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第164話 若様大活躍!!

 所戻って経義。変わった形とはいえ静を人質に取られ、うかつに動けなくなっていました。当然枕返しはこの状況を利用しないわけがなく、早速脅しをかけてきました。


 「オラ、武器を武器を降ろせ。」

 「チッ・・・」


 静の魂が入った置物に爪を近付け、その指示に経義は何も言わずに従い、手に持っていた大剣を地面に落としました。そんな彼の姿を見て枕返しは高笑いします。


 「ハッハッハ!! あれだけ調子に乗った発言をしても、俺の魔術さえあれば所詮はこんなものだな。」


 置物の中に意識がある静はとても焦ります。


 「若様、私のせいで!!」


 ぬいぐるみのフィフスと同じく動くことが出来ない彼女をいいことに攻め立て続けます。


 「さぁて・・・ じゃあ動けなくなったところで、お前を殺してアイツにさっさと願いを叶えて貰うか!」


 枕返しは経義にゆっくり歩いて近付き、自身の爪通しをこすり合わせています。しかしその先にいる経義は、焦るどころか仁王立ち状態でどっしりと構えています。


 しばらく歩いてその事に違和感を覚えた枕返しは足を止めてふと聞いてみました。


 「何だお前? やられる覚悟が出来てかっこつけてるのか?」


 その問いに、彼はこう返事をしました。


 「どうやら勘違いをしているようだな。」

 「なんだと? 武器も離してお手上げじゃねえか。」


 しかし彼はその言葉に動じる様子もなく、こう言い切って見せました。


 「俺は動く必要が無いんだよ。」

 「は?」


 彼の言っていることの意味が分からない枕返しは、後方から響いてきたエンジン音に気付くのが遅れ、そこから放たれたビームに右腕を負傷して、静の入った置物を手から離してしまいました。


 「ナァ!! しまっ・・・」


 枕返しがひるんでいる内に経義は動き、置物が地面に激突する前に拾います。


 「それを返せ!!」


 しかし焦って動こうとした枕返しに、さっきビームを撃ってきたバイクが激突し、相手を吹っ飛ばしてしまいました。


 「ウアガァ!!!」


 バイクは経義の真横で止まり、搭乗者が被っていたヘルメットを外しました。そこにいたのは、別の用事で二人から離れていた弁でした。


 「若様!」

 「すまんな、弁。」

 「何をおっしゃいます! 主人に頼られてこその『執事』です!」

 「来たついでにこの置物を頼む、落とすなよ!」

 「ハイ!」


 思わぬダメージを受けて起き上がる枕返しですが、その動きにさっきほどのキレはありません。それを見計らった経義は、すぐに落としていた大剣を拾って刃を突き出します。


 「これで人質も無くなった。好きかって暴れさせて貰うぞ。」

 「ええい! そんなもの、今度こそお前の魂を取り替えれば・・・」


 しかしさっきのことで見切った経義にそれは通じず、事前に左手に持っていたマグナフォン連射し、枕返しの特殊術を発動前に防ぎました。


 「何ぃ!?」

 「引き出しの少ない奴だ。種が分かればこんなものか? なら・・・」


 経義はそのままで相手に近付き、間合いに入った途端に大剣を振り下ろしました。銃弾だけで手一杯だった枕返しはその攻撃を受け、両腕を切り落とされていまいました。両手が揃っていないと出来ない特殊術は、もう使えません。


 「ガアァ!!!・・・ 痛え!!!」


 痛みに耐えかねた枕返しは、とにかくこの場から逃げることを優先しだし、大剣を振るったことで生じた彼の隙を利用して後ろを向き、全速力で逃げ出しました。すぐに姿が小さくなってしまい、追い付きそうにありませんが、経義はそれでも動じる様子を見せません。


 「逃がすわけ無いだろ。」


 すると彼はスーツの召喚に使った腕輪を見た、その液晶画面には、何やら地図のようなもの、そしてそこに移動している赤丸があります。


 「弁、少しの間シズを頼む。置物ごとな。」

 「了解しました、行ってらっしゃいませ。」


 経義は弁が乗ってきた自分のバイクにまたがり、アクセルをかけて走り出していきました。



____________________



 咄嗟に逃げていった枕返しは、他あるマンションにまでたどり着きました。彼はそこで足を踏ん張らせてハイジャンプをし、マンションの数階分を飛び越えて通路に入り込みます。


 そこから少し歩き、部屋の前に立ち止まりました。彼はそこに入ろうとしますが、腕を切られたがためにドアノブが持てません。仕方なく彼は足で扉を蹴り飛ばし、中に入っていきました。


 その部屋には、間抜けそうに伸びている容姿の整っていない男性がいます。


 「ハァ・・・ ハァ・・・ とりあえず少しの間ここに雲隠れを・・・」









 「させるわけ無いだろ。」


 枕返しが後ろから聞こえた声に驚いて振り返ると、いつの間にか入り口付近に立っている経義がいました。


 「お前! どうやって!?」

 「この世界の人間を舐めるなよ。GPSぐらい隙を見て付けてある。」


 実は経義は先程置物を拾った際に、枕返しの足にGPSを付けていたようです。彼はその信号を追ってマンションにつき、扉が破壊される音を聞いて、仕込みのワイヤーを使ってここまで上って来たようです。


 「クッ!!・・・」


 枕返しは尚も逃げようと反対方向の窓を開け、そこから飛び出していきます。残念ながらそれは経義には通じませんでした。


 彼は窓際まで大剣の刃を回して広げ、ボウガンモードに切り替えます。そしてまだ空中にいた枕返しに向かってボウガンの矢を撃ち出して見事に背中に命中させました。


 「グガッ!! ガガ・・・ ガァーーーーーーーーーー!!!」


 矢を受けた枕返しは、そう断末魔を上げながら爆散しました。


 「フゥ・・・ 手間かけさせやがって。」


 経義は腕輪のスイッチを押してスーツを脱ぎ、すぐに信に連絡をしました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・仕込みGPS


 以前静がバレンタイン篇にてフィフスに使っていた物の同種品。信が経義達の装備品に仕込んでおり、装備の使用者が特殊操作をすることで取り外せる。


 帯電性はもちろん、吸着性も高く、相手をオウのにはかなり重宝する。




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