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第108話 エデン研究所襲撃

 場所が変わって鈴音の部屋。彼女は一人になってまた何か考えていました。


 「・・・」

 『ウチ・・・ 最近助けられっぱなしだ。せめて一つでも、役に立てれば・・・』


 すると彼女は、自身の後ろに置いてあった鞄達に目が行きました。


 『あれは・・・』






 そんな彼女に、休憩の時間などなく魔の手は迫ってきました。それも・・・


 「キャーーーーーーー!!!」

 「!!」


 それは、研究所の正門真正面からだったのです。警備員は既にダウンし、ロビーにいた人達は右往左往に逃げ出します。


 「ケヒヒ・・・ 暴れろ暴れろ!!」


 しかしここで問題が起こりました。逃げた研究員の一人が館内に知らせようと非常ベルのスイッチにかけより、それをすぐに押しました。しかし、それは少しの音も鳴らしませんでした。


 「あれ? なんで!?・・・」


____________________


 その様子をどこかから見ていた館内の職員の女が一人。焦っている人達を見てほくそ笑んでいます。


 「フフッ・・・ 焦ってる焦ってる。」


 その女の回りには、彼女がいる異常事態の中で、何食わぬ顔で仕事をしている職員達がいました。


 『いくら厳重に警備をしていたところで意味ないわ。私にはね・・・


  ・・・おっと、こっちも動いたようね。』


____________________


・研究所地下駐車場


 こちらでも別のオークが来ていました。館内のセキュリティはここでも何故か反応せず、車は次々に破壊され、近内は燃え広がっています。


 「へへへ・・・ もっと派手にやらないとな・・・」




・研究所非常口付近


 「イヤーーーーーーーー!!」


 ゴンッ!!


 逃げてここまで来た職員達が、ここにも張っていたオークによって襲われています。


 「ざ~んねん、逃がしませんよ~・・・」

 「ウワァーーーー!!」


 どこの現場も何の前触れもなく突然のオークの侵入を受けたことで、対策を取れずに慌てていることしか出来ませんでした。


 いつの間にかこの研究所は、オーク達によって占拠されてしまっていたのです。その上オーク三体はそこからも全く道を迷う様子もなく、一直線に鈴音のいる部屋にへと進撃していきます。上の階にいた彼女は、自宅の時と同じくオークの侵入に気付けません。


____________________


 監視室から全てを見ている女は、そこにいる職員達の頭に触れて声をかけます。


 「そうそう・・・ しっかり彼女を見といてね。逃げてもすぐに追えるように・・・」

 「「ハイ・・・」」


 そこにいた職員達は正気を失ったような目で彼女の支持を受けてそのままの作業をしていました。


 『戦闘部隊がウォーク兵の方に向かってここにいないこと把握済み。これで詰みね。』


____________________


 オーク達は対抗戦力を気にする心配など全くなく、カオスから事前に聞いていた指示通りに高をくくってそれぞれ別の階段を上っていきました。


 「ケケッ、こんなに楽な襲撃は初めてだぜ。」

 「先が長いのは面倒だな・・・」


 そう上へ登って行くと、その中間地にどこでも少しの人影が見えました。


 「おやぁ~・・・ ここは非常階段と聞いたが?」

 「まあいい、すぐにここも片付けて・・・」

 「あの女の元に行けば良いだけだ!!」


 そして三体のオークは足並みを揃えてそれぞれの目の前の相手に襲いかかりました。そして・・・





 ドガガガガガガガガガ!!



 「ブヘッ!!?」

 「グヘッ!!?」

 「グホッ!!?」


 三体のオークはここでも足並みを揃えて階段から弾丸の雨が降り注ぎ、その勢いに落とされてしまいました。さっきまでの職員達とは明らかに違う態度に彼らは何事かと相手の姿をよく見ます。


 「ナッ!! こ、これは・・・」






 それぞれの階段の上にいたのは、オークが来ていたことに気付いているはずのないでした。エデンの戦闘部隊がそれぞれ待ち構えていました。


____________________


 監視室にいた女は、この事態を見て動揺しました。


 「どういうこと!? 通報装置は全て無効化したはず? それに、隊はウォーク兵の方に向かっているんじゃ・・・」


 すると、その部屋のスピーカーから声が聞こえてきました。


 「君の事については五郎君から聞いていたからね、ちょっと手を打たせて貰ったよ、人魚君。」


 それは、自分のラボにいた信からでした。他の部屋のシステムを切っていたのに、彼の通信機が機能していることに彼女、『セレン』は驚きます。


 「なんで!? どうしてここ以外のシステムが使えてるのよ!!?」

 「なぁに簡単なことだよ。そちらが遠隔操作をする前にこの部屋のシステムを館内から切り離しておいたのさ。」

 『ま、元々敢えて少ししか繋がっていなかったんだけど・・・』

 「エエイ、だったら・・・」


 セレンは彼がしれっとやってのけたことを予想外に思いながらも、ならばと周りの職員達に新たな指示を出します。


 「お前達! あの魔女っ子達の動きを邪魔しなさい!!」


 すぐに職員達は聞きのスイッチを打ち込み、その階段の扉を強制的に閉めようとします。しかし何故かその扉は動きませんでした。


 「なんで! なんでよ!!」

 「君の相手は僕達だ。彼らの邪魔はさせないよ。」


 そう、これは信がラボ内のパソコンを高速で打ち込み、相手が動かす前に扉の主導権を奪っていたのです。


 「お~の~れ~・・・」


 セレンが妨害に悔しがっていると、部屋の入り口から大きな破壊音が聞こえてきました。彼女はそれにすぐ振り返ります。


 「今度は何!!?」



 「よお、お前がカオスの仲間の人魚か。」


 そこには、ドアを蹴り飛ばして足を戻しているフィフス、そしてその後ろに控えるグレシアがいました。どうやら瓜は帰らせたようです。


 「獄炎鬼!?」

 「・・・ その呼び方やめろ。」


 フィフスは会話をし始めてそうそう機嫌を悪くしました。すぐに彼女は催眠術をかけようとしますが、グレシアが細い氷を撃ち、それを回避するために口を閉じました。


 「お得意の歌は歌わせないわよ。」


 三人の間に緊迫した空気が流れました。

<魔王国気まぐれ情報屋>


 システムの復旧を急ぐ信。さっきの声の調子以上にパソコン作業を必死で向かっている。


 残像が見えるレベルの早さで動かしているため、現在彼はこのラボから動けなくなった。



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