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第148話 反撃開始

 自分の隠れ場所に気付かれ、とうとう出現した砂人に、フィフス達は睨みを効かせていました。


 「なんだ、王子もそこまで気付いていたんですね。」

 「気付いたところで体を操られちゃ何も出来なかったんだよ!」


 機嫌の悪いフィフスにグレシアが気になったことを言ってきました。


 「でも、どうして制限時の電撃じゃ離れなかったわけ?」

 「そりゃあ、地面タイプに電気タイプの技じゃ効果が無いからな~・・・ その逆に水タイプは効果抜群だ。」

 「ちょっと待って! その理屈通じて良いの!?」

 「細かいことを気にしてはいけません。」


 完全に普通に会話している三人に対して追い詰められた砂人は、小さく機嫌の悪い顔をしていました。


 「ええい! まさかバレてしまうとはのう・・・」

 『それもこれも、あのカオスとかいうやつがあんなことを言ったせいで・・・』


 砂人はこうなった原因を思い返していました。



____________________



 「よっしゃぁ!!! これで鬱陶しいリア充共が爆裂するぞぉ!!!」


 自分の願いが叶うことに歓喜して叫び散らしている契約者の男を後ろに、砂人は何故かカオスに呼び出され、少し離れた所で話をし始めました。


 「何の用だい? 呼び出してそうそうに引っ張るとは・・・」

 「まあまあ、機嫌直してくださいよ~おばあさ~ん。経験豊富なお婆さんに、皆には秘密のちょっとした頼み事があるんだよね・・・」


 カオスの人を食ったような態度に砂人は胡散臭さを感じましたが、とりあえず聞いてみるだけ聞いてみることにしました。


 「先にとある学校に行って、そこにいる赤鬼に取り憑いてね。そこから彼をとことん追い込んだらなお良し。」

 「何故ワシがそんなことを・・・ 契約のことで手一杯じゃ!」

 「大丈夫、契約を叶えるついでに出来るよう手は考えているから。だからこそあなたを呼び出したんですよ。」


 カオスの言うことはどことなく冗談臭い。しかしそれでも何故か信じても良いという気が起きていました。


 「とにかくあなたは、魔王字訓をぶち切れさせといてくれれば良い。後は僕の方でやっときますので・・・」


____________________



 『クッ!!・・・ これも全てあやつのせいだ!!』





 砂人が今更遅いと分かっていても、砂人が自分がそれを承諾したことにそれを悔やんでいると、そこから少し離れた建物の上で、カオスとセレンが様子を見ていました。


 「あ~あ、ありゃもうだめっすね・・・ 『せっかく良いとこまで行ったもう一つも、アイツ自身が余計なことやってチャンスを潰したし・・・』」


 そう言って帰ろうとするカオスを、セレンは彼を頭を掴んで物理的にそれを止めました。


 「グオォ!!?・・・」

 「どこへ行こうとしてるのかしら・・・」


 セレンはカオスの頭をもう片手も使って締め付け出しました。


 「痛い痛い痛い痛い!!!・・・」

 「少しは手伝いなさいよ!! また仲間を見殺しにするつもり?」

 「アガガガガガガ!! 分かった分かった分かりましたよ!!! ウォーク兵!!」


 カオスは頭を締め付けられた姿のままで黒い魔道書を召喚し、ページを開いて魔法陣に触れました。すると、下で睨み合っていた砂人の周りに複数体のウォーク兵が出現しました。


 「ッン!?」

 「新手か・・・」


 砂人はその兵士達を見てにんまりとします。


 「ホッホ・・・ どうやらまだワシも捨てられたわけではないようだの。」


 足並みを揃えて近付いてくるウォーク兵達に構える魔人の三人。すると次の瞬間・・・



 ビリリリリリリリリリリリリリ!!!!!



