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第150話 受け取ってください!!

 経義から一目散に逃走し、さっきいた場所から更に遠くでフィフス達の様子を見ていたカオス。


 「あ~らら、やられちゃったか~・・・ どうにも、魔王子君()を追い詰めるには、彼自身を攻撃しても意味無いようだなぁ・・・」


 するとカオスは目線をずらし、フィフスの近くにいた瓜を見た。


 「とするといい手は・・・ やっぱあれだよね。」


 カオスは彼女を見ながら仮面越しにニヤけ、そして声に出して笑い出しました。


 「フフフフフ・・・ ハッハッハッハッハ!!!」











 「何がそんなに面白いのよ?」


 「ハッハッハ!!・・・ あ?」


 カオスが声が聞こえてきた事にドキッとして一度笑い声を止めて後ろを向くと、おでこに怒りマークがハッキリと見えるセレンが肩幅に足を広げて圧を放ちながら彼を睨み付けていました。


 「あ、セレン様・・・」


 カオスがマズいとその場を逃げようとしますが、左肩を強く掴まれて逃走不能にされてしまいました。そして息つく間に絞め技をかけられてしまいました。


 「イガガガガガガガガガ!!!!!」

 「たっぷりお仕置きよ!! 感謝なさい!!!」


 ゴキッ!!







 「アガァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」







 しばらくその場にはカオスの断末魔が響いたといいます。

 


