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キャロル様の研究を元に魔法研究所で聖剣の作成を進めている。公務の合間を縫ってよくこれだけの研究してたな!?


私の義妹と実家への反発心から進めていた聖魔法付与に関する研究の進行度合いまで計算して渡してきたの単純に怖い。


え?反発心あったのって?

いや、そりゃ良い家族に恵まれたとはいえ、私何日か怯えながら逃げて逃げてやっと助かったんだから多少はある。というか国を追い出されてちょっと落ち着いてから出てきた。

王子妃になれなかったのは100%向いてなかったから別に良いんだけど。


学園の方でも色々あるらしいけど聖剣作成のおかげでサボれているのでラッキーである。やっぱり会いたくないもんな!


一週間ほどで聖剣は完成した。

完成したその日の夜まで研究室で過ごしていると、窓がコツンコツンと鳴る。不思議に思って近づくと、何も居なくて首を傾げた。

窓を開けてもう少し先を見ようと鍵を開けると、人影が二つ入り込んできた。



「僕達に害意がなかったとは言え、少し警戒心が足りないと思うよ。レノン」



フードを外して現れたのは月灯りでキラキラと光る金の髪と金の瞳、そして花紺青の髪に深い海のような青い瞳。

少年から青年へと変わった二人の友人の姿。

少し怒ったような顔をしてそう言った彼の声は記憶にあるものよりも低い。



「そう言うなって。久しぶりなんだ。説教から始めることもねぇだろ?」



元から周囲より少し大きかった彼は、今や歴戦の戦士のようでやっぱり、三年という月日は短いようで長かったのだと感じさせた。



「ルース、ウィル……」

「久しぶり、レノン。綺麗になったね」



二人の顔を見た私は情けなくもちょっとの間泣いてしまった。


その後、三人で近況報告をしていると、ゲイリーの話になると「またヤバいものに目をつけられて……」とルースが頭を抱えそうになっていた。えっ、目をつけられている……?


ルース達の方は、災厄の獣と活性化する魔物の関連性だとか、今のロンゴディアの様子とかを冒険者ギルドで適当に活動しながら探っていたらしい。

サミュエルもあの国は知らないけど、アレは放って置いたらマズいと色んな国や地域を回りながら調べ物をしたりしていたみたいだ。基本、別行動だったみたいだけど。

ローガンは西の国のお姫様から逃げ回っているらしい。王都で買い物をしていたら、そこを馬車で通ったお姫様に一目惚れをされたんだとか。「一緒に居たらお前らの身元がバレるから別行動だ」

相手の身分は問わないはずだから逃げきれなかったら情報流れてくるはずなんだけど。



「僕達はそんな感じ。君ほどじゃないけどそれなりに波乱万丈でしょ?」

「そうだね。それで、二人はなんでこの国に?」

「ロンゴディアが滅びるのは構わないんだけど災厄の獣は放置できないから……じゃ、ダメかな?」



そう言って首を傾げるルース。あの、そういうことにしておいて、ってことでいい?

他に狙いがあるかもしんないけどそういうのはいいよ。私が知ってバレる方がルース達に不利になるわけだし。何せ私は嘘が下手である。



「それで、君にお願いにきたんだよ」

「レノンにしかこれはできないからな」



苦笑しながら彼らが取り出したのは、金の宝剣と蒼い大剣。

そして、二つの宝石。



「アレを倒したいということに嘘はないよ。君にはそのための武器の強化をお願いしたい」

「それはいいけど……」



宝剣とか使えるの?

そんなことを思いつつ鑑定をかけて見ると「アストラの宝剣」とか出てきた。神様の武器とか国宝じゃないの!?

顔が引きつりながらも解説を読み進めていくと「ダンジョンの最奥の神殿へ納められていた」とかいう記述がある。アストラ様さてはダンジョン好きだな!?


結果だけ言うと、強化をすればあの災厄の獣だとか邪竜だとか言われているヤバいやつを倒せるようになりそうだったので、今度はこちらの強化を行うことになった。一から作るとか言われたら鍛治職人呼んでこいって言うところだけど素材強化と魔法付与だけだったら錬金術師が頑張れる領分だ。


聖剣は最初の方は王家御用達鍛治職人と一緒に作業してたよ。私じゃ武器は打てないからね。


そういうわけで、聖剣を一緒に作成した鍛治職人さんと王家に奉納し、私は新しい作業に移った。

必要な素材もあったので一部はカイル様に申請書を出して休暇を取り、自分で取りに行った。それで、現地で作って二人に渡しといた。失くしたら怖いし。

そうしたら、帰ってきたらまたトラブルが発生していた。



聖剣、盗まれたってよ。

いや、なんで!?

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