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貼り出された試験の結果を見てニマニマ笑ってしまう。五位!努力が報われている瞬間は気持ちがいい。

ちなみに一位は第一王子ルーカス殿下で二位はデイビス公爵令嬢オリビア様だ。ほぼ満点だなんて流石だ。しかも結果を見に来てもおられない。きっと順位を確信しておられるのだろう。


結果が出たので私は今日も元気にゴブリン退治です。冒険者ランクが最低のFからEに上がったので、今度ダンジョンに入ってみようと思う。レベルも結構上がった。

レベルとかなんの話?って思うかもしれないけれど、冒険者になると自分のステータスがみれるようになるのだ!わーいやり込み要素たのしー!平民は娯楽が少ないのだ。夏季休暇までにお土産買えるくらいにはお金を貯めたい。夏季休暇は畑耕しながらお勉強頑張る予定だ。まぁそれまでにもう一回テストあるし、必死で頑張らなきゃだけど。



「おりゃー!」

「レオノアちゃん、気が抜ける気が抜ける」



同じく女性冒険者のエヴァが微妙そうな顔でそう言う。こっちは真剣なつもりである。



「実際、頑張ってるからいいけどねー」



姉貴分な彼女は一閃でゴブリンを薙ぎ払った。彼女はCランクなので、全然余裕でダンジョンとかいけるんだけど、今日は私が一人でゴブリン退治するということで心配してついて来てくれたのだ。優しい。

貴族やめさせられてからの方が人の優しさに触れて生きていけている。



「魔法で掃討できたら楽なんだろうけど、冒険者の女が魔法使えたら取り込もうとする悪い奴等が湧いて出るからねぇ」

「なるほど」



薬草採取とかスライム退治の段階で制服は止めろって言ってもらえてよかった。

私のデイビス様の好感度が上がっていく。王妃とかになった暁にはバルコニーで手を振る彼女に団扇を向けたい気持ちも出てくる。いや、そんな目立つ真似しないけど。



「そういえば、レオノアちゃんは明日とか予定ある?」

「明日はルース達と依頼を受ける予定です!」



ルースとウィルも久しぶりにギルドに顔を出すらしいから、張り切っちゃうぞ。



「あら、残念。一緒に遊んでもらおうと思ったのに」



唇を尖らせた彼女に、また今度と約束をした。


翌日、久しぶりに会った二人がなんだか疲れ果てていたので、「どうしたの」と聞いてしまった。



「ちょっと人の話を聞いてくれないタイプの人間に捕まっちゃったんだよ」

「そうそう。顔だけは良いのにあの性格じゃあな」



女に絡まれてるのか、十二歳で……!いや、前世でいうところの中学生だしそれくらいあるかな。



「誰がアレを好きになんてなるものか」

「ルース、落ち着いて。目が怖いぞぅ?」



殺気立っている仲間をどうどうとあやす。

そ、そんなにやばい女なのか。大変だな、顔の整っている男は。私は平民なので誰も顔なんて見ませんけどね。

……貴族ってガチで平民に興味ない生き物だし、特に女子なんて成績とか全く気にしないよ。権力あるって色々便利だね。



「しっかし、ルースがそんだけイラついてるのも珍しいね?いつも何言われたって飄々としてるのに」

「誰にだって首を突っ込んで欲しくない話題があるだろう?」

「俺もピンポイントで触れられたくない話題出されるから気が滅入るんだよな」

「そういうタイプかー。私もそういうのある」

「「え、レノンにあるの?」」

「あるわ、多少は」



生まれてから五年くらいの事とかな!

高等部一年で転入してくるはずのヒロイン(異母妹)は男侍らせてるし、義弟になるはずだった少年はひたすらヒロインの顔色を窺っているし。

……正直アレと血が繋がってると思いたくないな。



「お家帰りたいな」



帰ってお父さんと畑を耕して、お母さんの手料理食べて、弟と戯れたいわー。

そしたら無駄に胃が痛い学校生活しなくて良いし。



「そういえば、レノンはこっちの生まれじゃないんだっけ」



いや、正確にいうと生まれはこっちなんだけど。



「そうそう。ここから一週間ほど馬車に揺られたところにある村よ」



まぁ、いう必要はないですよね!

今の家族以外の家族なんて私にはいなかったんだから。

年々、考えれば考える程、あの悪役令嬢が育った原因は親と祖父母だわと納得しちゃうもんね。平民、破滅フラグなんてないから気が楽です。

そういえば、ヒロインのやつ悪役令嬢に「下賤の子のクセして生意気」されないと起こらないイベントってあると思うんだけどどうするつもりなんだろう。デイビス様巻き込むだとかはやめてほしい。



「一週間……遠いな」

「奨学生なんだよな?長期休暇はこっちに残らないのか?」

「何のためにギルドに出入りしてると思ってんのさ。弟に土産買うためよ」



たまにいるんだけどね。王都でずっとバイトとかしてお家に仕送りをする子。

でも私は国からお金もらってる身なので長期休暇は帰ります。というか、村から徒歩二時間くらい離れた町にギルドの支部があるから稼げない事はないっていうのも大きい。徒歩二時間は結構きついけど。基本的には畑と勉強だけどね。



「弟なんて可愛いか?」



珍しく不快そうに顔を歪めるルースに、「うちはね」と返す。

他所様のお家は知らないがうちは仲がいい。まぁ、血が繋がらないのに懐いてくれて嬉しいし、それを知っても「姉ちゃん」と慕ってくれるので愛しさが爆発する。

その後、少しだけダンジョンに入って洞窟に生えてる苔(薬の材料になる)とか薬草の採取とオークの退治をした。



「その瓶詰めした苔、何に使うんだ?」



ウィルからそう聞かれたので、「畑の栄養剤作るの」と言うと、驚かれた。こっちにしか生えない苔らしいので、帰ってから有効活用します。……寮に置いてるポーション用の薬草プランターにも使うけど。

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