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第143話 操られた赤鬼

 そこからの学校は、カップル達の喧嘩によってまともに授業が出来ない状態になってしまっていました。先生達が対応しようとしましたが、それでも怒声は収まりません。


 「どうしてゴミなんて言うの!!?」

 「うっせえ! お前が作る物なんて食えたもんじゃねえんだよ!! こんな物・・・」


 すると彼氏は、持っているチョコを床にたたきつけて、自分の足で踏みつけてしまいました。それを見た周りは騒然とします。


 そんな中、瓜は他のクラスメイトが気付いていないあることに気が付きました。


 『あれ? もう授業が始まる時間なのに、フィフスさんがいない・・・』


 するとそんな彼女に都合よく、当の彼からのテレパシーが頭に入ってきました。


 『瓜! 瓜! 聞こえるか!?』

 『フィフスさん!!』

 『よかった。テレパシーが出来るようだな。』


 フィフスの少し安心したような声とは反対に、瓜の方はさっきのことがあって話に戸惑ってしまいます。


 『何ですか・・・ さっきのことなら、捨てておくので・・・』

 『いや、それは・・・ 』

 『いいんです・・・ 別に・・・ 』

 『よくねえよ!! 俺はあの時・・・ アァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』

 『フィフスさん!?』


 突然彼が叫んだと思うと、テレパシーが送られてこなくなってしまいました。


 『苦しい叫び声・・・ まさか・・・』


 瓜は彼に何が起こったのかわかり、もみくちゃになっている教室からグレシアを見つけ出して肩を叩きました。


 「すみません。」


 距離が近いために聞こえたグレシアとその隣にいた鈴音は振り返ります。


 「どうしたの、瓜?」

 「・・・ フィフスさんが!」

 「「ッン!!」」



____________________



 先程フィフスが反射でテレパシー内でも叫んだ理由。それは・・・




 バラバラバラバラバラバラバラバラ!!!!


 「アァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 久々の感覚だぁ!!!」


 フィフスはどういう訳かユニーなしの今の状態で瓜から五十メートル以上離れたがために、契約制限の電撃を受けていたのです。しかしそれでも彼は足を止めようとしません。いや、止められなかったのでした。


 『クッソ! 砂人の言ってたのはこのことだったのか!! おかげで散々だ!!』


 そうです、砂人は去り際の攻撃の時に、発生させた砂を彼の体にすり込ませていたのです。砂人はそれを操り、フィフスの体を動かしていたのです。


 『やってくれたなあのババア!! さっきから体は動かせんわ勝手なことをしゃべるわ散々だ!! これ以上何をやろうってんだ!!?』


 そこでフィフスはその去り際に砂人が言った言葉を思い出します。



____________________



 「この町のもん達はこれで終わりじゃ!!」



____________________



 『まさか!!』


 フィフスの悪い予想は当たり、彼の進む方向は学校の反対方向に向かっていました。当然それによって、彼の体に走る電撃の威力が強くなります。


 「ウグッ!!・・・ ガァ!!!・・・」


 彼は苦しみの声を上げながら抵抗しますが、体は一切彼の意志に従いません。


 『ババアめ、さっき俺と男達をぶつけたのが、砂を移すためだったとすれば・・・



  ・・・やつの目的は、この町中の男に同じ事をさせる気か!!』


 彼の足は無理矢理速くなり、その駆け足で来る人来る人とぶつかって行ってしまいます。


 「ギャーーー!!」

 「オイ!!」

 「気をつけろよ!!」


 しかしその注意も意味が無く、彼は意思に関係無く進んでいってしまいました。しかし彼自身はそれを黙って従うわけが無く、次の瞬間、突如体はその動きを止めました。そしてどうにかギリギリ言葉を話すことも出来ました。


 「させっかよ・・・ これ以上・・・」


 フィフスは操られる力を抑えながら必死に拳を強く握り、何か力を込めたような構えをしました。すると彼の目が瞬きをした瞬間に赤くなり、体から湯気のような物が噴き出してきました。




 そこから離れた場所にセレンと歩いていたカオス。


 「ッン!?・・・」


 突然彼は歩いていた足を止め、後ろを振り返りました。


 「どうかしたの?」

 「いえ・・・ 今回の魔人、思いの他良い仕事をしそうで。」

 「・・・は?」


 そのときのカオスは、仮面越しでも分かるほどにニヤついていました。






 グレシアの後ろで箒にまたがり、空をかけている瓜。


 「ッン!!・・・」


 何かピクリと彼女が動揺したような仕草を見せたことにグレシアが気付きます。


 「どうしたの?」

 「な、何か・・・ わかり、ませんが・・・」

 「?」


 すると、グレシアのポケットに入っていたスマートフォンが着信音を鳴らしました。彼女がそれを取ると、事前に連絡をよこしておいた信からでした。


 「もしもし。フィフスは見つかりました!?」

 「ああ、先程監視カメラで見つけたよ。全身を光らせて半狂乱に叫びながら走って行ったところをね。」

 「大惨事じゃない!!」

 「どうにも彼のマグナフォンも壊れたのか位置を追えない。とりあえずそのカメラの位置を送るから、付近を探してくれ。魔人はこっちでなんとかするよ。」

 「お願いします。」


 グレシアは通話を切り、送られてきた情報を見ました。


 「ちょっと飛ばすわよ! 踏ん張って!!」

 「は、ハイ!」


 瓜はグレシアの腰に手を巻き、踏ん張る態勢なります。それを確認したグレシアは飛行している箒の速度を上げました。


 運転に集中しているグレシアに対し、瓜はどこか落ち着きがありませんでした。


 『何でしょう・・・ 何か、恐ろしいことが起こりそうな・・・ 胸がぞわぞわします・・・』


 瓜はそんなことを考えながら、箒は真っ直ぐに都市街の空を進んでいきました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


・飛行中の二人


 グレシアは瓜が抱きついていることにより、自身の背中に大きめの弾力を感じ続けていました。


グレシア『悪気は無いことは分かるんだけど・・・ やっぱ腹立つわ。』





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