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第126話 器用で固い狼さん

 ルーズが自分たちのいる学校に来たことでどうなるか。瓜や平次は気になっていましたが、彼と一緒に生活していたフィフスと鈴音はなんとなくどうなるのかを予想していました。


 まずクラスに入ってきた彼の自己紹介時


 「このたび、この学校に転校することになりました、『岡見 思念』です。よろしくお願いします!」


 クラスの女子達一行


 『 ・ ・ ・ イケメン!! 』


 そこからの彼の学校生活。元々執事であることもあって非常に気が回り、クラスの面倒ごとを自分から手伝っていました。



 クラス全員の数学ワークを運んでいる女子。


 「よいしょっと・・・ ああ!!・・・」


 彼女がワークを落としかけたそのとき、近くにいたルーズはすぐに手を伸ばして支え、更に目にも止まらぬ速さでワークの半分を自分で持っていました。


 「お、岡見君!? いつの間に・・・」

 「お持ちします。教室に帰るついでですので。」

 「は、はい・・・」



 掃除時間


 汚れが取れなくて苦戦しているクラスメイト。


 「ああ・・・ こりゃ取れねえな~・・・」


 後ろで班員の男子がそう諦めていると、ルーズが即席で用意した道具類を持ってそこを代わり、それらを使ってもとより綺麗にしてしまいました。


 「これでどうでしょうか?」

 「はい・・・ 問題ないです・・・」






 その結果、昼休み頃には・・・






 「ねえ、岡見君ってハイスペック過ぎない!!?」

 「小馬君とは違う優しい系イケメン!!」

 「アタシ、チョータイプかも!!」

 「え~・・・ 私は小馬君かな~・・・」


 転校してすぐにフィフスと並んでクラスのイケメンとしての人気を確立していました。それを遠目で見るフィフスと瓜。


 『凄いですね・・・』

 「こうなると思った・・・」


 そして別の所では、クラスメイトの二人が久々に学校に来た鈴音に声をかけてきました。


 「鈴音ちゃん、風邪はもう治ったの?」

 「良かった~!! 皆心配してたのよ!!」

 「お、おう・・・ 『そういうことになってるのか・・・』」


 鈴音が久しぶりに大勢の人から次々に声をかけられたことに対応しきれず苦笑いをしていると、クラスメイト達は彼女の表情からなんとなく察して話題を変え、今朝から盛り上がっていることを聞いてきました。


 「ねえねえ、鈴音ちゃんは小馬君と岡見君、どっちがタイプ?」

 「ハイッ!?・・・」

 「あ! それ気になる~!!」

 「確かに! 鈴音ちゃんって好きなタイプ言わなかったもんね~・・・」


 周辺の女子達が揃って彼女の方に来た。当の鈴音は久々に来たこともあって少し困惑しています。


 「え、あ・・・ ウチは・・・」


 フィフスから自分とルーズ、ひいては魔人のことについて黙っておくよう言われていた彼女は、いつもの楽観ぶりと違って返答に悩んでしまいます、しかしそこにグルグル回転させていた頭をを一瞬にして止めてしまう一言が彼女と周りの女子達に聞こえて来ました。




 「鈴音様。」


 それが聞こえたことで鈴音はビクッとします。当然声の主はルーズであり、クラスメイトの女子達は同じような反応を見せます。


 「あれ・・・ 今、『様』って言わなかった?」

 「私も聞こえた!!」


 やばいと思っている鈴音がどう誤魔化そうか慌てていると、そこにフィフスが助太刀に来ました。


 「あ~・・・ 岡見君。ちょっとこっち来よっか・・・」

 「え? ちょ!!・・・」


 ルーズは無理矢理腕を掴まれて教室から出され、屋上まで連れて来られてしまいました。


 「お前、ちょっとは空気を読め。」

 「しかし、鈴音様は僕のお嬢様で・・・」」

 「ここでは同じ生徒だ! アイツのためにもせめて『さん付け』までにしろ!」


 一緒に来ていた瓜と平次はリアクションに困っています。


 『意外です。ルーズさんにこんな不器用なところがあったんですね。』

 「昔からこうなんだよ。固いっつうか、空気読めないっつうか・・・」

 「面倒くさい奴だなぁ・・・」


 平次が横からそう言うと、フィフスはふと気になったことがありました。


 「ん? そういやメガネ、今日グレシアはどうした?」

 「休み。どうにも朝から調子が悪いようでな。」

 「志歌さんが!?」


 それを聞いて瓜は心配になります。しかしフィフスはいつもと顔つきが変わりません。


 『心配にならないんですか?』

 「アイツ、チビの頃からよく熱出してたからな。恒例行事って訳じゃないが・・・」

 「既に慣れてしまっていますからね。」


 子供時代のグレシアを知っているフィフスとルーズが代わりばんこに話しました。すると、ここに来るための階段から足音が響いてきました。


 「あ! やっぱり皆ここにいた!!」


 それは、どこか慌てている鈴音でした。息切れしている事から、相当急いで来たようでした。当然ながらそれを見たルーズはすぐに彼女に向かって飛び込みます。


 「どうかいたしましたか、お嬢様!?」

 「「切り替え、早!!」」


 突っ込むフィフスと平次を無視し、ルーズは真剣な眼差しで鈴音を見ています。彼女はその目に多少困りましたが、すぐに話を切り出しました。


 「事件発生だぞ! 何でもクラスメイトが学校内で化け物を見たって言ってて・・・」


 彼女の言うことに、屋上に集まっていたメンバーが全員表情を変えて反応を見せました。



____________________



 その学校内にあるとある部屋。そこにそのクラスメイトの言う人ならざる影が、何かを見つけてニヤッと笑っていました。


 「フフフフフ・・・」

<魔王国気まぐれ情報屋>


 後のバレンタインにて、チョコレートがフィフスとルーズによる総取りになることは誰も知らない・・・


ルーズ「『ばれんたいん』とは何ですか?」


フィフス「さあな。ただ俺達が嫉妬を受ける日なのは間違いない・・・」


平次「クッソ! イケメンどもめ・・・」




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