運命の光
「ま、とりあえず、座りなよ」
そう言うと占い師は魔法で椅子を出してきた。
「収納魔法……それとも転送?」
「そんなのどっちでもいーじゃん」
いつの間にか、占い師は自分の分の椅子と机も出していた。
「……」
俺が椅子に座ると、占い師は懐から水晶玉とカードを取り出してきた。
「どっちで、占ってほしい?」
「どっちが自信あるんですか?」
「え?んー……」
占い師は少し考える素振りを見せると、ポンと腕を叩いた。
「じゃあ、今日は両方使ってみよう」
「……」
そんな感じでいいんだ。
「よし、じゃー……なにか知りたいことある?」
「知りたいこと?」
そんなもの沢山あるが、一番は――
「『霊死病』の治療法や特効薬がある場所を知りたい」
「っとー……予想外な返答が来たな、こりゃ。
流石にそういうのは私程度の占いじゃわかんないよー」
それも、そうか。
「じゃあ、強いて言うなら……今後のことが不安、かな」
「そう。じゃあ、お兄さんの過去から遡って、宿命・運命を見てみようか」
「過去……」
「どうしたの?」
「あ、いや、孤児で拾われた身なんだが、それ以前のことを知らないんだ」
「そうなんだ?じゃあ、ちょっと、そこから見てみようか」
占い師が水晶玉に手を当てると、淡い光が水晶玉の内から発せられた。
「なになに……へぇ、”称号”なんて持ってたんだ」
「称号……?うっ!?」
その時、ズキリと鈍い痛みが頭に走った。
「それで……え、なに、これ…………二つの運命が交わって……一つに?」
「っっ!!うっ……うわぁぁあああああああああああああああああああああっ!!!?」
水晶玉の光が俺を包みこんだかと思うと、意識はその光と共に飲み込まれた。