・・・」


 男はゆっくり歩きながら話し始めます。


 「まさか、もうここまで近付いて来てるとはな・・・ どうやって突き止めた?」


 現れたのは、最初にあったときとは顔つきが変わり、氷のような冷たい目でこちらを見てくる渋木でした。


 「おっと、化ケガニより先に直接来たか・・・」

 「まさか、こんなものまで用意していたとはな・・・」


 彼の手には、信が倉に貼り付けておいた小型GPSがありました。


 「それは!!」

 「妙に反応が近いと思ったけど、バレていたのか。」


 信の仕掛けたGPSは、カオスの貼り付けた幕の効果をかいくぐるために単純化され、GPSからの信号が近いほど大きく反応するという単純なものになっていました。


 しかしこれは気付かれてしまえば、いくらでも偽造が出来てしまう方法であり、事実ここではそうなってしまいました。


 渋木は見せた途端にそれを握って破壊し、次に信の方を見ました。


 「お前か、赤鬼を買い取った挙げ句解放したっていうのは・・・ 何者だ?」


 フィフスがその質問に信がどう返してくるのか気になると、当の本人はフッと笑って見せてから口を開きます。


 「僕は・・・ えっと・・・『ドラゴン仮面』だ!!』

 『すんっごいやっすいヒーロー名で誤魔化しにかかったぁ!!!?』

 「確かエデンのラボにいた龍子博士だったか?」

 『しかも秒でバレてるし・・・』


 フィフスは一瞬の間にさっきまでのシリアスとは違う意味で頭がグルグル回り出します。しかし信は調子を変えずに話しています。


 「何のことかな~? 信なんて人知らないよ~・・・」

 『無理矢理誤魔化しにかかってる・・・ てか下の名前出してる時点で自分から招待晒してんじゃねえか!!』


 フィフスの脳内突っ込みが済み終わると、渋木は一切二人のネタに付き合うこともなく話を続けます。


 「ハッ! お互い魔人を従えているとはな。アンタがそいつを殺しておいてくれれば、事は楽だったのにな。」



瓜は早くに安全になれたのに・・・」


 「どうして邪魔をする!? 殺すつもりだったのをわざわざ解放してやったというのに。」

 「どこがだ。人のことを勝手に売りやがって・・・ しかも蜂王の動きの迅速さから見て、どっちにしろ俺を殺す気だったんだろ?」

 

 渋木は自身の目をより細めて嫌みを言ってきます。


 「お前が生きている限り、瓜の安全が保証されないからな。大体、彼女は俺を分かってくれたんだ。自分の意思でこちらに付いた。お前の事なんて、もうどうでもいいんだよ。」


 言葉による口撃で追い詰めにかかる渋木。しかし今のフィフスにその手は通じませんでした。


 「かもな。」

 「なら・・・」


 そして渋木がそのままフィフスに戦意喪失のトドメをかけようとしますが、それの前にフィフスの方から一撃が入りました。
















 「でも俺は信じる。」












 「・ ・ ・ ハ!!?」


 フィフスから来た返事の言葉に、逆に渋木の方が固まってしまいました。


 「それでも!・・・ 俺は信じる!!」

 「なんで!?」


 衝動的に聞き返す渋木に、フィフスはチラッと瓜とお揃いのブレスレットに目をやり、軽口で話します。


 「深い理由なんてねえよ。俺がアイツを信じたいだけ。それで理由なんて十分だろ。」

 「!!!・・・」


 そのとき、渋木の目が見開き、彼にもブレスレットが見えました。その上、フィフスが言った台詞に引っかかりがあるようです。


 「黙れ・・・」

 「何?」


 そのときフィフスが見た渋木の目は、これまでよりも憎悪ににじんだような曇りきったものになっていました。


 「・・・どうしてだ?」


 「あ?」


 「お前まで、同じ事を・・・」



 そのとき渋木の頭には、誰かから言われた一言の言葉がよぎっていました。



______________________



 「                     」



______________________


 「?」


 すると渋木は手を動かしますが、その先はスーツを召喚する腕輪ではなく、ズボンの右ポケットの中でした。そしてそこから、倉に使ったのと色違いのスイッチが出て来ます。


 そして・・・






 「 ふ ざ け る な ぁ ! ! ! ! !」






 渋木はそのスイッチをフィフスに向けて感情のままに強く押し込みました。すると・・・










 ドクンッ!!!・・・




 「ウグッ!!?・・・」





 突然フィフスが倉と同じように胸を押さえて苦しみだし、その場に崩れてしまいました。


<魔王国気まぐれ情報屋>


・信は敵や捕まった見方の創作のために自身の発明品のほとんどに仕込みGPSを付けています。


 モードを変えることで衛星通信の必要がなく直接信号を送ることが出来ますが、その場合は機能が単純化されてしまいます。



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