第149話 真空膜層
フィフス「新年、」
一同「あけまして、おめでとうございます!!」
ルーズ「って、初投稿から一年経ってキャラも増えたのに、なんでわざわざまたこの三人でやってるんですか?」
瓜『確かに、気になります。』
フィフス「決まってんだろ、作者が昨年やったことを改めてやったらねたになると思ったからだ。」
瓜『相変わらず行き当たりばったりですね・・・』
ルーズ「ところで王子、新年が始まってあなたに年賀状という物が来ていますが。」
フィフス「ん、誰からだ?」
「次の出番はいつになったらありますか?
セカンド」
一同「「「あ~・・・」」」
今年も『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』よろしくお願いします。
多分セカンドはまだしばらくの間出番はありません。
カオスが醸し出すただならぬ空気に、相手である経義はもちろん、味方であるはずのセレンも顔色を変えて緊張していた。
『カオスの真の力・・・ コイツ、いっつもヘラヘラして、何考えてんだかよくわかんないけど、こういうやつって、そこ時からはとんでもないことが多いのよね。もしかしたら、今からとんでもないことが・・・』
セレンが強く身構えると、とうとうカオスが口を開きました。
「秘技!!」
それに経義がザッと片足を下げて大剣を向ける。そしてカオスは真の力を発揮した。
「逃げるが勝ち!!!」
「ハッ?」
カオスが言ったことに、セレンは彼が一瞬何を言っているのかと動きを止めていると、カオスは目にも見えない速さで回れ右をし、そこから見て真正面に一目散に走って行ってしまいました。
残された二人は何が起こったのか理解できず、静止画のような時間が少しの間流れました。そして我に返ったセレンは・・・
「カオスゥ!!! あんんのバカ坊主!!!!」
「何かよく分からんが、とりあえずお前だけでも潰すか。」
「うっさい!! ちょっと黙ってて!!!」
「えぇ~・・・」
経義は自分のことをそっちのけにされていることに苛立ちましたが、彼女の現状に少し同情して大人しくしました。
『この感じ、どうにもあの赤鬼に似ているような・・・』
「ああもう!! こうなったらタタじゃ置かないわ!! アイツ、とっちめてやる!!!」
そう大声で独り言を言うと、セレンは自分の体を液体に変えてその場から消えてしまいました。そうして一人になった経義は・・・
「え? 俺、来た意味あった?」
ヒュ~・・・
スーツ越しでも身に凍える寒い風が吹き抜けていきました。
____________________
別の場所でそんなことがあったなど全く知らない残りの一行。残された砂人と膠着状態が続いていました。しかしそれもフィフスが立ち上がり、話し出したことで解かれます。
「これでもう邪魔はいない。心置きなくやってやろぉ・・・」
しかし彼の気合いと体力は別なようで、意気込みを言い終わる前にまた崩れてしまいました。
「フィフス!!」
「悪い・・・ 啖呵きったはいいがやっぱダメみたい。」
「だらしないですね。」
「じゃあお前やってみろよ! めちゃくちゃキツいからな!!」
フィフスは戦闘不能と判断した魔人二人は、他の面々よりも前に出ました。彼自身も無理は禁物と思ったようで、声をかけて引きました。
「すまない、今回は任せた。」
「「任された。」」
グレシアは杖を、ルーズは腕を部分獣化しました。こちらから仕掛けようと二人が動き出すと、砂人は焦りだして手から砂を出して応戦しました。
しかし二人はそれを軽くかわしてみせ、それによって砂人が砂を引っ込めようとする時に少し余ってしまい。そしてそれが気を抜かしていたフィフスの両目に直撃してしまいました。
「ギャーーーーーーーーー!!! 目が!! 目がぁ!!!」
「うっさいわよバカ王子!!」
「いつまでも愚痴を聞くのはごめんです。手早く終わらせるとしますか。」
するとルーズはグレシアに小さくハンドサインをし、彼女もそれに小さく頷きました。ルーズはそれを確認すると、脚を広げて少し膝を曲げ、両腕をぶらんと下げました。
「あれは・・・」
初めてその構えを見た瓜と鈴音が興味を持っていると、フィフスが目に入った砂を取ろうと目をこすりながら説明します。
「あれがルーズの構えなんだよ。術装のな。」
『術装!? フィフスさんが剣に炎を纏わせていたあれですか?』
「何も術装は武器に纏うだけのものじゃない。あそこの砂人と同じように、体全体に術をかけて変型させるもの。そして、アイツのは大分特殊なんだが・・・」
フィフスが説明している最中にも、砂人はは変な姿勢を取って動かなくなっているルーズに一気に大量の砂を勢い良く飛ばしました。
「お前から窒息させてやる!!!」
しかしルーズがかなりそれが近付いてきても動きません。鈴音はそれを見て心配し、思わず叫びました。
「ルーズ! 危ないぞ!!」
しかし彼女の心配も彼は聞いていないようです。そんなことなど当然関係無く、大量の砂は彼の目前にまで迫ってきます。
しかし、次の瞬間・・・
シュン・・・・
ドガッ!!!
「ガハァッ!!!?・・・」
一瞬の後、砂を放っていた砂人は、さっきまで砂に襲われかけていたルーズの拳によってお腹の中心部を攻撃されていました。そして砂人は訳も分からぬままにそのパンチの勢いに吹っ飛ばされます。
それを見た瓜はこう思いました。
『あれは! フィフスさんの瞬間移動!?』
「違えよ。まあそれを元にはしているがな。」
そこからまたルーズが消え、吹っ飛んでいく砂人は、少しでも反撃しようと腕を伸ばそうとします。しかし、それを放とうとした途端に死角からいつの間にか蹴りを受け、地面にたたき落とされました。
「オゴッ!!!?・・・」
そのから、砂人は空中に浮いたまま何が起こっているのか分からない時間を少し感じ、そして・・・
「そろそろか。」
「エッ?」
フィフスがそう呟くと、消えていたルーズが砂人から少し離れた所で姿を現しました。
「ザッとこんなもんですか。」
次の瞬間、砂人は一気に全身の至る所から最初に受けたパンチと同じ感触を感じ、白目を向いて口から血を吐き出しました。
「カハッ!!!・・・」
訳が分からない瓜と鈴音にフィフスが詳細を語りました。
「<術装 真空膜層>、自分の体の表面に特殊な膜を張ることで、人が動くときに受ける空気抵抗や慣性の法則を無視ることができる。無茶苦茶危険な技だから、使用時間は十秒が限界だけどな。」
ルーズは、フッと息をつき、呼びかけます。
「グレシア! 後は・・・」
「分かってるわよ!!」
グレシアは大ダメージを受けて気を失っている砂人に一気に距離を詰め、自分の左手を当てました。
「ま、念のため・・・ <氷結術 冷楔>」
すると、殴られ続けてふらついていた砂人が一瞬で氷付けにされました。そこに彼女は右手も相手にぶつけて畳み掛けます。
「とどめよ! <氷結術 凍砕>」
凍砕を受けた砂人は、オークの時と同じように一瞬にして砕け散りました。二人の魔人は戦闘を終え、大きく息を抜きました。
<魔王国気まぐれ情報屋>
<術装 真空膜層>
ルーズがフィフスの瞬間移動に追い付くために、変化の他の手として会得した術。十秒間だけの間、風圧や慣性の法則のような動作による抵抗を受けなくなり、素早さを底上げする。
あくまで体感時間は変わらず、そして体にかなりの負担がたたるため上述の数秒で止めている。
よろしければ、『ブックマーク』、『評価』をよろしくお願いします。