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第111話 爺のお手前

 弁が気を付けをし、唐突に言い出したことにカオスや鈴音は混乱して固まりって、経義は頭を抱えます。


 「悪い癖が出ちまったか・・・」

 「悪い癖?」

 「弁は・・・ 良くも悪くも正々堂々としていてな・・・ 場の空気を天然で壊しちまうことがあんだよ。」


 自信満々なままの弁にカオスですら戸惑いましたが、すぐに調子を元に戻しました。


 「ま、まあ・・・ そちら側の助っ人が来たのね・・・ なら・・・」


 彼は自分が困惑したことで動きが止まってしまっていたウォーク兵達に再び指示を与えました。


 「あぁ~・・・ ウォーク兵、面倒くさいから先にそこのじいさんを始末してきてくれ。」


 指示を受けたウォーク兵達は再び動き出し、経義と鈴音を一旦置いておいて、全員が一目散に弁を攻撃しようと攻めていきました。


 「ほお、どうやら先程の私の攻撃が余程勘に障ってしまったようですね・・・」

 『ま、まだ勘違い知るぞこのお爺さん・・・』


 鈴音が呆れている内に、弁はウォーク兵達の攻撃の間合いに入っていました。槍を振ればもう弁は貫かれるというのに、彼は一切立ち振る舞いを変えません。


 「ですが・・・ お二人に害をなすなら容赦はしませんよ。」


 すると弁は軽い足取りでバックステップをし、振られた槍を回避しました。しかしこれ以上下がると壁にぶつかってしまい、もう回避は出来なさそうです。


 『軽く詰みだな・・・ 面白くない。』


 しかしそんなカオスの冷めた気持ちは覆されます。その始まりは、弁はバックステップの時と同時に、二丁拳銃の引き金を引き、弾を撃ち出したことでした。


 それは人形兵であるウォーク兵が食らったところで、大した意味はなさないような攻撃です。当然ウォーク兵は倒されることなどなく、次の攻撃に移ろうと動き出しました。



 グギギギギギ・・・



 そこでカオスは初めて異変に気付きました。先頭を動いていたウォーク兵の動きが極端に鈍くなり、持っていた武器が槍だったことが災いになり、先頭に妨害されてウォーク兵達全体も槍を振り下ろせなくなってしまったのです。


 「どういうからくりだ? 何故ウォーク兵が・・・」


 カオスはすぐに別のウォーク兵達を前に出そうと操作しますが、弁は隙のあった数瞬に既に仕掛けていました。いつの間にか、召喚した全てのウォーク兵達の動きが、先頭と固体と同じく鈍くなっていたのです。


 どんな仕掛けが起こったのかとカオスが仮面の奥底にある目で辺りをじろじろと見ていると、その種と思われものが見つかりました。ウォーク兵達の回りの地面や壁の一部に、何か固いものが勢い良くが当たったような焦げ跡があったのです。


 「まさか、これ全て・・・」

 「もう遅いです、若様!!」


 弁の声を受けてすぐに経義はスーツが壊れていなかった片腕に大剣を持ち、固まって動きが鈍くなっているウォーク兵達を横一線に切り裂いてみせました。切り落とされた人形達は、弁から受けた仕掛けのせいでほとんど動けなくなってしまいました。


 「す・・・ 凄いぞ・・・ あのお爺さんも、魔術が使えるのか!?」


 側に寄ってきた鈴音の発言に経義は大剣を背中にしまってから答えます。


 「いいや。アイツは一切魔術なんざ使ってない。」

 「エッ! じゃあなんで・・・」



 「跳弾か・・・」


 鈴音の感じて疑問にカオスがそう小さく呟きました。それに経義は白状しました。


 「その通りだ。さっきのはただの実弾を床や壁に弾いてその人形兵どもの間接部に当てた。だから動きが鈍くなったんだよ。」

 『あんなレベルの跳弾って・・・ どっちにしろ魔術レベルだぞ・・・』


 鈴音がそうここの中で突っ込んでいると、そこに弁が補足を付けました。


 「わたくし達『武蔵家』は、『牛若家』のご主人様を支えるべく、あらゆるサポート技術を仕込まれています。今のものなど、それのほんの一部です。」

 「あ~あ、思ってたより厄介なのに当たっちゃったようだね。」


 カオスがこの事態に気分の悪そうな声を出し、経義と弁はまた彼に向かって構えを取り、警戒します。そしてカオスはついに自分から・・・









 「こうさ~ん!!・・・」






 両手を上に上げて降参の意思を示しました。その事に逆に経義達三人は動揺しました。その結果また聞いてしまいます。


 「・・・ 今、何て言った?」


 カオスはその返事を少し悔しそうにまた言います。


 「だ~か~ら・・・ 『降参』って言ったじゃん。もうウォーク兵を出したところで、すぐ倒されたんじゃ意味ないし。」


 その降参を見て経義は話を続けます。


 「えらく潔が良いな。何を企んでいる?」

 「あ、バレちゃった? ニシシ・・・」


 経義に諭された途端、カオスはまたニヤつき話しました。


 「事実僕はもう降参だ。でも、僕以外は違う。」

 「だからなんだ?」

 「今オーク達は、ここの戦闘員達が止めてるんだよね。」

 「やられるとでも? 無駄だ、アイツらの装備は並の魔人などすぐに討伐する。」

 「フ~ン・・・ ()()()()ならね・・・」


 カオスはその返答に含みのあるような言い方をし、聞いている三人もまさかと思います。


 「彼らは『人魚の血』を飲んでいる。それは回復させるだけだと思った?」


____________________


 「ウッ・・・ ウゥーーー・・・」


 それぞれオークを迎え撃っていた部隊は、どこも揃って戦闘不能に追い込まれていました。


 「へ、弱いな・・・」


 「魔術が使えないとはいえ、この程度とは・・・」


 「よっわ!! よっわぁ!!!」



 三体のオークは揃って関門を向け、上の階へと向かって行きました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


{武蔵 弁}



種族           人間

年齢           不明

誕生日          4月30日

身長           176cm

性格           穏やか 面倒見がいい

家族構成         不明

戦闘法          多種多様な武器によるサポート

好きな物・こと      新料理の開発

嫌いな物・こと      シズかが起こすミス

好きなタイプ       女性は皆さん美しいです

将来の夢         若様を立派に育てる

悩み           若様に友達が出来ない

             若様が椎茸を食べてくれない

フィフス曰く       ただならぬ何かを感じる・・・

モチーフ         『牛若丸』より武蔵坊弁慶



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