表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/44

17



これはその後のお話。


ロンゴディア王国は代替わりが起こり、ルース……ルーカス殿下が即位し、隣国エデルヴァードの皇女キャロル様を王妃として迎え、国の立て直しを図ることとなった。


前王、王妃、ラファエル殿下は隣国との協議の末に毒杯を呷ることとなった。


……戦争になるよりはマシ、という双方の思惑が一致した結果らしい。


エデルヴァード帝国も皇帝の不慮の死によって代替わりとなった。

皇太子殿下が即位し……しばらくロンゴディアは表立って逆らえないだろうなぁ。あまりにも借りを作りすぎた。


ウィルは、あの……公爵令嬢オリビア様と結婚した。なんでも、旅の途中でこっそりロンゴディアに立ち寄った際、王妃の実家と対立していた公爵家が暗部に襲われたところを偶然通りかかって助けたのがきっかけなんだとか。

オリビア様の愛しのお兄様はエイダンの妹をお嫁にもらったようだ。


ローガンはあの邪竜討伐戦の後、白馬に乗った栗色の髪の、前世でいう某歌劇団にいるような美青年に見紛うばかりの女性にプロポーズを受けていた。

彼女から逃げる際に「俺を捕まえたら結婚しても良い」と言って飛び出してきたらしい。そのまま連れ去られていった。

その後、二人は結婚し魔法の研究をしながら女公爵となった姫様を支えているようだ。


イザベラはあのまま旦那様とイチャイチャしている。もうずっと仲良くいてくれればいいや……。


ノアは結局、エイダンのところで働いている。彼等は意外と馬が合うらしい。

ガルシア伯爵家は今育てている作物の交易がうまくいっているらしい。私が国を追い出される少し前に生まれたエイダン妹も元気に育っているようだ。


ハーバー家は……当然かもしれないが当主とその妻、嫡男は処刑された。

まだ小さい異母弟を可哀想に思う気持ちはあるけれど、ハーバー侯爵家はあまりにもやり過ぎたのだ。

浪費が酷く、民には酷い税を課し、それを還元することはなかった。

マリアが王太子の婚約者になった事をいい事に、不正行為も行っていたらしい。

お金が無くなれば、孤児を奴隷として売り飛ばすなどの悪事も行っていたなどの証拠も出てきて、最終的には公開処刑となった。



私はというと、家族と再会し、その後旅に出た。

何というか、少しこの先の事を考える時間が欲しかったので。



「それにしても、仲間を探しながらの生活はちょっと心折れそうだったのに、気楽な一人と一匹旅って意外と楽しいものね」



遠くに来たもので二つも国を跨いでしまった。今は山の麓だけれど、次に行く国の果てには海があるらしい。



「このまま、海を越えてみるのも楽しいかも!」



ね、と馬を撫でると、一緒に旅をしてきたその子は震えていて、首を傾げる。



「へぇ……?君はどこまで行くつもりなのかな、レオノア?」



……大変お怒りの時の知り合いの声が聞こえて、ゆっくりと振り返る。ギギギ……と音がした気がした。



「さ……さささ、サミュエル?」

「やあ、久しぶりだね」



笑顔が絶対零度だ。

何も悪くないはずなのに、何か言い訳をしなくてはならない気がする。



「久しぶりはいいんだけど、何でここにいるの?」

「君を追いかけてきた」



溜息を吐いた彼は、「ろくに話す時間も取れないまま別れて、やっと会いに行けたと思ったら旅に出たとか言われた俺の気持ちがわかる?」と聞いてきたので、「不幸なすれ違いですね」と返すと、頭を思いっきり掴まれた。



「いっ、イダダダダダダッッ!?待ってまっ……痛ッッッ」


「ほんっとに、君は、ニッッブイよね!?」



暴言を吐かれたあと解放された私は涙目で頭をさすった。本気の力ではないんだろうけど痛いもんは痛いのである!



「君は、俺が、好きでもない女を積極的に助けたり、追いかけたり、贈り物をする男に見えるわけ?」

「追いかけはしないけど助けはしそ……ウソウソウソ、しない男です!はい!」



そう返事をしてから、首を傾げる。

うん?



「えっと」

「何?」

「その理屈でいくと……サミュエルは私が好き、という事になるね?」



そう言うと、彼は「そう言う事だよ」と言って私を見つめる。

えっと、恥ずかしいなこれ!



「やっぱり、はっきり言葉にしておくべきだと思うから言うよ。君が何より大切だ。レオノア。ずっと、俺の側に居て欲しい」



そう言って差し出された手には、私が贈った腕輪がはめられていた。

握った手は、緊張しているのか汗が出ていて、彼に自分の色を贈った時のあったかい気持ちを思い出した。



「まだ、これがどういう気持ちかは分からないけど、私もあなたが大切だよ」

「……今はそれでいいよ。きっと君は、今に俺の事が好きだって心底納得するだろうから」



妙に自信がありそうなその言葉に苦笑する。

二人旅もきっと楽しいと思う。特に、サミュエルと一緒なら。






こちらで本編は終了となります。

お付き合い頂き、ありがとうございました。

あとは小話を数話だけ投稿できればいいなと思っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