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第131話 猫又へ尋問

 さて、その後一落ち着きした一行は、捕らえたソックを改めてグルグル巻きにし、屋敷の中に鎮座させ、それを上から男連中で見張り、後ろでは女性陣が風呂敷を広げて自分の下着を探してします。


 「えっと・・・」

 「ううん、これでも無い・・・」

 「アタシも手伝うわ。ウリーちゃんの好みも知りたいし。」

 「包み隠さず悪いこと言ってますこの鬼さん・・・」


 そうしている内に、男性陣による尋問が始まっていました。


 「いや~・・・ こんながん首揃えて見られると怖いわ~・・・」

 「話をそらすな。」

 「こっちは色々と聞きたいことがあるんですよ。」

 「そうだ! お前、俺の下着をどこへやった!!?」

 「いきなりそれかよ・・・」


 フィフスは経義が最初に聞いた内容に若干緊張感をそがれてしまいました。しかし経義の怒りは止まりません。彼は他の男達より一歩前に出て、身動きの取れないソックを掴み上げて首を絞めにかかってしまいました。


 「ググググ・・・ キツイキツイキツイッス!! ・・・ そんな、ワイは男の下着なんて興味ないで(あん)ちゃん!!」


 ソックの言っていることに経義は握っていた手の力を緩めました。


 「どういうことだ? この屋敷の泥棒はお前じゃ無いのか?」

 「だからそう言うとるでしょ!! ワシャ男色家の趣味は無い!!」


 さっきまでの言い逃れ感のある言い方と違って、今回は本当に必死に話す様子から、真実と受け取って彼を降ろしました。


 「そうか・・・ じゃあ俺の件は一体誰が・・・」


 経義は考え込み、後ろに引きました。すると代わりに下着を見つけてきた鈴音がやって来ました。


 「にしても、これがあの泥棒なのか? 何というか予想外というか・・・」

 「なんや嬢ちゃん、ワイのことを疑っとんのか? ならば・・・」


 ソックはいつの間にか拘束を解いていたようで、その場に立ち上がりました。


 「あ、いつの間に・・・」

 「でも腕の方の拘束は解けてませんよ。」

 「フンッ! ならば見せてやろうか。このわしの華麗な動きを・・・」


 するとソックは動ける範囲内ながら、怪盗と同じ高速の動きを見せ、初めて見る瓜や鈴音達を圧倒させました。しかしそのせいでせっかくまとまってきた下着達が宙に舞ってしまいました。


 「あわわわ!!・・・」

 「ウワッ!!」

 「は、速い・・・」

 「それなりのスピードに小柄な体、サポートにおいてはかなり役に立つ・・・ はずなんだかな・・・」


 フィフスの含みの有る言い方に鈴音が首を傾げていると、少ししてソックは決め顔を決めて元いた場所に戻りました。


 「フッフッフ・・・ これで分かりましたかい? 嬢ちゃん。」

 「た、確かに・・・ これは認めざる終えないぞ・・・」

 「いえいえ、分かって貰って良かったですぞ。さてさてそれでは・・・」


 ソックは気味が悪いくらいに笑顔でそう言うと、直後に自身の履いているパンツらしきものからどうやって入れたのかがまるで分からない大きな紙と色鉛筆を取り出しました。そして・・・


 「ええ~・・・ 今のお嬢ちゃんらのパンツの色はっと・・・」


 さっきの内に覗いた女性陣の下着をそこに描き始めたのです。


 「「「「ズコーーーーー!!!」」」」


 ソックのことをよく知らない四人はその場で崩れ、知っているフィフスとルーズ、そして平次はため息をつきました。


 「こういうとこなんだよ・・・ せっかくの能力も変態行為にしか使わねえ・・・」


ソックはそんな周りの様子を無視し、自身の絵描きに没頭しています。


 「ううむ・・・ あのウチッ子の嬢ちゃんは可愛い熊さんか・・・ ええやんええやん、もっとファンシーに攻めてけ! 後ろの大人しい子は中は真反対に個性的やなあ。おもろいけど、どうせならもっと露出を増やして大胆にして欲しいわ・・・」

 「反省してる感じ無しですね。」


 するとそんな呆れかえっているフィフスとルーズの頭上に、ヒラリと何かが落ちてきました。


 「ん?」

 「何ですか、これ・・・」


 二人がそれを取って目の前で広げて見ると、フィフスの方はセンスのかけらも無いような派手なパンツ、ルーズの方は中心部に可愛いライオンが描かれたキャラもののパンツでした。


 「これって・・・」

 「まさか・・・」


 二人が後ろを見ると、顔を真っ赤にしている契約者が我を失いかけていました。そしてその直後・・・


 「「イヤーーーーーーーーーーーーー!!」」


 ドガガッ!!!


 「「ガアァーーーーーーーーー!!!」」




 「オイ!」


 ボコられている魔人二人をそっちのけで平次がお絵かきにご満悦なソックにこんなことを聞きました。


 「なんや平次の旦那。こっちはお楽しみの最中でっせ。」

 「いやてか・・・ そもそもお前、この前グレシアの下着盗んで、押し入れの中にアイツの術で封印されてたんじゃねえのかよ。」

 「お前、異世界(向こう)にもいないと思ったらんなことやってたのか!?」


 するとソックは彼と仲がいいのか、素直に答えました。


 「それがな、なんやつい数日前に突然結界が緩んでな。(あね)さんに見つかる前が後期かと思って逃げ出してん。」

 「おい! それって・・・」


 契約者の暴走で頭にいくつもたんこぶを付けた二人がソックの言うことに反応し、彼の所へ近付きました。


 「結界が切れたって事は・・・」

 「それほど魔力が不安定って事だ・・・」


 それを聞いた瓜と鈴音がサードに抑えられて正気に戻りました。


 「じゃあ、シカシカは・・・」


 フィフスは額から汗を流し、少し困惑した顔でこう言いました。


 「思いの他、グレシアの容態は悪いらしい。それも俺達の知らないレベルでな・・・」


____________________



 石導家 グレシアの自室


 当の心配されている本人は、ベッドの上で苦しみのうなり声を出し、雪女なのに何故か寒がっています。


 「うぅ~・・・ ハァ・・・ ハァ・・・」

 「グレ姉!?」


 するとそこに彼女を心配して平次の妹の美照が入ろうとすると、どういう訳かドアノブが固まって動きません。


 「グレ姉! 大丈夫!!? 」


 その扉の反対側は、彼女が心配している当人が無意識に発生させた氷で固められていました。


 「ハァ・・・ ハァ・・・ 寒い・・・ 苦しい・・・」


 すると次の瞬間、うずくまっていた彼女の視線に、まばゆい光が見えました。お腹が突然光り出したのです。何が起こったのか驚いた彼女が仰向けになると、それは自身のお腹からのものでした。


 「な、何これ・・・ あ! アァーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 彼女がそこから来た突然の痛みに大きく動揺しました。


 「助けて・・・ フィフス・・・」


 最早弱り果て、彼女がふとそう呟いていると、その光はお腹の上でどんどん大きくなり、やがて彼女から離れていき、凍った床に落ちていきました。


 そして、光はその形を変形させていき、グレシアはそれを見てさっきまで打って変わって目を見開きました。


 「嘘! でしょ!!・・・」


 彼女はそのまま疲れで気を失ってしまい、再び倒れてしまいました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


※ソックが盗み出した大量の下着はその後エデンコーポレーションが責任を持って処理しました。


信「こんな事に一大企業の権力を使わせないで欲しいよ・・・」




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