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第16話 コウモリ男



 「よお、いきなり派手に学校(ここ)に来て何の用だ?」


 フィフスは怪人の腕を強く握った。動揺して振り向いた怪人は、フィフスの姿を見て目を見開いています。


 「赤鬼だと、それもあなたは・・・」

 「おっと、無駄口は叩かせねえよ!!」


 フィフスは相手が隙を見せたところを突いて殴り飛ばしたのです。勢いで下がりながらも怪人はすぐに立ち直しました。


 『フィフスさん!! お腹、大丈夫なんですか?』

 「ああ、まあ・・・ それは気にするな。」


 現在の男子トイレ、三人の男が見事に気絶中・・・


 瓜を自分の後ろへ下がらせ、フィフスは怪人に対し、面と向かって戦闘態勢に入っていた。すると、落ち着いた様子で怪人が話し出しました。


 「いやあ、これは驚きましたよ。この世界において我々魔人と敵対する魔人がいるとは聞いていましたが、まさかそれがあなたとは・・・」


 怪人の言う事に瓜は疑問を抱いきました。


 『知り合いですか?』

 『いや、全く。』

 『なら、どうしてフィフスさんを?』


 怪人は話を続けます。


 「残念ですよフィフス殿、あなたのような方が私たちの敵になるなんて。」

 「あいにく俺はお前らの目的とやらを知らねえんでな。ただ話がしたいだけだ。」

 「そうですか。ですが・・・」


 そのとき、怪人がフィフスに正面から音波をぶつけてきた。流石のフィフスも狭い廊下の中で二人を連れて回避することは出来ず、剣で受け止めて衝撃を周りに分散した。すべて捌き切る頃には、敵はとっくに窓から外に出て離れていた。


 「ご安心を、今は下手に戦うつもりは無い。」

 

 そう言い残し、怪人は無数のコウモリに変化して飛び去っていった。フィフスもすぐ追おうとしたものの、不可能と悟り足を止めました。


 「逃げられたか。」

 『あの、いつものように瞬間移動はしないんですか?』

 「無数にいるコウモリ全部をか? あいにくあの技は連発出来ないんだよ。」


 苦虫をかみつぶしたような顔のフィフスに瓜はこれ以上何も言えなかった。そんな彼は、その足で倒れている平次の前に行った。


 「で、何してんのこいつ?」

 『私をかばってそれで・・・』

 「ほ~、そうか・・・」


 悲しんでいる瓜をよそに、じいっと平次を見るフィフス。そして・・・


 「おら、起きろ。」


 ゴンッ!!