 突然上から雷が落ち、召喚されたウォーク兵達の内約半分がそれを直撃して燃えカスとなってしまいました。


 「な、何だ!?」


 全員が驚く中、一番最初にこれの正体に気付いたのはフィフスでした。


 「今の攻撃、てことは・・・」


 その彼が後ろを振り向くと、彼の予想通りの怖い人がやって来ました。


 「やっほ~皆、見た感じで大体状況は分かったわ。」

 「サードさん!?」

 「どうしてここに来れた? 姉上・・・」


 そこには、まだ怒りが冷め切っていない様子で二刀流の剣を持つサード。そしてその後ろには・・・


 「私が教えました。先程道でばったり会いまして・・・」


 そう言って、サードの背中からヒョッコリと静が現れました。その表情は気味が悪いぐらいに笑顔でいます。


 「静!? アンタまで何で!?」

 「私のいない間にあの像を盗まれたときのために、ドクター特性のGPSを中に仕込んでおいたんです。あ、ちなみに表面は絶縁性なので、さっきの五郎さんの体でも壊れません。」


 瓜はそれを聞いてフィフスの体をあさってみると、確かに彼の背中にそれらしき小さな機械がくっついていました。


 『た、確かにあります・・・』

 「怖い女だ・・・」


 フィフスがそう呟くと、聞こえていたのか静が彼に向かってその意味深な笑顔を向け、彼はそれに少し恐怖を感じてそっぽを向きました。


 「ご安心を五郎さん、そこに付いてる盗聴器で話は聞いています。なので・・・」

 「今回は、特別に弟の悪ふざけの後始末に来てやったってことよ!!」


 サードが話を変わってそう言い、それを終えると同時に二本の剣を振り下ろしました。するとまたもウォーク兵達の真上から雷を落とし、数体をピンポイントで消滅させてしまいました。そして自分から近付き、残りのウォーク兵を引き離しました。


 「雑魚掃除はやっとくわ。そちらで本丸はよろしく。」

 「ナァッ!!?」


 砂人はせっかくやって来た助っ人が距離を離され、そこで為す術泣くやられていく様に少し焦り出します。


 「ええい・・・ 役立たずの人形が・・・」





 再びカオスとセレン。彼女は怒りながらカオスの頭を縛る力を強めています。


 「あんの荒くれ女~!! また面倒な邪魔を~・・・!!!」

 「イガガガガガガガガガ!! キツいキツいキツいですよセレン様!!!」

 「何してんのよカオス! さっさと追加のウォーク兵出して!!」


 そうして解放されたカオスは、少し愚痴を言いました。


 「あ~あ、この職場ホントにブラック・・・」

 「何か言った?」

 「いいえ、さっさと出しますんで・・・」


 そしてカオスがまた魔道書の魔法陣に触れようとすると・・・


 「ッン!!」


 次の瞬間、カオスの胸当たりにレーザーが飛んできました。しかし彼はその場から忽然と消え、いつの間にかセレンの後ろに下がっていました。


 「アンタ・・・」

 「あっぶないなぁ~・・・ 誰だい?」





 「シズから連絡を受けて来てみたら、いきなり本丸に当たるとはな。」


 レーザーの飛んできた方向を見た二人が見たのは、スーツを着た状態の経義でした。


 「ああぁ! エデンの研究所にいた鎧の!! 元気?」

 「チッ! ここにも来たのね。カオス!!」

 「はーい、せっかくですし、ここで僕の真の力、見せてあげるとしましょうか・・・」


 カオスは今まで見せたことの無いような威圧のかかったオーラを出し、経義はそれに身構えました。


 「真の力だと?」

 「フッフッフ・・・ さあ、覚悟しなさ~い!!」


 不穏な空気が流れ始める中で、カオスは仮面の中で笑顔を浮かべていました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


 静が持っているドクターのヘンテコグッズは、本人が試供品段階で部下に配っている物を、経義がめんどくさがっている内にくすねた物です。


 信も既にその事には気付いていますが、これはこれで面白いと黙認しています。





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