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第152話 運命の、さ・い・か・い

 意図せずぶつかって出会った二人は、この後何を話せばいいのか分からず、少し気まずい空気が流れました。しかしこのままではダメだと思った平次は、意を決して口を開きます。


 「町田さん、どうしてここに?」


 その問いに瓜は相変わらず筆談で答えました。


 「近くのスーパーに買い物で。」

 「え! そうなの!? お、俺も丁度今から買い物なんだ!!」


 どうにかチャンスを掴もうとしたために、平次は少々喰い気味に瓜に詰め寄ってしまいました。彼女はそれに驚きます。


 「ああ、ごめん・・・」


 平次はそれに気が付いて身を引きました。それでいて彼はどうにかこぎ着けようと、咄嗟にこう言い出しました。


 「そ、その・・・ よかったら、一緒に行かない!!?」

 「ハイ!?」

 「ああ!! いや、女の子が一人でこんな人気(ひとけ)の無い所を歩くなんて、男として心配でさ・・・」


 出来るだけ優しい顔をしてそう言う平次。すると、それに異を唱えたいのかユニーがヒョッコリと瓜の右肩に現れました。「彼女は自分が守っているから十分だ!!」とでも言いたそうに平次を見て来ます。


 彼がそれに目を細めて睨み返し、静かにその間で火花を起こしていると、そんなことに気付いてすらいない瓜は少し考えたような顔をしてから、返事をしてきました。


 「いいですよ。」


 平次はボソッと聞こえたその言葉があまり聞こえず、もう一度耳を澄まして聞いてみました。


 「え? 今なんて?」


 「ぜひ・・・ 一緒に行きましょう。」


 その言葉を理解した途端、ユニーは驚いた目線で彼女を見て震え、平次の頭の中にカーニバルが起こりました。フリフリの衣装の女達が舞い、上空には無数の花火、その中心には、広い会場全体に響き渡る大声で彼が叫んでいます。


 「いいいいいいいいいいいやっっっっっっっっったぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


 そうして固まってしまう彼。対してその瓜の頭の中


 『せっかく誘われたのなら乗らないと友達は増えないって、フィフスさんも言ってましたし。』



____________________



 こうしてテンションに若干・・・ というかかなりの違いも持ちながらも、二人と一匹は足並み揃えて近くのスーパーに向かって行きました。特に話すことがないため沈黙が続いていますが、平次の頭の中ではこれとは正反対にうるさくしています。


 『奇跡だぁーーーーーーーーー!!! まさか偶然に町田さんとのデートが出来るとは!! ハッ!!・・・ もしや・・・』


 平次は先程飲まされたグレシアの薬のことを思い出しました。


 『アイツの薬の効果・・・ なわけないか、アホらし・・・』

 「石導君、どうかしましたか?」


 平次は瓜から見せられた言葉にハッと我に返りました。


 「い、いやなんでも・・・」


 平次は苦笑いをして、にやけていた顔を元に戻した。隣のユニーからの視線に少々窮屈さを感じています。「下手なことしたら頭を蹴り飛ばす!!」とでも言いたそうです。おそらく瓜が一人で出かけるにあたってフィフスから指示されているのでしょう。


 『ハァ・・・ この馬の視線がなければ・・・』


 そうこうしていると、後ろから車のエンジン音が近付いてきました。ふと平次が振り返ると、近くの泥にその車の車輪が踏み込もうとしていました。しかもこのままではそれでとんだ泥が瓜にかかってしまいそうです。


 「町田さん!!」

 「えっ?」


 平次はどうにか瓜を助けようと咄嗟に動き、彼女を抱えて身を翻しました。そして車が通り過ぎたとき、彼は反射的に瓜を抱き寄せてしまいました。


 「「あっ!!・・・」」


 二人は至近距離まで顔が近付き、平次はその一瞬をとても長く感じました。しかし・・・




 ビシャァ!!・・・




 車が通ったときに、瓜の代わりに自分の背中にしっかり泥をかけられたことで意識を戻しました。


 「アダッ!!・・・」

 「大丈夫・・・ ですか?」


 瓜からかけられた優しい声に、平次は自分が彼女を引き寄せている事に気が付き、動揺します。すると次の瞬間・・・


 ドガッ!!!


 「ウゴオォ!!!」


 平次は一瞬だけ姿を戻したユニーに蹴られ、反対側の壁まで吹っ飛ばされてしまいました。


 「ユニーさん!!?」


 瓜は彼のやったことに驚き、平次は更にダメージを受けながらも歩いて戻ってきました。


 「この、馬め・・・」

 「大丈夫ですか!?」

 「ああ、こんなの全然・・・」


 そこで二人ガ目を合わせると、どこか気まずくなってまた沈黙してしまい、目をそらしてしまいました。平次の方はとりあえず自分のやったことを誤魔化そうと泥に汚れた上着を脱いで畳み、右腕に抱えました。


 「あ~あ・・・ 洗っとかないと・・・」

 「ごめんなさい・・・」


 さっきのことに彼女の方も動揺しているのか、瓜は自分の口で謝ってきました。平次はそれに笑顔を作って優しく返します。


 「いや、いいよいいよ。町田さんが汚れなくてよかった。」


 瓜はそんなことより、この真冬の中で平次が冷えないか心配しました。


 「石導君、寒くないですか?」

 「いや、だから大丈夫だって・・・」


 平次は紳士っぽく断り続けましたが、そんな彼を見た瓜は、モゾモゾと自分が付けていた帽子やマフラー、手袋を外し、それぞれ彼に付けてあげました。彼女からの思わぬ行動に平次は心臓が大きく動きます。


 「ま、町田さん!!?」


 それらをつけ終わり、彼から少し離れて瓜はまたスマホに文字を打ち、恥ずかしそうにしながら平次にこう伝えました。


 「お節介かもしれませんが、使ってください。」

 「町田さん・・・





  ・・・ありがとう! すっごい暖まる!!」


 平次は素直な笑顔を見せ、瓜もそれを見て少しホッとし、二人はまたスーパーにへと向かって行きました。

<魔王国気まぐれ情報屋>



・キャラクター紹介



{ソック}



種族           猫又

誕生日          2月22日

身長           45cm

性格           スケベ

契約魔人         グレシア

好きな物・こと      盗撮 猫のフリ(ラッキースケベ目当て)

苦手な物・こと      ゴリマッチョな男

好きなタイプ       ボインもスレンダーも可

将来の夢         エロを極める

モチーフ         『長靴を履いた猫』より猫




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