 「グホッ!!?・・・」


 フィフスは思いっ切り平次の腹を蹴った。あまりの痛みに気絶していた平次が目を覚ました。


 「石導君!!」

 『無事だったんですね。』


 目覚めはしたものの、平次の状態は悪かった。大半はフィフスのせいだが・・・


 「て、てめえ・・・ 負傷者をいきなり蹴るな!」

 「戦場で仲間置き去りに狸寝入りこいてる奴が言うな。なんなら股下の方が良かったか?」


 平次はフィフスのふざけた態度に怒り、ついに立ち上がって怒鳴った。


 「何が狸寝入りだ!! お前こそ町田さんが襲われそうかもしれないってときにわれそうかもしれないって時にうんこ行きやがって、てめえの方が示しつかねえだろうが!!」

 「お前! こんな女子が近くにいる中で堂々とうんこなんて何考えてんだ!! 謝れ、瓜と読者に謝れ!!」

 「メタ発言を普通のように言うお前が言うな!! お前こそ読者に謝ってこい!!」


 しょうも無い言い争いが続き、瓜がいい加減口を挟んだ。


 『あの、スミマセン。もはや二人して何の話してるんですか?』


 瓜からのテレパシーを聞いてフィフスは咳をして話を無理矢理切り、本題に入った。


 「ゴホンッ!! それで、お前がここにいる理由は何だ? 見た感じ、瓜目的ではなさそうだが・・・」


 フィフスからの切り出しにさっきの言い争いでゼ~ハ~言っていたが、すぐに調子を取り戻して話し出した。


 「ああ、俺ってより、グレシアからの伝言だ。ただ、いきなり学校(ここ)に来るとは思わなかったけど・・・」

 「てことは、あの化けゴウモリのことか。てかあいつ、何でそれがわかるんだ?」

 「お前さんと違ってうちの魔女は任務で来たからな。出て来た時に反応する水晶が・・・」

 「あるってことよ。」


 突如後ろから声がしたことに驚いて平次が振り返ると、そこには本来の姿のグレシアがいた。


 「いつの間に!?」

 「どうやら間に合わなかったみたいね。廊下グチャグチャじゃない!!」


 驚く二人と違い、フィフスは落ち着いた様子のまま会話を続けた。


 「よお、グレシア。観念して話す気になったか。」

 「フンッ! 勘違いしないで。今回は協力した方が速くすみそうだっただからなだけよ。でも・・・」


 グレシアが横目で後ろを覗くと、催眠が解けた人が近づいていた。


 「場所を変えた方が良さそうね。」


 フィフスは術を発動し、瓜達を引き連れて一瞬で消えた。


_________________________________________


 瓜が気が付くと、そこは学校の屋上にいた。キョロキョロとしていると、フィフスとグレシアは向かい合って話していた。


 「久しぶりね、その技。」

 「何か言いたげだな。」

 「いや、やめとくわ。それより・・・」


 二人はそのまま本題に入ろうとしたが、一人空気の読めない奴がいた。


 「はっ!? ここ・・・ 屋上!!? なんで!!? 俺さっきまで・・・ え!!!?」

 「わかましいわよ!! ちょっと黙って。」

 『そういや、石導(こいつ)はこれ初めてだったな・・・』


 その後平次を黙らせた二人は、緊張した状態に戻った。


 「それで、あの化けゴウモリについて何知ってる?」


 グレシアは仕方なさそうに話し出した。


 「あいにく目的まではわからないわ。ただアタシはこの水晶で魔人の存在を感知できる。それで知らせに来たの。」


 グレシアは鞄の中の水晶を取り出して見せた。


 『本当だ。 赤鬼(フィフスさん)に反応して光り輝いてます・・・』

 「それ、本来人間が魔人(俺たち)を見つけるために使う奴だよな。どうやって手に入れた?」

 「あんた、自分がやって来たこと覚えてないの?」


 その言葉を聞いてフィフスは察した。大方自分が倒した勇者から回収したな・・・ っと。


 「じゃあほぼ情報なしって事かよ。」


 フィフスはため息をしながら髪をかいていた。しかしそこに、運が舞い込んだ。


 『そういえば・・・』

 「どうした、瓜」

 「何急に独り言言ってんのフィフス。」

 「気にするな。俺は瓜とはテレパシーで話すんだ。」

 「端から見たら単なるやばい奴よ。」

 「言うな!! それで瓜、どうした?」

 『あの怪人さん・・・ こんなことを・・・』


 瓜は思い出したことを言い始めた。


 「・・・ ここにはいないのか。ならいい。」


 「ここにはいない? そう言ってたのか。」

 「探し人ってこと?」

 「それも女の・・・」


 手がかりを感じた一行は、その事について調べることにした。

_________________________________________


 一方その頃の化けゴウモリ、変化を解いて路地裏に潜伏していた。


 「はてさて、どうしたものか・・・」

 「お困りの用だね。」

 「ああ、せっかく大きく動いたというのに、これではね・・・ !?」


 化けゴウモリは我に返り、後ろを向いた。そこにはまた、例の男がいた。


 「ヤッホ。」

 「あなたですか。私を茶化しにでも来たのですか?」

 「進行状況を確認しに来たんだけど、どうやら悪いようだね。」

 「仕方ないでしょう。契約者の言う女があの場にいなかったんですから。」


 ギリギリと指を噛んでいる化けゴウモリの肩にもう一人の男が右手を置いた。少し焦っている彼に対し、男は余裕をふっこいていた。


 「まあまあ安心しなよ。君の制限は土蜘蛛と違って「暴走」では無いんだからさ。」

 「軽々しく触らないでいただきたい。私はあなたを信用した訳では無いのだから。」


 化けゴウモリは冷たい目線で男を睨んだ。男は一切へらつきは消えなかったものの、触れていた手は離した。そしてこう言いだした。


 「悲しいなあ、せっかく言い情報と悪い情報をそれぞれ持ってきたのに・・・」

 「情報?」

 「どっちから言って欲しい?」


 仕草をつけながらわざとらしく続ける男。化けゴウモリはその事に多少の苛つきを感じながらも、情報への興味が勝ったために素直に聞いた。


 「なら、悪い方から聞きましょう。」


 それを聞いた男は笑みを浮かべ、軽く話した。


 「ならそっちから、おそらくお目当ての子はしばらく学校に来ないよ。」

 「何ですって!? こっちには顔と、そしてあの学校の生徒ということしかわかっていないというのにか!! これでは見つけようが無い。」


 化けゴウモリが現状の悪さに絶望していたが、男は気持ちのこもっていない励ましをしながら続けた。


 「まあそう落ち込まないで、良い方はかなりのものだからさ~」

 「良いものだと? ならじらさないで話しなさい。」




















 「その子、君を探してるよ。」


_________________________________________


 「あの階の生徒、女子は一人除いて休みなしだったよ。」


 グレシアのスマホに、こっそり名簿を覗きに行った平次からのメールが入ってきた。


 「そうか、ならはっきりしたな。」

 『まさかと思いましたが・・・』


 二人が納得している中、グレシアだけは首をかしげる。


 「どういうことよ?」


 勘の悪いグレシアに、フィフスは説明した。


 「敵の狙いは、お前だって事だ。グレシア。」







 「・・・ ハエッ!!!?」


 その事を聞き、グレシアは一人衝撃を受けていた。

<魔王国気まぐれ情報屋>

・キャラクター紹介


{グレシア}


種族           雪人

契約者          石導 平次

年齢           16歳

誕生日          4月10日

身長           157cm

性格           真面目 頑固

家族構成         母(育ての親) 義兄

使用魔術         氷結術

好きな物・こと      お菓子(抹茶系は苦手) 魔法薬作り(ろくなものがない)

嫌いな物・こと      男(特にフィフス!!)

好きなタイプ       兄さんみたいな魔人

将来の夢         魔王国最強の戦士

最近はまりつつある物   宝塚(女はイケメンになれることを知った)

モチーフ         『ヘンゼルとグレーテル』より魔女

             『雪の女王』より雪の女王




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