____________________



 その頃、砂人との戦闘が終わりって落ち着いた二人が息をつくと、鈴音がルーズに駆け寄りました。


 「ルーズ!!」

 「ウオッ!! 鈴音様!!」


 鈴音が自分に飛び込んできたことにルーズは驚きますが、そんなことはお構いなしに鈴音は聞いて来ます。


 「お疲れ様だぞ。にしてもルーズ、あんなことが出来たのか!?」


 ルーズは鈴音を飛び跳ねる鈴音を落ち着かせて執事らしい丁寧な言葉で語りかけました。


 「アハハ、まあまだまだ未熟ですが・・・」

 「そんなことないぞ! あんなに早く動いて、でも、確かに何で十秒だけなんだ?」


 その質問には奥にいたグレシアガ答えた。


 「そりゃあ簡単な話、体への負担がとんでもないもん。」

 「負担?」

 「そ、例えるなら、○○○○・○○○(ピーーーーーー)の全力疾走を十秒間息無しでやってるようなものよ。」

 「そんなに!!?」


 盛り上がっている様子の声を聞いて、フィフスは今だ砂が取れない目をこすりながら少ししんみりした顔になった。そこに、自分の一番近くにいる人物が声をかけてくる。


 「フィフスさん。」

 「瓜か?」


 現在彼は目が見えないため、キョロキョロとしながら瓜の居場所を探します。


 『ああ、見えないなら良いですよ! それに・・・』


 瓜は思っていた。今回の騒動、自分がチョコを突き飛ばされたときに彼のもとを離れなければ、こんな大惨事にはなってなかったと責任を感じていたのです。


 『その、ごめんなさい。私・・・』

 「謝んな。どうにしろ、あの時俺はお前からの好意をはねのけたんだ。怒られて仕方がない。チョコ、ぐちゃぐちゃにしちまった。」


 すると二人から後方に少し離れていた静が、少しアッと何かを思い出したような声を上げました。


 「ん、どうした?」


 そこから静は二人の元に近付き、先程リモコンを入れていたのとは反対側のポケットに手を入れ、そこから小さな箱を取り出しました。それを見た瓜が驚きます。


 「それは!!?」

 「どうかしたの、瓜?」

 「あ! 丁度タイミングバッチシね。」


 すると、全てのウォーク兵を倒してきたサードがそこに合流し、瓜の前で手のひらを合わせ、頭和下げながら説明します。


 「ごめんウリーちゃん! 今朝渡した紙袋、昨日アタシが買ったおやつとすり替わってたみたい!!」


 「「「「「ええぇ!!?・・・」」」」」


 今回の騒動に振り回された一行は揃って拍子抜けしました。それについて次に聞いたのは、瓜を心配していた鈴音でした。


 「じゃ、じゃあ、今マッチーが持っている紙袋の中身は・・・」

 「アタシのウィスキーボンボン。イヤ~間に合ってよかったわ。」


 それを聞いてフィフスの酒乱を知っているルーズとグレシアは・・・


 「本当にね・・・」


 と彼が紙袋を突き飛ばしたことにむしろ幸運を感じました。瓜の方も、


 『あ、危なかったです・・・』


 と言葉にしないものの内心安心しました。そこに静は近づき、彼女にその箱を手渡しました。


 「よかったですね。」

 「あ・・・ ありがとう・・・ ございます・・・」


 瓜は小さくお礼を言ってそれを受け取り、胸の内にぎゅっと抱きしめまてホッとしました。そこにフィフスが今朝のこともあってぎこちなく話してきました。


 「その・・・ よかったな!」


 そうしてこの話を終わらせようとフィフスがまだ砂が取れていないのにその場に立ち上がって学校に帰ろうとすると、瓜はそんな彼の袖を引っ張りました。


 「・・・瓜?」

 「その・・・ フィフスさん。」


 フィフスの聞くその声はどこか震えている。彼女が緊張していることが伝わってきました。それでも彼女は自分の声を出して彼に伝えてきます。


 「あの・・・ 改めて、ですが・・・ これ、受け取ってください!!」


 フィフスはそれに少し目元から手を離して動揺を見せました。


 「お前・・・ 偶然チャラになったとはいえ、一度お前の好意を踏みにじった奴にいいのか?」

 「それは・・・ フィフスさんの意思ではありません。今これを渡されても、気休めにもならないでしょうが・・・」


 フィフスは知っている。瓜はヘンテコな上凶悪な変人とも歩み寄る優しい性格だと言うことを。だからこそ謙遜して諦めさせようとしたのですが、それでも引きそうにありません。


 そして、実際の所彼も、彼女からのチョコは受け取りたかったのです。


 「受け取って、くれないでしょうか・・・」


 「・・・ その・・・ 受け取って良いなら、貰う。」


 フィフスは少し照れてるようで、瓜からそっぽ向いてそう小さく言いました。その返事に彼女は嬉しそうにします。


 「ハイッ!!」


 周りで鈴音とサードがいやらしくその様子を見ています。それに対してグレシアはどこか不満そうにしていました。


 「シカシカ、どうかした?」

 「ああ! 何でも無いわ。」


 瓜もフィフスに感化されて少し頬を赤くしながらどうぞと渡そうとすると、フィフスは後ろを向いたままこう言いました。


 「スマン、まだ目の砂が取れなくて、ハッキリ見えなくてな。こっちに来て貰って良いか?」

 「あ、ハイ。」


 親切に瓜が言われるがまま彼に近付き、そして両手に小さな箱を持って彼に向かって差し出しました。彼は右手を伸ばし、見えないながらもそれを受け取ろうとしました。そして










 ムニュ・・・


 「ヒャエ!!?・・・」


 「あれ? えらく柔らけえな・・・ チョコ入りのマシュマロか何かか?」


 フィフスが少しそれを触っていると、もう一方の手で目の砂が取り除かれました。


 「オッ、ようやく取れたか。さてチョコってどんな・・・」


 フィフスがそうして早速後ろを振り返ると、そこには・・・









 瓜の持つチョコではなく、その先にある彼女の胸を鷲掴みにしている自分の腕と、突然のことに顔を真っ赤にして硬直している彼女が見えました。


 「ナッ!!!」


 「ハッ!!! い、・・・ イィ・・・」

 「イヤ瓜! これは・・・」


 フィフスは必死に弁解しようとしますが、時既に遅く・・・



 「イィヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


 ボゴガッ!!!


 「何でこうなるーーーーーーーーー!!!?」


 彼は混乱した彼女からの怪力パンチを受け、天高く飛ばされてしまいました。周りの皆も、この事態には流石に呆れるしかありませんでした。

<魔王国気まぐれ情報屋>


 チョコレートはその後きちんと受け取り、感謝しながら食べました。


瓜『なんだか・・・』


フィフス『気まずい・・・』




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