シングル
「はぁ……どうすりゃいいんだ……」
適正職なしの診断を受けてからというもの、そんな自分でもパーティーに加えてくれる仲間を探し続けた。
結果は案の定、惨敗。
事情を話してみたものの、
冒険職なしと聞いた時点で門前払いが八割。
金銭を交換条件に要求してきたものが一割(到底俺に払える額ではなかった)。
残る一割が荷物持ちとしてなら、という提案があったものの、
開錠などの練習をしたいと言ったら、首を縦に振るものはいなかった。
普通に考えれば当たり前だろう。
そんな『練習』に命を預けるわけにはいかない。
そんなことは、わかっていた。
とは言え、他に方法がなかった。
勿論、他の方法がないか探した。
見習いとして、盗賊や狩人の協会に入れて貰えないかと頼んでみたが、当然ながら断られた。
金銭を払ってでも練習器具を使わせてくれと、頼んでみると、
明らかに法外な値段を突きつけられた。
それ以外にも、道具屋に行き、練習用の器具がないかと問い合わせたが、
そういう道具はニーズが偏るため、市場は協会が独占しているそうだ。
ならば、とレンタル料を払うから道具屋の宝箱を使わせてくれと頼んでみた。
妙案だと思ったのだが、セキュリティの問題とかで受け付けてはくれなかった。
――と、まぁ、そんな感じで思いついた方法は全て試してみたものの、全滅。
そうなると……
「……一人でダンジョンに潜るしかない、かな」
流石に荷物持ちの身で好き勝手は出来ない以上、職なしでもやるしかないだろう。
というより、やるしかなかった。
そろそろ宿代・食費を捻出するのもきつい手持ちになっている。
冒険者の稼ぎ方の基本はモンスターを狩ったり、ダンジョンで採取、採掘した素材の販売だ。
その他、行商などで稼ぐやり方やギルドなどで依頼を受けてそれをこなした報酬を受け取る等もあるが、
行商のノウハウなんてものはないし、ギルドに行ってもどんな簡単な依頼でも職なしには許可して貰えなかった。
だから、もう、一人でダンジョンに入るしか選択肢がない状態だ。
と、なると――
「……準備、しないとな」
とはいえ、冒険者の装備品は一番安いものであってもそれなりに値段が張る。
武器は一応、ナイフがあるので
道具を買うことにした。