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マリア視点



生まれた時から私は家族に愛されていた。

ピンクの髪と瞳はお人形の様で、可愛らしい顔立ちを惹き立たせている。


マリア・ハーバー。

それが私の名前。

生前も麻里亜という名前だったから、違和感はない。


家族に愛され、育てられたけれど、私は自分が愛人の娘であることは不満だった。お母様も貴族令嬢だったのだから、正妻にできないという事はなかったはずなのに、父は上位の貴族からの圧力に負けて妻を娶ったのだ。


父が普段暮らす家は私たちの家だったけど、あくまで正式な妻はあちらだ。

このままではお父様が居なくなったら私がどうなるのかすらわからない。

愛されているのは、私たちの方なのに。


生まれてから四年が過ぎた頃、異性が私のお願いを断らない事に気がついた。

前世でも望めば大抵のことは叶えてもらったけれど、これは使えるのではないかしら?お父様だって、私の思うままなのだもの。


お父様に付き添っている方に、家の使用人に入手させた薬を渡すと、彼は本宅にいるお父様の奥さんを殺してくれたらしい。

足がつかない様にね、とみんなに優しく言うとみぃんな笑顔で死んでしまった。なぜかしら。


お父様は思った通り、嬉しそうに私達をもっと大きなお家に連れて行ってくれた。そこには綺麗な赤い髪と赤い瞳を持つ「姉」がいた。

私以外の子どもはお父様には要らないかな、と思って「意地悪されるのは怖いわ。追い出して」と囁くと、お父様はその子を追い出してくれた。


お爺様に言われて養子としてやってきた「弟」は顔立ちがお父様に少し似ていて、とても綺麗な子だったので可愛がってあげたら、学園に入ってから逃げられてしまったわ。でも、弟だって、実の弟の方が可愛らしくて好きだもの。別に惜しくはないわ。


貴族の子女が通う学園に入った私は、今まで以上にみんなに愛される様になった。なんでか、女の子のお友達はできなかったのだけど。

そこに通い始めて気がついたけど、これは乙女ゲームの世界だったみたい。ヒロインは当然私。姉がライバルだったらしいけど、あの人もういないものね?


攻略対象にはなぜか、あまり出会えない様だったけれど、私が好きだったのは公爵令息のジェームズとノベライズで出てきた第二王子のラファエルだし、ジェームズはそこそこ側にいてくれるから別に良かった。

でも、第一王子と魔法騎士の子が近づいてさえこなかったのと、教育実習生になる先輩には避けられているみたいなのはなぜかしら?私、男性には愛されるはずなのに。


先輩には一度近づいてみたけれど、脅えていて可愛らしかった。女の子達に嫌われたらしい平民に邪魔されなければ、もっと側にいてくれるようにできたのに、残念だわ。


それから、来年にラファエルが入学してくることを思い出した私は、自分磨きを始めた。


美しく愛らしい、私の王子様。

きっと、私は彼に出会うためにここでヒロインとして生まれてきたのだ。


それにあたり、第一王子には退場してもらうことにした。

私は、あの人に一番になってもらいたい。

私が、あの人の一番になりたい。


お父様に連れられて行った王宮でたまたま出会ったあの人はとても綺麗で、私に相応しいと思った。


だから、第一王子達が居なくなったところで別にいいの。



「マリア、あなたの婚約者となったラファエル・ロンゴディアといいます。よろしく」



美しい白銀の髪も、アメジストの瞳も私の心を捕らえて離さない。

私はヒロインだもの。

誰と結ばれたって、きっとハッピーエンドになるわ。


ああ、そういえば戻ってこられては迷惑となる第一王子のルーカス様は悪役令嬢のお姉様が国外追放の折に通るはずだった山道を通るのかしら?

であれば、お父様にお願いして少し小細工をしておきましょう。生きて帰られては邪魔になってしまうもの……ね?

これが第一部の最後となります。

とりあえず、二部へ移る前に登場人物紹介を投稿できるようにしていきたいと考えています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 結局すべてヒロインのせいでFA。 この、神聖さの欠片もない行動よ。
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