第107話 お前は下がれ!!
それからフィフス達は瓜が落ち着いたのを見計らい、ユニーを見つけて最初に思った事を問い詰めました。
「お前、どうしてここにいる? 学校はどうした!?」
『そ、それは・・・ すみません・・・ お二人が、特にフィフスさんが心配で・・・ ずる休みをしてしまいました。』
「ずる休み!?」
____________________
いつものメンバーの中で一人だけ学校に登校していた平次。
「町田さんもいないんですけど!! もしかしおれ一人!!?」
____________________
「なんでそこまでした!? 俺の心配ってどういうことだ?」
『だってフィフスさん、また剣を使ったんですよね?』
フィフスは目を開いて反応しました。
「気付いていたのか!?」
『前の時と、同じような疲れ方をしていましたので・・・』
それを言われてしまってはと、フィフスはため息をついて文句を言うのをやめました。
「ハァ~・・・ 『どいつもこいつも、考えるより先に体で動きやがって。 それがコイツの良いとこでもある。が・・・』」
フィフスは調子を整えて話を続け、グレシアもそれに並びます。
「いいか瓜、今ここは嵐の前の静けさって状況だ。キツい言い方をするが、生半可な気持ちで首を突っ込んだらろくな事になんねえぞ。」
「コイツの肩を持つわけじゃないけど、アタシも同意だわ。」
二人に対して瓜はそれに強く反応し、声に出して反応しました。
「ですが、今の貴方は魔力は・・・」
瓜が言葉を言っている途中に、フィフスはその手で彼女の口を塞ぎました。
「今はそれを言うな。ここで鈴音に余計な不安を抱えれば、作戦に支障が出る。」
「・・・!?」
彼は手を離し、瓜に言いました。
「今回は帰れ、お前のためにも言ってんだ・・・」
「・・・」
瓜は彼の目から威圧を感じました。いつもの冗談めいたものとはどこか違う、必死なような目で・・・
____________________
所変わって引っ張られていった経義。ビルのバルコニーにて、さっきの自分の行いについて頭を冷やしています。彼はさっき瓜から言われた言葉が重く響いていたのです。
「・・・」
____________________
「貴方のやっていることは!! 悪い魔人と同じです!!!!」
____________________
『俺が魔人と同じ・・・ か・・・』
「弁・・・」
「ハイ、若様。」
経義はふと思い立ったことを聞いてみました。
「母さんは、どうして魔人と戦ってたんだ?」
「どうしたのですか、唐突に?」
「あ、いや・・・ どうにも気になってな・・・」
経義がこの時に考えていたこと、それは、自分がどうして魔人と戦っていたかでした。
今まで彼が魔人と戦ってきたのは、自身の母を殺した『魔人』という存在を恨んでいたからでした。だから魔人はもちろんのこと、その契約者も一方的に悪と見なして攻撃してきました。
しかし彼女にあんなことを言われたことで、その考えに迷いが生じたのです。
「で、どうなんだ? 知らないんなら、無理して嘘をつくこともないぞ。」
「いえ、すみません。貴方がそんなことを聞くと驚きまして・・・」
そこで初心に立ち戻ってみようと、そんなことを言い出したのでした。その質問を受けて、弁は少しして喜ばしそうに答えました。
「そうですね~・・・ 過去に一度、奥様は・・・」
弁はそこで、あることを話しました。そしてその少し後・・・
ビィーーーーーーーー!! ビィーーーーーーーー!!
信のラボに警報が鳴り響きました。魔人が出現したことの合図です。
「外で見つかった? 別個体の事件か?」
彼はそう思いすぐに送られてきた画像をパソコン内に広げました。するとそこには、鈴音とは違う動画配信者を襲っているオークの姿がありました。
『!! この前経義君を向かわせたときは二体だったが、今回は三体・・・ 鈴音君のことは後回しにしたのか? どうにしろ、速く部隊の派遣を・・・』
すぐに信は部隊に指示を出そうと機器に触ろうとしました。するとそのとき、後ろにあった部屋の扉が開いたのです。
「!? 誰だ!!?」
信はすぐにそこに振り返りました。そして・・・
「君は・・・」
____________________
その頃、当のカメラで見つかっていた事件現場。そこでは三隊のオークがグループのヤーリューバーに容赦無く襲いかかってきました。
そこにすぐに討伐部隊が到着します。
「全体、撃ち方構え!!」
隊長の指示を聞いて彼らは一斉に銃を構えます。それに相手は振り返りますが、何故かそこにいたオーク達はもちろん、被害者ですらその場から動こうとしません。
「? 君、速く逃げなさい!! 危ないぞ!!」
部隊の隊長がどこか違和感を感じながら言葉をかけると、被害者の男は急に無症状になってそこ場に立ち上がりました。
「?」
すると次の瞬間、男とオーク達の体は皮が剥がれるかのように姿が変わっていき、それが落ち着いたとき、そこにいたのは複数体いたウォーク兵でした。
「これは!?・・・ じゃあ本物は・・・」
彼らの驚きなど知ったことではなく、ウォーク兵達は彼らに襲いかかっていきました。
<魔王国気まぐれ情報屋>
・その日の学校の男子達
「ああ・・・ 女神の光が消え去った・・・」
「生きる希望が・・・ 見当たらない・・・」
「世界が・・・ 黒ずんでいく・・・」
空気がどんどん重くなっていく教室。
平次「美少女が二人いないとこうも暗くなるのか・・・」
よろしければ、『ブックマーク』、『評価』をよろしくお願いします。