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第188話 追い詰める・・・








 「・・・s


   ・・・ス


    ・・・フス!


     ・・・フィフス!!」






 「ッン!!!・・・」




 装甲男の光線を受けたフィフスが目を覚ますと、目の前には青空、そして奥の木々まで広がる野原が見えました。


 『あれ? ここは・・・』


 フィフスが下を見ると、そこに映るのはいつもより幾分か小さい体で気に株の上に座り込んでいました。どういうことかと首をキョロキョロとすると、隣には一人、写真の少女が同じように座っていました。


 「お前・・・ どうして・・・」


 フィフスが彼女の頬に手を伸ばすと、次の瞬間、その手が勢い良く燃え出し、辺りの景色も一緒に変わっていきました。瞬きすると彼女の姿はそこにはなく、目の前に幌勝手いたのは燃えて煙を上げている森の木々でした。


 「アァ!・・・」


 彼は切り株から立ってさっきよりも恐怖を感じながら同じ所を見渡すと、その全てが同じように燃え広がっていました。


 「アア!・・・ アアアァ!!!・・・」


 フィフスが目を背けようと下を見ると、さっきまで座っていた切り株が消え、代わりに灰と化した人間の死体の山があり、彼をより追い詰めていきます。


 そして彼が身をよろけて後ろに数歩下がると、か細い声が聞こえてきました。


 「フィ・・・ フス・・・」


 フィフスが声に振り返ると、死体の山の上に転がる血まみれの彼女がいました。


 「!!・・・」


 彼が倒れている彼女を引き上げようと走り出すと、それより先に彼女の体を両腕で引き上げる人影が現れました。それが誰かと見ると、全身が炎に包まれて顔すら見えません。


 「ッン!? 誰だ!?」 そいつを放せ!!」


 フィフスが声を上げると、炎は彼に対してこう話してきました。





 「お前はまた・・・ 俺になる・・・」




 そして炎の一部が剥がれるように消え去り、顔の一部が露出した。そこにいたのは・・・


 「!? ・・・俺?」


 あまりのわけの分からないことにフィフスが立ち尽くしてしまうと、炎は彼女を抱えて反対方向に歩いて行った。フィフスも後を追おうとしますが、目の前を炎が邪魔して進めなくなってしまいました。二人は背景のなくなっていく真っ黒な空間に入っていきます。


 「待て! そいつを返せ!!」


 フィフスはせめてもと必死で手を伸ばしますが、逆にこちらが後ろの闇に吸い込まれていきます。


 「よせ!! 連れて行くなぁーーーーーーーーー!!!」



















 「シーデラ!!!・・・ ッン!?」


 フィフスはそう叫ぶと、目の前に広がっていたのはクルーズ船の自分の部屋の壁でした。どうやら彼は夢を見ていたようです。


 「・・・歴代トップクラスの悪夢だな。」


 片手で髪をかきむしり、心音が高まっていた自分を抑えようとため息をしました。しかし取り戻しかけた落ち着きは小さな声によって止まりました。






 「シーデラ?」





 「!!・・・」


 その声に聞き覚えのあったフィフスが目を広げて首を回すと、こちらを見て震えている瓜がいました。落ち着きがなく目の焦点が合ってないようでした。


 「お前・・・ ッン!!」


 フィフスは我に返って警戒しました。さっきのように天邪鬼が化けているのではないかと思ったのです。そこで彼女にしかわからない質問をしました。


 「俺があげたぬいぐるみの名前は?」

 「? マッチ坊や・・・」

 「よし、本物だな。」


 本人確認が取れるとフィフスは掛け布団をどかして話しました。


 「ここに運んだのはお前か?」


 瓜は無言を通します。何をしているのか分かったフィフスは彼女に言います。


 「テレパシーは使えないぞ。」


 それを聞いて彼女はエッと驚いたような顔を見せてからまた目をそらして話しました。


 「いいえ・・・ ここに戻ったら寝てて・・・」

 「そうか。」


 そのとき、フィフスは無意識に彼女の左腕が目に入りました。一瞬で右腕が重なって見えなくなりましたが、丁度厄除けの後ろ辺りに、火傷の跡があるのを見つけました。


 「瓜、それって・・・」

 「シーデラって!!・・・」


 フィフスの声は瓜からの質問の大きさにかき消されました。彼は彼女の顔を見ずに冷たく返しました。


 「何のことだ? 気のせいだろ。」

 「彼女の・・・ 写真の子の・・・ 名前ですね・・・」

 「だから何のことだ!?」

 「いい加減正直に話してください!!! さっきだって・・・」


 フィフスは瓜の言葉の最後の部分に引っかかりました。


 「さっき?」


 すると瓜は隠していた火傷の跡を見せてきました。






 「私を・・・ 攻撃してきたこと・・・」





 「!!?」


 フィフスはいわれのないことに驚いて反論しました。


 「それは俺じゃない! 俺に化けた天邪鬼だ!!」



 「嘘をつくな!!」


 フィフスの反論を遮ったのは、部屋の外で待ち構えていた渋木でした。


 「お前・・・」

 「君が瓜を襲うところをこの目に見た。」

 「おいおい、だからそれは姿を変えた天邪鬼で・・・」

 「それは何だ!? まさか今朝の化け物の仲間か?」


 フィフスは地雷を踏んだことに気付いて顔をしかめてしまいました。当然渋木はそこにつけ込みます。


 「今の君の姿も、どう見ても人間のものじゃないよな。やっぱり君のアイツらの仲間か!?」


 フィフスはどう返答しても悪い方向に傾くのが分かりました。しかし瓜の方が彼を抑えようとします。


 「猿柿君、彼は私の友達で・・・」

 「君を襲ったじゃないか!! 俺が割った入らなきゃ死んでいたんだぞ。」

 「割って入った?」


 フィフスが気になったことを言うと、渋木は服の袖をまくってみせました。するとその腕には、スーツの男と同じ腕輪をしていたのです。


 「お前が武器だらけの・・・」

 「ほお、これを知っているって事はやっぱりさっきのは君なのか。」


 フィフスはもう言い逃れが出来ないと悟りますが、同時にもう一つ気になることが出来ました。


 『もしこれが全て事実なら、俺が瓜を襲ったのか? 俺が戦ったのは俺に化けた天邪鬼だったはずだ!! でもあの火傷は明らかに俺の・・・




  ・・・俺に一体何があった!!?』



______________________



 別室の壁に発生させたもやに三人の様子を映し、それを見ていたカオスと天邪鬼。


 「上手くいったようだね。」

 「挑発ばかりさせおって・・・ 本当にこれでいいのか?」

 「うん。もっともっと彼を追い詰めないと・・・ そうして彼は、本当の姿を見せる・・・」


 カオスはもやを消して後ろを向き、奥に歩いて行きました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


政策秘話フィフス


 フィフスは元々の作品にて瓜の初期案だったメイドのご主人様のキャラと、その作品の主人公を合わせてキャラ構成されました。


 そのサブキャラはこの作品では平次、経義にも引用しています。





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