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第163話 あなたはだあれ?

 その頃の町田家。フィフスの体と瓜がソファに座っていましたが、いざこうなってみると男は何を話したらいいのか分からなくなってしまいました。そのせいで、彼はどんどん焦りが募ります。


 『まずい、どうにも空気が悪くなってきた。何かうまいこと話題を振って、彼女との仲を深めなければ・・・』


 するとその部屋にユニーが駆け込み、彼に向かって飛びついてきました。


 「ウオッ!! 何だ一体?」


 ユニーは涙目になって彼を見つめてきて、彼はこの動物の名前が何だったか思い出そうとします。


 『確かコイツは・・・ ユニーだっけか?』

 「よ、よぉ~ユニー、会いたかったぜ~!」


 男がユニーにじゃラつく様子を見て、瓜の方も嬉しく反応します。


 『彼も取っても心配してたんですよ。本当に、戻ってこられて良かった・・・』


 しかし、この状況に本物のフィフスは更に急ぎ出しました。


 『やばい、このままじゃ俺の場所を取って代わられちまう! 早く動けこの!!』


 焦るフィフスを余所に、男は調子づいてきたことで、とうとう斬り掛かりました。


 「でさ、瓜。」

 『はい、何でしょう?』

 「その、せっかく帰って来れたわけだし、お詫びとして、何かおごってあげるよ。」

 『え!? そんな・・・』


 彼女が少し照れた反応に、男はいい調子だと感じます。


 『良し! いいぞ!! このまま押し通せば・・・』


 しかしそこで瓜からこう言われてしまいました。


 『つい先日ぬいぐるみを貰ったばかりなんですが・・・』

 「え?」


 男は瓜の言うことが分かりません。当然です。これはフィフスが魂を抜かれる直前にやった行為なので、カオスも知らなかったのです。


 そこで急いで男が周りを見ました。そして彼女の言うぬいぐるみを発見します。


 「ああ、あれの事ね。そうそう、可愛いから君に送ろうと思ってね。」

 「!!・・・」


 よく分からないが故に適当に言ってしまった男。するとその言葉を聞いた途端に瓜の表情が固まってしまいました。男は何があったのかと聞きます。


 「どうかした?」


 そこで瓜はこうハッキリと言いました。










 「あなたは・・・   誰ですか!?」





 「・・・はっ?」


 男は突然彼女から言われた事に膠着し、そして理解するとすぐに名乗ります。


 「何言ってんの!!? 俺だよ、『小馬 五郎』!!」


 この言葉を聞いて、瓜は頭を下げました。そして小さな声で・・・


 「彼は・・・ そのぬいぐるみを、変って言いました・・・」

 「へ?」

 「それに、彼の名前は・・・ 『フィフス』さんです!!」


 そこで男の方は「エッ!!?」っと意味が分かっていないような顔になります。


 実は鞄などには『小馬 五郎』の名前しかなく、彼はてっきりそう言う名前とばかり思っていたためにカオスから本名を聞いていなかったのです。もちろんカオスはその事に気付いていましたが、わざと言わないでいました。


 「あっ!? あぁ~・・・ そういやそうだったっけ? 頭を強く打ってて忘れてたぁ~・・・」


 男は咄嗟にこう言って誤魔化そうとしますが、しかしそのときには瓜は確信を得ていたようで、身を後ろの引いていました。これを見た彼は、もう手遅れなことを実感しました。


 「あ~あ、騙して仲良くなったら手っ取り早かったんだけどな~・・・」


 機嫌を悪くして男は頭をかきむしり、瓜はそこに聞いて来ました。


 「本物のフィフスさんは!! どこに!!?」

 「あ? ああ・・・ そういや、変な化け物が言ってたっけ。この体の元の持ち主は、入れ替えた小石ごと潰しておいたってな。」


 それを聞いて瓜は大きくショックを受け、警戒していた腕や膝の力を抜いて崩れてしまいました。ユニーの方も、目を大きく広げて衝撃を受けています。


 「そ・・・ そんな・・・」


 戦意喪失してしまった瓜に、勝ち誇った様子で男は近付いて来ます。


 「ま、でもこの通り体は残っているんだ。どうだい瓜、どうせ帰って来ない本物を待つくらいなら、この俺と一緒に遊ばないかい?」


 そこに怒り心頭のユニーが彼に攻撃を仕掛けようと動き出します。しかしそれを見た男は、すぐにポケットから魔法陣の描かれた小さな髪を取り出し、それに二本指で触れました。すると魔法陣は光り出し、ユニーの動きを固めてしまいました。


 「ユニーさん!!」

 『ユニー!!』


 男は再び得意げに紙をヒラヒラと振らしながら語ります。


 「残念だったな! お前ら契約関係はこの魔法陣に触れるだけでもう片方の動きを封じることが出来るんだろ? 仮面を付けた男から聞いたぜ。」

 『カオスが!?』


 ユニーは苦しそうにもがきますが、拘束はとても解けそうにありません。そうして男は瓜に持ちかけてきました。


 「さあどうする? 君が俺と付き合ってくれるんなら、コイツの拘束を解いてやってもいいけど?」

 「!!・・・」


 それを間近で見ている本物のフィフスはより必死で動こうとします。


 『ウオォーーーーーーーーー!!! 動け動け動け動けぇ!!!』


 それでもなお彼の体は動きません。しかし彼は目の前で友達がピンチになっているために一切力を抜かず、諦めようとしませんでした。しかし人のいい瓜はユニーが苦しんでいるのを見て、一度目を閉じて立ち上がりました。


 「お? ついに決心してくれた?」

 「わ、私は・・・」


 その瓜に男がフィフスの手で触れようとし、瓜自身も諦めた次の瞬間、そのとき、不思議なことが起こりました。












 ピカーーーーン!!!・・・






 「ッン!!・・・」


 突然部屋の隅に置かれていたフィフスの剣が鞘から漏れ出るほど光り出し、そして男の動きを固めてしまったのです。


 『何だこれは・・・ 急に体が・・・』


 それだけではなく、次の瞬間・・・




 「オラァーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


 彼と瓜の間にさっきまで動かなかったぬいぐるみが割って入り、その拳で男を思いっ切り殴り飛ばしました。


 「ゴガァ!!!・・・」


 ぬいぐるみの攻撃のはずなのに、彼は思いダメージを受けて壁に勢い良く当たってしまいました。


 「いいい痛えぇーーーーーーー!!!!」


 そこから見事に着地したフィフスはこう思いました。


 『お~・・・ 気合いの力ってスゲぇな・・・』

<魔王国気まぐれ情報屋>


・そのとき、不思議なことが起こった


 この言葉を使うことで、あらゆる物事を無理矢理にでも引き起こせてしまう魔法の言葉。


 展開に行き詰まった作者の必殺技なり



フィフス「いや、説明が面倒くさいだけだろ・・・」




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