表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/344

第122話 後始末

 しばらく時間がたって鈴音が無き終えた頃、事前にルーズが通報されていたことですぐに駆けつけた警察は、ルーズに代わって男に手錠をかけて拘束しました。しかし、そこになぜかフィフスも駆けつけてきました。


 「王子! 何故ここに・・・」

 「そちらさんが警察の電話番号わかってなくてドクターに聞いたんだってな。俺はそのドクターから行くように言われた。ま、事前に言っといたしな。」


 時間が経過したことで少し落ち着いてきた鈴音が二人に声をかけてきました。


 「それって、どういうこと?」


 ルーズは話すことを困惑しましたが、それを見たフィフスが代わりに話し始めました。


 「俺がこないだの戦いの後にコイツに一つ頼んどいたんだよ。」

 「頼み?」


____________________


 それは、研究所での戦闘の後で事情徴集を受けている中、グレシアや経義、サードが話を聞かされて自分たちが休憩しているときでした。


 壊されずに残っていた自動販売機から缶コーヒーを買って二人で飲んでいると、突然フィフスが話し出しました。そしてそれにルーズがそのまま言って反応します。


 「鈴音様を護衛して欲しい?」

 「ああそうだ。しばらくアイツを守ってくれ。」


 ルーズはフィフスの言い回しに何かあると察し、目付きを変えます。


 「どういうことです? もうオークは撃退しましたが・・・」

 「だが、一つ気になることがあってな。」

 「気になること?」


 フィフスは一度コーヒーを飲み、具体的な理由を話し始めました。


 「今回、オークどもは人気の動画配信者を次々と襲っていた。だが、鈴音に対してはどうにもしつこく当たっていた点があった。何か特別な事情があるのかもしんねえ・・・」

 「それを調べろということですか・・・」

 「話が早くて助かる。」


____________________


 「と言うことで、僕が貴方の家に来たのは裏でそういう事情があったんです。出来れば内密にしたまま済ませたかったんですが、犯人(向こう)の動きが思っていたより早かったもので・・・」

 「で、事が解決したって聞いて飛んできたわけ。」


 鈴音は二人の会話を聞いて、一つ思い当たりました。


 「じゃ、じゃあ・・・ あの男が!?」


 三人はパトカーに連れて行かれる男を見ます。


 「おう、アイツがオークの契約者だ。ドクターのおかげである程度は調べもついてる。ま、多少俺の推理も入っているがな。」



____________________



 その後のフィフスの説明によると、迷惑系配信者『ドドドンパ』は、以前から人様への迷惑をかけてその配信者のアンチから再生数を稼ぐあくどいやり方をしていたようだ。



 しかし当然ながらこんなチャンネルをやっていると文句も飛び交い、更には人気の配信者達が徒党を組んで彼の撮影を妨害する事態にまでなった。



 登録者も減って来たところを挽回する手として考えたのが、僅か一年にして多数の登録者を得ていた『ベルリズム』へのコラボでした。実際、彼女の登り詰め方に嫉妬していた人も多かったこともあり、アンチ達の期待で盛り上がりました。



 しかし彼は鈴音がウィッグを被って撮影していることを知らなかったため、目撃情報も当てにならず少しの収穫も取れなかった。それに伴ってどんどんチャンネル内に文句のコメントが増え、徐々に追い詰められたところにカオスが現れたようです。



 彼の協力で三体のオークと契約した彼は、これまで自分を妨害してきた配信者や協力者を襲わせ、更に鈴音の捜索と妨害をすることを臨んだようです。



____________________



 「で、その結果がこれってとこだ・・・ 正直割に合わねえがな。」


 パトカーに連れ込まれたドドドンパは、目を覚ました途端にまだ抵抗し、反省などしていない様子でした。


 「離せ! 俺は悪くない!! アイツだ! あの化け物が悪いんだ!!」


 最後の抵抗もむなしく、彼はそのまま警察に連れて行かれました。三人はそれをパトカーが道を曲がって見えなくなるまで見届けました。


 「・・・ 帰るか。」

 「そうですね。」









 日正家についた彼らは、落ち込んでいる鈴音を先に上がらせ、少し二人で話をしていました。


 「悪いな。こっちに来てすぐにドタバタになっちまって。」

 「僕は全然です。それより、彼女が・・・ 出来ればこんな目に遭わせたくなかった・・・」


 ルーズは鈴音に申し訳なさを感じながら悔しそうな顔をします。するとそれを見たフィフスがこんなことを言い出しました。


 「えらくアイツのことに動揺するな~・・・ もしかして、惚れたか?」


 ルーズは彼に突然言われたことにビックリして唾を噴き出してしまいました。


 「な、何をおっしゃるんですが!?」

 「ほお、照れてる照れてる・・・ そういやお前のタイプって調度あんな感じだったよな~・・・」


 焦ったルーズはドギマギとしたまま大声で反論します。


 「そ、そんな、そんなことは! 僕は、鈴音様を、執事として心配しているだけです!! それ以上でも、それ以下でもありません!!」

 『わかりやす・・・ コイツにしちゃ珍しいな・・・』


 そんなことを内心思いつつ、フィフスは続けてこんなことを聞いてみました。


 「まあそこら辺は何でもいい・・・ とにかくだ、事は終わったがお前、ここにいる気はないか? 

 オークの件が終わっても、また仮面野郎らに狙われては敵わんからな。」


 ルーズは彼の内心見透かされたような言い方にため息をついて返答します。


 「ハァ・・・ それ、僕がどう答えるのか分かってて聞いてますよね?」

 「さあ、何のことだか?」


 フィフスは意地悪くニヤニヤとしながら、町田家にへと帰って行きました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


休憩時に二人が飲んでいたコーヒー


・ルーズ ブラックコーヒー


・フィフス 実はカフェオレ


フィフス「甘い物好きだが何か文句あるか!!?」

ルーズ「なんでキレるんですか・・・」



 よろしければ、『ブックマーク』、『評価』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