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第187話 謎の銃火器戦士

 急に現れて邪魔をしてきたその男に、ただでさえ怒っていたフィフスは唾が飛ぶ勢いで怒声を浴びせます。


 「邪魔をするな!!」


 するとそれまで無口だった男が他に聞こえないほど小さな声で独り言をこぼしました。


 「やっぱりこうなった・・・」

 「あ?」


 フィフスが微妙に聞き取れずに反応すると、相手はもう片腕に仕込まれたマシンガンを撃ち出しました。フィフスは咄嗟に体ごと腕を引いてそれを回避すると、相手は右腕に仕込まれた同じものと合わせて連射しだし、フィフスは持っていた火炎刀を振り回して撃ち出された弾丸を弾きました。


 「クッ・・・ 何だよこれ!?」


 フィフスは飛んでくる弾の数に苦労しつつもどうにか捌き切りますが、すぐに次の攻撃がやって来ます。男は両肩に装備されていたキャノン砲らしきものからレーザー光線を出して来ました。


 「!!」


 別方向から迫ってくるレーザーに彼は流石にこれを捌くのは無理と判断して回避に移って下がり出しますが、どういうわけかレーザーは照準は移動する彼を正確に追いかけていきます。


 「おいおい・・・」


 このままでは時間の問題な上、人の多いところで暴れるわけにはいかないとと感じたフィフスは相手のキャノン砲の位置で爆破裂を起こして破壊しにかかりました。しかし煙が晴れても、相手の装備には傷一つついていませんでした。


 『チッ・・・ 臼負いといいこんなのばっかかよ・・・』


 このまま距離を取っても不利になるだけと見たフィフスは、ならばいっそ近付こうと少し前にインターバルの時間を越えたばかりの瞬間移動で間合いに入りました。


 「!!」


 相手は彼の技に驚いて後ろに下がった隙を見て元々燃え上がっていた拳で起こした犬牙を相手の腹辺りにぶつけました。しかし直撃したにも関わらず、相手はこれにも一切ダメージを受けている様子がありませんでした。


 『これもダメかよ!!・・・』


 そこに攻撃してガラ空きになっていた腹を相手は殴り返し、装甲を付けていないフィフスは目を開いて怯んでしまい、数歩後ずさったところを蹴り飛ばされてしまいました。


 結果フィフスは本来の姿のまま人が多い広間にまで出てしまい。壁にぶつかって煙が舞い上がったことに周囲の人達は当然気にし始めます。


 「何だ!?」

 「なあに? 喧嘩でも起こったの?」


 ゾロゾロと人が集まりこのままでは姿を見られると思ったフィフスは煙が舞っている内に擬態変化をしてこの場から離れようとします。


 『よし、ギリギリ間に合うか?』


 しかし息を止めてじっとしたいた彼に予想外のことが起こりました。次の瞬間真正面からさっきと同じレーザーが飛んできたのです。


 『躊躇無しかよ!!』


 攻撃を防ぐために彼は放射炎を出しますが、威力は向こうの方が上のようで、徐々に追い込まれていきました。周辺の人達は飛び火した火花の被害に遭ってしまいます。


 「熱っ!!・・・」

 「おい! これマジなやつかよ!?・・・」


 この状況を理解し始めた人達は我先にとこの場から逃げ出し始め、ドタバタに乗じてまた煙が立ち、フィフスの姿を隠しました。


 「クッ・・・」


 フィフスは出来るだけレーザーを留めておき、放射炎を解いてここまでレーザーが来る一瞬の隙に軌道から外れて難を逃れました。


 『よし! この人混みなら俺の探知は出来ない。レーザーは消えるはず・・・』


 フィフスの予想通り、次の瞬間レーザーは消えました。


 『今のうちに立て直しを・・・』


 しかしフィフスが動こうとした次の瞬間・・・





 シュン!!・・・



 もう一方の砲台から放たれたレーザーが動くフィフスのすぐ隣を突っ切り、すぐに消滅しました。


 『今のは!?・・・ 馬鹿な・・・ 人混みでごった返している中から、瞬時に俺を見つけたのか!? それに見つけたとしてもだ・・・


 この状況下、俺を狙い撃ちするには走り回ってる人の隙間を通り抜けるしかねえ!! どんな動体視力してやがんだ!!』


 流石に相手も他人を巻き込んで面倒なことになるのを避けたいのか、攻撃は細かい上に証拠の残らないレーザー弾だけになりました。しかしその狙いは正確で、弾を撃つ度にフィフスは現在地から動けなくされました。


 人がいなくなるのと同じくして銃弾の連射は止まり、向こう側の通路からスーツの男がゆっくりと歩いてきました。フィフスは起き上がり、息を切らしながら話し出します。


 「ガァ・・・ ハァ・・・ へぇ・・・ 思ってたよりやるじゃねえか・・・」


 男は返事もしようとせず、無言のまま左腕についている腕輪のモニターを操作しました。すると両肩に備え付けられたキャノン砲が背中のバックパックと自動で合体し、背中から取り外されました。完成した巨大キヤノン砲の持ち手に手を置き、砲口をフィフスに向けます。


 「・・・必殺武器ってとこか。」


 フィフスは怒りにまかせて躍起(やっき)になっていたこともあり、両腕を上に上げてクロスしました。真っ向から破壊炎で対抗するつもりです。


 相手の方も砲口に段々と真っ白な光が発生し始めました。フィフスの方もさっきよりも目が血のような赤に染まっていき、痺れ薬の効果も切れてきてフルパワーを出しかけたそのとき・・・














 チリンッ・・・













 フィフスに小さな音が響き、一瞬手が止まってしまいました。瓜から貰った厄除けの鈴の音でした。


 「・・・!?」


 するとその間に敵はキャノン砲の引き金を引き、光線を発射してきました。遅れながらもフィフスは破壊炎を発射して打ち破ろうとしますが、威力は明らかに向こうの方が上なようで、簡単に破壊炎が押し戻されてしまいました。


 「!!!・・・」


 抵抗もむなしくフィフスは光線に包まれ、そしてその場に彼の最後を彩るような爆発が起こりました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


モチーフ紹介


・天邪鬼

 『猿蟹合戦』より栗

 『瓜子姫』より天邪鬼




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