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第195話 四人目の刺客

 フィフスがピンチになっている一方で、渋木は蜂王の攻撃を自慢の鎧で完全に無力化していました。


 「そんな!!・・・ 何故効かない!!?」


 フィフスの火炎術でも破壊できなか渋木の鎧は、経義のものよりも魔術への体勢が備わっていました。彼はその力をふんだんに利用し、焦っている蜂王に両腕の銃撃を向けました。ウォーク兵が庇いますが、その当人は限界のダメージを受けて崩れ落ちてしまいました。


 「威力もここまで・・・」



______________________



 それと同時並行で逆に追い込まれているフィフス。化ケガニが笑う中、彼は次に打てる手を考えていました。


 『まさか化ケガニが出てくるとはな・・・ 今は出来ればコイツの相手はしたくなかった。今からでも渋木と変わるか?


  ・・・いや、コイツは戦力が不明な上アイツは毒液に対応できる。蜂王はアイツに任せておいた方がいいだろう。』


 フィフスは腰に付け戻した剣をチラ見します。


 『魔力も少しは回復している。しゃあない。この場を切り抜けるにはあれしかないか・・・』


 フィフスはそう頭の中で思い立つと、相手に気付かれないようにそおっと左手を剣の持ち手に近付けます。しかしウォーク兵達はそれが完了する前に攻めてきました。


 『クッ・・・ バレたか!?』


 フィフスがバックステップをしてさっきいた所にウォーク兵達がつくと、そこに横方向から光が飛んできました。敵はその光に包まれて跡形もなく消滅しました。


 「何だ!!?」

 「!! まさか・・・」


 フィフスが横を見ると、方の砲台の一つをこちらに向けている渋木を見つけました。フィフスは彼のアシストを嬉しく思います。


 「サンキュー! 渋木!!」

 「フンッ!!・・・」


 渋木は素っ気なく反応してすぐに自分の先頭に戻っていき、彼の助太刀に化ケガニが驚いている内にフィフスは剣を握りました。


 『頼む・・・ これでどうにかなってくれよ!!』


 そしてフィフスが握る拳の力を強め、右足を一歩前に向かって踏み出しました。すると次の瞬間・・・










 シュン!!・・・


 「!!?」




 化ケガニが目の前に見えていたはずのフィフスの姿が一瞬にして消え、それどころか気が付いた頃には、化ケガニは後ろに向かって吹っ飛んでいました。


 「アガァ!!?・・・ な、何が!!?・・・」


 化ケガニは床に落ちて周りを再確認すると、消えていたフィフスはさっきまで化ケガニがいた場所の少し手前に立っていました。それもさっきまで鞘にしまっていた剣を抜いています。


 「文字通り、()()()()()()!!」

 「!!・・・ 剣が・・・ 抜かれている・・・ そうか! あれが!!」


 化ケガニはカオスから事前に聞いていた情報を思い出します。


 「そうか・・・ 今のが例の瞬間移動・・・」


 しかし化ケガニはそれを自分で言っていて違和感を感じました。そしてその確固たる原因である痛みを感じる腹当たりを見てみると、固い甲羅がバキバキに砕かれていました。


 「!!・・・」


 化ケガニはこれがどういうことか、そして調度予想が付いたタイミングに蜂王の時とは逆に、フィフスがそれを代弁しました。


 「瞬間移動なら何でダメージを受けてるのかってか?」

 「・・・」

 「お前、もう既に察し付いてんだろ?」


 化ケガニはついさっき思い付いた答えを言い当てました。




 「こ・・・ 高速移動・・・ か・・・」







 そうです。これまでフィフスが何度も使っていた『瞬間移動』・・・






 ・・・それは、腰に差した剣に使われている特殊な魔石に触れることによって時間への干渉を行ない、周りの全ての動きがゆっくりとなった世界に入り込むことで速度を大幅に上げる『高速移動』だったのです。



 その名も、『コウシン』。



______________________



 先程の一瞬をフィフスの目線で見るとこうなります。


 彼が剣に触れた途端、一瞬「ブオンッ!!・・・」と空気の動くような音が響き渡り、周囲一帯の動きがとても遅くなり、その中で彼は剣を鞘から引き抜いて、構えます。


 「蒸し焼きが出来ないなら、これしかねえ!!」


 そしてフィフスは空間内を残像が見えるほどの速さで走って化ケガニに近付き、そこでとてつもない勢いで何度も剣を相手の腹に当て続けたのです。


 「ハァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」



______________________



 『もっともその最中じゃ他の術が一切使えないから、こんな脳筋プレイしか出来なかったんだがな・・・』


 フィフスはこれでやれているかと疑って化ケガニを睨み付けていると、相手の方は黙り込んで立ち尽くしており、そしてしばらくすると・・・


 「ウッ!・・・ グゥ・・・ ここまで、やるとは・・・」


 バタッ・・・


 フィフスにとっては良い方に働き、化ケガニはダメージに耐えかねてそのまま倒れました。フィフスはそれを確認して剣を降ろしました。


 「フゥ~・・・ どうにか終わってくれたか・・・ さて、向こうの方は・・・」


 フィフスが渋木の様子を見てみると・・・



 ドカーーーーン!!!・・・



 丁度そのときに轟音が響き、こちらに歩いてくる渋木と、その後ろで倒れている蜂王がいました。


 「あ~・・・ 心配なさそうだな。」


 そのまま二人は部屋の奥にいる瓜に元へ向かい、渋木が早速縄をほどこうと手を伸ばしますがフィフスがそれを止めました。


 「待った。」

 「?」

 「あのカオスはかなり意地汚いやつだ。野晒しで置いておくとは思えない。」


 フィフスは渋木より前に出て右手を出し、縄に触れる直前で動きを止めて、「フンッ!!」と力みました。すると縄から紫の禍々しいオーラが出て行き、消えていきました。


 「ほらな。」

 「今のは?」

 「おそらく触れたら発動する罠だろう。心配するな、もう解除した。」


 フィフスは内心でコウシンを使わなくて正解だったと思いました。そして彼は火花弾で縄をピンポイントで焼き切り、瓜を拘束から解放しました。


 「怪我は無いようだな。よし、早いこと引き返すか・・・」


 フィフスが瓜を抱えようと両手を伸ばしたそのとき・・・








 カチャ・・・


 フィフスは後頭部に突然銃口を突きつけられました。


 「!?・・・」

 「動くな。」


 その声は、どう聞いてもさっきまで味方だったはずの渋木のものでした。

<魔王国気まぐれ情報屋>


<コウシン>


 フィフスが腰に差した剣に使われている特殊な魔石に触れることによって時間への干渉を行ない、周りの全ての動きがゆっくりとなった世界に入り込むことで速度を大幅に上げる『高速移動』



 自身が触れたものをそこから運ぶことも可能で、何度か瓜達が移動したのはそのため。



 弱点として一度使うと再使用に一時間のインターバルがあること。術の発動中に他の魔術が一切使用できなくなることが挙げられる。




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