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第142話 喧嘩祭り

 フィフスが堂々と言った失礼な言葉に、瓜以外の面々が更に攻め立てます。


 「アンタ、今の言葉正気なの!?」

 「小馬ッチ・・・ 今のは無いぞ・・・」


 女子二人は完全にフィフスに対して完全に軽蔑を示し、平次は二人が引いた次の瞬間に拳に力を入れて彼の右の頬を殴りつけました。


 「ガハッ!!・・・」


 フィフスはいつもの動きはどこへやらと平次のパンチを真正面から受けて崩れてしまいました。


 「何すんだ!!」

 「お前・・・ 正直見損なったぞ・・・」


 平次の静かなトーンの言葉にフィフスが逆に驚いていると、平次は再び拳を握りしめます。そして動きの鈍くなったフィフスに二回目の攻撃をしようとしました。フィフスは必死に抵抗の言葉をかけます。


 「待て待て待て!! これは・・・」


 その説得もむなしく、平次が拳を振り下ろそうとしたときです・・・



 「止めてください!!!」



 突然聞こえた大きな声に、平次はその動きを止めました。それは瓜からの言葉だったからです。彼は後ろを向き、瓜に声をかけました。


 「でも、町田さん!」

 「いいんです・・・ フィフスさんには・・・ 邪魔・・・ でしたよね・・・」


 瓜はそう言うと、紙袋を拾って足早に屋上を後にしました。平次はそれを追いかけ、女子二人はフィフスにこう言います。


 「いくらもやついてたからって、あんまりだぞ。」

 「アンタ、なんであんなことを?」


 するとフィフスは焦った様子で話しました。


 「違う! さっきのは俺の・・・ 俺の心からの本音だ。それとも何だ? お前ら不服なのかよ。ペチャパイにアホッ娘のくせに生意気言うな。」


 ビキッ!!!・・・


 「ペチャパイ・・・」

 「アホッ娘・・・」



 ボカボカボカボカ!!!・・・



 「ギイヤーーーーーーーーーーーーー!!!」


 二人は一方的にフィフスを殴り潰すと、怒りの収まらないままに屋上を去って行きました。


 「もういいわ!!!」

 「二度と話しかけんじゃ無いぞ!!!」


 「ち、ちが・・・」


 すると次の瞬間、フィフスの体が不自然に起き上がりました。これで彼はある予想が立ちました。


 『まさか、これは・・・』


 そしてフィフスは階段を駆け下りていき、廊下で次々と人とぶつかってしまいました。


 「イッテ!!・・・」

 「おい、気をつけろ!!」


 「ま、マズい・・・」



____________________



 怒りがまだ収まりきらない女子二人。


 「全くなんなのよ! 前から生意気言うやつだったけど、ここまでとはね・・・」


 すると鈴音が窓の外から何かを見つけ、足を止めました。


 「シカシカ! あれ!!」

 「ん?」


 




 「いたぞ!!!」





 「えっ?」


 「「「「「「ま~ち~だ~さ~ん!!!!!」」」」」」


 グレシアが鈴音に言おうとした言葉は、突如現れた男達のかけ声にかき消されてしまいました。


 「な、何!!?」


 その男達の何人かが話し出します。


 「町田さん、鞄重くない?」

 「え、ええ・・・ てか持ってないけど・・・」

 「喉渇いてない? ミルクティー飲む?」

 「アタシレモンティー派だからいいわ・・・」

 「お腹すいてない? 一緒にご飯でも・・・」

 「さっき食べたから良いわ・・・ ていうか・・・





  ・・・なにこの大量の列!! アイドルの握手会じゃ無いのよ!!」


 いつの間にか男子達が列をもしていました。グレシア助けを求めようと、鈴音の方を見ます。


 「鈴音、これ・・・って・・・」


 反対側では、こちらも大量の男子が鈴音に集まってきていました。


 「日正さん疲れてない?」

 「日正さんこのお花上げるよ!」

 「日正さん焼きそばパン食べる?」


 「あわわわわわ・・・」


 鈴音は次々声をかけられ続けて返す言葉に戸惑ってしまい、グレシア以上に混乱していました。これを見た彼女は逃げ出すために、やや力任せ的に術を発動し、男子生徒達を一時眠らせてその間に逃げ出しました。



 再び屋上に舞い戻ってしまった二人は、息をついて落ち着きます。


 「うぅ~・・・ 何なんだぞ、あれ?」

 「わかんないわよ・・・ バレンタインだからって、チョコレートを欲してるんじゃない?」

 「にしたかっていきなりすぎるぞ・・・ そもそも、それなら何で朝は詰め寄ってこなかったんだ? 何かおかしいぞ?」


 グレシアは鈴音の言うことを受けて、ふと何かを思い立ちました。


 「確かに、さっきのフィフスの件といい、変にタイミングがよすぎるような・・・」



____________________



 その頃、瓜は空き教室には行って一人でいました。さっきのフィフスの言葉は、やっぱり響いていたようです。


 『何やってるんでしょう、私は・・・ やっぱり、彼にこんな物、邪魔でしかありませんよね。彼のことを思うなら・・・』


 瓜はさっきはたかれて潰れた紙袋の中身の箱を取り出して見てみます。


 『こんな物、捨てないといけませんね。』


 瓜はソス思って教室を出てみると、そこに大声が聞こえて来ました。


 「マズいってどういうことよ!!?」


 ビックリして瓜が近付いてみると、そこには別のカップルがいました。どうにも険悪な空気が流れています。


 すると、彼氏の方がこう言って見せました。


 「だ~か~ら~、お前の作った物なんてマズくて食えないって言ってんだよ! 」

 「そんな! 昨日までアタシの料理が美味しいって行ってくれてたじゃない!!」

 「そんなもん、お前をキープするための建前に決まってんだろ! 勘違いすんじゃねーよバーカ!!!」


 バチンッ!!!・・・


 すると彼氏は彼女に思いっ切りビンタされ、その彼女は泣きながら去って行きました。


 『え、えらい物を見てしまったような・・・』


 瓜は気まずい中で彼氏の方に気付かれないように慎重にそこから移動し、そろそろ予鈴のチャイムが鳴る頃だったので、居室に戻っていきました。するとそこには・・・



 「なんでさっきからそんなこと言うのよ!!」

 「うっせえ! このブスが! 付き合っただけ感謝しろ!!」


 「いい加減にしろ!!」

 「こっちの台詞よ!! もういい、別れましょ!!」


 その教室には、今朝は仲良くしていたカップル達が、そろいもそろって喧嘩していたのです。


 『こ、これは一体・・・』


 場は完全に修羅場と化していました。



 グレシアと鈴音が逃げたその後の廊下。尚も二人を追いかけようとする男子生徒達に、立ちはだかる障壁が現れた。それは・・・




 「我ら!!」


 「「「「「お菓子隊!!!!」」」」」



 これは、一人の女性を一途に思う彼らの熱き戦いの物語・・・



 次回、『お菓子隊 決死の戦い』に、ご期待ください。







平次「そんなのやらねえよ。」

鈴音「次回も魔王子フレンドだぞ。」





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