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ノアはよーっぽどハーバー家が嫌だったのか、教会に拝み倒して孤児院に所属しながら学園に通うことになった。

そして、冒険者デビューを果たした。男が多いのでちょっと生き生きとし始めたよ。女が苦手になってしまったのはちょっぴり可哀想だ。

なお、なぜか懐かれてしまったし、平民になったからと寮を移動してきた。よく分からない。


迎えた学期末テストは四位!

うむうむ、私頑張ってる!!私くらいしか順位見に来てないけど!

……そんな貴族が上の役職につくのね。世知辛いわぁ。


今日は夏季休暇に入る前にもう一稼ぎ、とダンジョンに来ている。諸事情でお金が必要になったし!メンバーは私、ルース、ウィル、ノアの四人だ。

ノアはあっという間にDに入りかけのEランクまできた。魔法使えるのっていいね。私はルースに「まだやめといた方がいいよ」って言われて使ってないのにぃ〜!いつになったらOK出るのかしら。



「夏季休暇中は故郷に戻るんだっけ?」

「うん!久々に家族に会ってくるよ!!」



ルースに聞かれたので、元気よく答えるとガゴンと何かが落ちる音がしたので振り返ると、ノアが顔面蒼白で立っていた。落としたのは杖だった様だ。



「レオノアさん、帰るんですか……?僕を、置いて……?」

「むしろ、何でそんな反応するんだ。ついていく気か」

「ついて行っても良いんですか!?」



ウィルの言葉に瞳を輝かせたノアに「普通の平民の家に転がり込むな」とルースがドン引きした顔で告げた。ど正論である。



「こうなったら……レオノアさんの実家近くの冒険者ギルドに寝泊まりしながらダンジョンに……!」

「お前、暇になったからってハッチャケ過ぎてねぇか?」

「おや、僕と君は知り合いでしたか?」



白い目で見るウィルに、そう返すノア。「いや、知らねぇけど」と返すウィルは知らん顔をしているけれど、多分学園にいる人だとは思う。学校スケジュールが一緒だもんな。

それと、良いとこの坊ちゃんが学園に通ってないわけがない。


……とはいえ、それを言い出すと関係性が崩れちゃうから何も言いませんけどね!

ただでさえ友達居ないのにここで減らしたくはないのであった。



「それはともかく、レノン結構お金貯まってたんじゃないの?」

「……てへ?」

「れーのーんー?」



仕方がない、仕方がないんだよぉ!



「露店で何だか良さげなスキルに必要で狙ってた品が手が届く値段で売ってたのよぅ!買っちゃうじゃないそんなの!?」



錬金スキルを持つ者は少ない。

突発的に出現するか、一族に代々伝わるかのどちらかだけれど、たまにパタっと継承が途絶えてしまうこともある。

まぁ、そんな感じなので錬金釜というのは作るときは気が遠くなるくらい高くって中古だとそこそこ痛い値段ではあるが手が届かない感じではないみたいなお値段である。

もう運命だと思って購入してしまった。おかげで手元には帰るためのお金しかない。



「だから帰省までにお土産代を稼がないといけないの……」

「じ、自業自得だな!?」



ウィルの突っ込みにウッと心が痛んだ。ついでに懐も痛い。

幸いなことに、今日のポーションを納めたお金がそれなりになると思うので危ない橋は渡らなくても良いと思うけれど。



「レノン、もう少し計画的にお金を使おうね」

「分かってるわよ!これだって必要経費なんだからねっ!?」



錬金スキルがあったって錬金釜がないとスキルを伸ばせないんだから。

これで元手以上に稼いでみせるわ!だから無駄じゃないんですからね?そうよね!?



「これだけ騒がしいんだもんな。夏季休暇はレノンに会えないのが寂しいくらいだぜ」

「僕はついていきますけどね」

「行くな」



ノアはウィルに突っ込まれていた。

ノアが女よりはマシとはいえ、殴るなどの動作に最初はビクビクしていたので、軽い動作でもそういう素振りを見せないのがウィルの紳士なところだ。

ところでノアよ、私は女じゃないのか?

助けたからノーカンなのかな。マリアの取り巻きからは非難轟々だったらしいけど。あの夜追ってきてたのも取り巻きの方々だったらしい。

……マリアほんとにヒロインなのか?原作では清楚系だったはずだけど。



「俺も家の用事があるから、次に会えるのは夏季休暇明けになるね」

「俺もだな」



疲れた様に言うルースとウィルがちょっと可哀想になったからHPポーションを分けてあげた。いいとこの坊ちゃんぽいから、婚約者関連だとか商売関連だろう。気合いを入れて頑張って欲しい。



「ゴーストぉぉぉ!」



泣きながら爆走してきたエヴァが私たちの後ろまで走ってきたので、私特製の聖水を霧吹きでかけると、魔石だけ残して消えていった。



「なんで十階層からゴーストが出るの!?斬れないモンスターなんてでないで欲しいわ!!」

「いやいや、出るって書いてあるんですから聖水とか光魔法の準備してきましょうよ」

「使い切っちゃったのよ!聖水意外と値が張るじゃない……」



グズグズと泣きながら言う三つ上のお姉さんに、私たちは顔を見合わせて笑った。なお、ギルドに募集がかかっていたので帰省前に聖水と霧吹きを納品したところあっという間になくなったそうです。ゴースト苦手な人多いらしいもんね。


……本当に怖いのは生きている人間だよ。

子どもを嬉々として捨てる親とかな!

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